地上からの高さ47.9mの風速計

千葉県の地方気象台は銚子に設置されています。地理的な要素からそうなっているのでしょう。県庁所在地の千葉市にあるのは千葉特別地域気象観測所です。なぜかGoogle Mapでは「測候所」扱いされます。

富士山頂を始め、かつては100か所以上あった有人の「測候所」の多くは機械観測の「特別地域気象観測所」に転換されています。千葉測候所が千葉特別地域気象観測所に移行したのは比較的最近で2010年です。

千葉特別地域気象観測所(Google Earthプロ)

きのう9月9日の最大瞬間風速1位は千葉の57.5m/sでした。その所在地「中央港1丁目」が示すように、建物があるのは東京湾沿岸の埋立地です。気温と雨量を測る装置は建物の南側にうっすら見える芝生に設置されてるはずです。

千葉の風向風速計の地上からの高さは47.9mと公表されています。風速を観測対象としている観測ポイントは900か所以上ですが、千葉は全国で10位の高さになります。周囲のビルより高い位置に設置する必要があるのでしょう。

  • 95.4m 広島
  • 69.9m 岡山
  • 66.1m 釧路
  • 59.5m 札幌
  • 56.1m 佐賀
  • 52.6m 仙台
  • 49.8m 八王子
  • 49.4m 宇都宮
  • 49.3m 白河
  • 48.4m 金沢
  • 47.9m 千葉

埋め込んだのは2014年12月撮影のストリートビューです。5階建ての合同庁舎の屋上には建物より高い塔が建っています。ストビューでは確認できませんが、風向風速計はその最上部に設置されているものと思われます。

もともとは測候所ですから、千葉で最大瞬間風速の統計を取り始めたのは1966年です。これまでの記録は1985年7月1日の48.6m/sですから、昨日の57.5m/sは大幅な更新です。台風15号により最大瞬間風速が書き換えられたのは19地点です。

  • 46.3→58.1m/s 9/8 21:03 神津島(東京)
  • 47.3→48.4m/s 9/8 22:12 三宅坪田(東京)
  • 39.0→48.3m/s 9/8 23:17 稲取(静岡)
  • 34.0→52.0m/s 9/8 23:38 新島(東京)
  • 38.5→41.7m/s 9/9 01:33 三浦(神奈川)
  • 36.3→49.0m/s 9/9 02:48 木更津(千葉)
  • 31.6→33.6m/s 9/9 03:17 坂畑(千葉)
  • 41.7→43.2m/s 9/9 03:27 羽田(東京)
  • 32.5→35.6m/s 9/9 03:32 鴨川(千葉)
  • 29.4→33.9m/s 9/9 04:23 牛久(千葉)
  • 48.6→57.5m/s 9/9 04:28 千葉(千葉)
  • 31.9→34.3m/s 9/9 04:43 茂原(千葉)
  • 32.6→33.9m/s 9/9 05:01 佐倉(千葉)
  • 32.0→36.9m/s 9/9 05:16 龍ケ崎(茨城)
  • 31.5→37.5m/s 9/9 05:23 横芝光(千葉)
  • 36.0→45.8m/s 9/9 05:36 成田(千葉)
  • 32.4→37.0m/s 9/9 06:19 香取(千葉)
  • 29.6→29.7m/s 9/9 06:24 鉾田(茨城)
  • 28.3→36.6m/s 9/9 06:55 鹿嶋(茨城)

このうち千葉以外の18地点は最大瞬間風速の統計開始時期が2008年以降です。つまり、同じ観測史上1位の更新と言っても「50年に1度」だった千葉とは少しレベルが違うのかもしれません。

また、神津島や羽田や成田の風速風向計の設置高さは地上から10mです。47.9mの千葉はほかの観測地点と等しい条件とは言えません。他地点と比較するときは千葉の数値が高く出ることを知っておくべきです。

「風速計の設置高さ」

航空気象観測所MAP

9月5日の最大瞬間風速1位から4位までは次のとおりでした。宮古島には観測ポイントが3地点ありますが、この3地点と4位との差が強烈です。台風13号の宮古島直撃によるものです。最大瞬間風速が50m/sを超えたのは今年初めてです。

