台風21号通過後に壊れた蒲生田岬の風速計

四国最東端は徳島県阿南市の蒲生田岬です。原発誘致を白紙撤回した頃は「がもうだ」と報道されていたように私は記憶していますが、徳島県観光協会や阿南市のWebサイトでは「かもだ」岬です。

領海法や瀬戸内法では、この蒲生田岬(紀伊水道)まで瀬戸内海の範囲に入ります。蒲生田岬の風速・風向計が機能不全に陥ったのは台風24号ではなく、停泊中のタンカーを関空連絡橋に激突させた台風21号です。

蒲生田岬のアメダスの最大瞬間風速は、2018年9月4日7時20分に20m/sを、9時50分に30m/s、10時40分に40m/sを超えます。ピークは11時20分の48.8m/sで、蒲生田における去年の最大値です。

蒲生田の最大瞬間風速は12時00分には30m/sに下がり、20m/s台の最後は15時30分です。20時10分以後は10m/s前後で落ち着いていましたが、日付の変わった5日の0時40分を最後に風速・風向の記録が途絶えます。

復活するのは9月7日の早朝4時20分です。はたして夜間作業で対応しなければならないほどのことなのだろうかと思わなくもありません。道路や鉄道が寸断されたわけではありません。たかが風速計です。

たとえ復旧が翌日の夕方になったとしても、誰も文句は言わないでしょう。故障の内容も復旧作業の内容もわかりませんが、高さ10mの風速計であるからには、高所作業を伴うものでしょう。

さて、私が訪れた時代にはありませんでしたが、岬には「波の詩(うた)」と題するハート型のモニュメントが設置されています。埋め込んだのは2012年8月撮影のストビューです。

台風24号は宮城島の風速計も破壊

沖縄本島中部の東海岸に与勝半島(または勝連半島)という出っ張りがあります。半島と平安座島(へんざじま)