  • 1位 61.2m/s 鏡原(宮古島) 
  • 2位 59.6m/s 宮古島
  • 3位 58.1m/s 下地(宮古島)
  • 4位 37.0m/s 北原(久米島)

鏡原の観測ポイントは宮古空港です。鬱陶しいのは、空港内に設置されている観測ポイントが空港名ではなくその所在地名で呼ばれていることです(例外的に神戸空港と静岡空港については空港名=観測ポイント名です)。

そこで、空港気象観測所MAPをつくってみました。気象庁の「航空気象官署等一覧」に掲載されている航空地方気象台(5施設)、航空測候所(3施設)、航空気象観測所(75施設)、航空気象連絡室(7施設)をMAP化しました。

このうち航空気象連絡室についてはアメダスの観測ポイントではありません。また、航空気象観測所のうち礼文空港と伊江島空港は現在のアメダス観測点に含まれていません。5+3+73=81施設がアメダス観測地点です。

海上空港や離島の空港も少なくないことから、各地点の最大瞬間風速1位の記録を付しました。空港MAPのつもりはありませんが、民間の公共空港で漏れているのは調布や但馬などわずかです。

私はかつて砂川でイースタンリーグの試合を見て札幌に泊まり、翌日から円山球場の社会人野球北海道大会を4日間観戦したことがあります。行きも帰りも新千歳で手配しました。

予約した旅行代理店を出た直後に、行きは旭川が正解だったのではないかと少し後悔したことがあります。たとえば高千穂峡は宮崎空港ではなく熊本空港のほうが近かったりします。

天城山ではなく天城岳

佐渡島の1市8町1村は2004年に合併し全島が佐渡市となっています。面積では佐渡島の3分の1以下の徳之島には、いまだに3つの町が残っています。徳之島町、天城町、伊仙町の総人口は約2.2万人です。

長崎の離島や天草では比較的スムーズに合併が進みましたが、鹿児島の離島は、屋久島でこそ1島1自治体が成立したものの、種子島は不発で、沖永良部島も2町が残っています。2005年1月の住民投票は次のような結果だったそうです。

  • 徳之島町(賛成2054票、反対4119票)
  • 天城町(賛成2074票、反対1810票)
  • 伊仙町(賛成3225票、反対865票)

全島規模で考えると合併賛成が多数派ですが、徳之島町はダブルスコアで反対多数です。これでは破談はやむを得ません。この3町の合併なら、新名称は徳之島町のままでしょうし、庁舎が動くこともないと思われます。

2017年度の財政力指数は徳之島町が0.24、天城町が0.15、伊仙町が0.13です。将来負担比率は徳之島町31.2、天城町46.5、伊仙町86.2です。この財政状況が合併の賛否に直結したのではないかと推測されます。

徳之島(Google Earthプロ)

島の東側が徳之島町で、徳之島子宝空港のある西側が天城町、南は伊仙町です。島内のアメダスの観測ポイントは伊仙町面縄(おもなわ)の「伊仙」と空港内の「天城」です。天城は8月23日の最高気温1位で、最大瞬間風速1位も今年3回あります。

伊仙の観測点は標高44mで風向風速計の高さは6.5mだそうです。もっとも一般的な電柱は長さ12mで、地中に2m埋まっており地上から高さは10mです。電柱より低い風向風速計は100m以上離れたストリートビューでは確認できません。

さて、地理院地図で天城を検索すると53件ヒットします。静岡と長野に天城山が、沖縄県伊是名村には標高102mの天城(山)があります。神戸市灘区天城通1~8丁目、倉敷市天城台1~4丁目、 上天草市に天城橋、そして徳之島の天城町です。

徳之島の天城岳は標高が533mです。山頂は微妙に(今の)徳之島町側にあります。歴史的には、1916年に天城村から東天城村が分割され、太平洋戦争と本土復帰を経た1958年に亀津町が東天城村と合併して徳之島町が成立しています。つまり、天城岳の山頂は東天城村の村域だったわけです。

埋め込んだのは2012年4月のストリートビューです。天城岳の麓を一周する徳之島北部の県道は、高橋尚子がシドニー五輪代表選考レース前に強化合宿をおこなったトレーニングコースで、「尚子ロード」と名付けられています。

隠岐の島の西郷

地理院地図で「西郷」を検索すると167件ヒットします。地域的には偏在しており、まず北海道、青森、秋田にはありません。新潟、富山、石川、群馬、埼玉、神奈川、山梨、長野もなく、四国4県や沖縄も空白地帯です。

▲1901年まで新潟には中頸城郡西郷村が存在していました。

8月22日の最大瞬間風速1位は島根県の「西郷」です。3月12日の最大瞬間風速1位は「西郷岬」の観測地点でした。後者は隠岐空港(隠岐世界ジオパーク空港)で、前者は西郷港近くの高台にあり露場の標高は27mということです。

ストリートビューは標高1~3mの道路だけで、肝心の寿坂には通っていませんので、測候所跡の観測ポイントを確認することができません。両者の位置関係は次のようになります。直線では3kmに満たない距離です。

隠岐の島・島後(Google Earthプロ)

島後(どうご)は隠岐の島の本島です。西ノ島・中ノ島・知夫里島などで構成される東の島前(どうぜん)には観測ポイントはありません。西郷町(さいごうちょう)を含む島後の2町2村は2004年に合併して、今は丸ごと隠岐の島町です。

西郷町や西郷村を名乗っていた自治体は10以上を数えますが、現存するのは福島県西白河郡西郷村(にしごうむら)のみです。さて、西郷があるからには東郷もあるはずです。かつては西郷町東郷だったようです。

地理院地図では青ヶ島にも西郷の地名があります。残念ながら青ヶ島には東郷はなく、西郷地区の東にあるのは休戸郷(やすんどごう)です。なお、青ヶ島のアメダス観測点は雨量のみの計測です。

青ヶ島(Google Earthプロ)

宮古島と下地島

今年の最大瞬間風速は1月16日に宗谷岬で記録された42.5m/sでしたが、8月8日の下地は43.2m/s、翌9日の宮古島は46.6m/sでした。台風9号はまさしく宮古島の西を北上し、その後は中国沿岸部に被害をもたらしました。

宮古島のアメダス観測点は宮古島地方気象台です。「~気象台」の名称が付く施設は全国に61か所あり、広域の北海道が7で沖縄が4、主要空港を抱える東京、千葉、愛知、大阪、福岡が2、残り40府県は各1の配置です。

埋め込んだのは2015年12月のストビューです。気象台の標高は40mで周囲は住宅地です。この角度ではちょうど木の枝に隠れて見えませんが、風速風向計は屋上に設置されています。最新2018年8月のストビューでは枝は剪定されています。

宮古島付近(© OpenStreetMap contributors)

一方、8月8日の最大瞬間風速1位・下地(しもじ)の観測ポイントは下地空港内です。3000m滑走路を備えた訓練用飛行場として建設された下地空港は1979年の供用開始ですが、すでにLALもANAも徹底しています。

軍事転用の話もなかったわけではありませんが、今年3月からジェットスターによる定期便(8月1日現在では成田便と関空便が1日1往復)が、7月には香港エクスプレスによる週3便の国際線も就航しています。

さて、下地空港があるのは下地島です。伊良部島と下地島の間の海峡には6本の橋が架けられています。両者は陸続きではありません。下地空港前の2012年2月のストビューです。

宮古島と伊良部島は全長3.5kmの伊良部大橋で結ばれています。かつては伊良部島と下地島で伊良部町でしたが、2005年に宮古島の平良市などと合併して今は宮古島市です。

ちなみに、宮古空港にもアメダスの観測地点がありますが、「鏡原」の名称で呼ばれています。宮古島にはもう1か所、東海岸に城辺(ぐすくべ)の観測ポイントがあります。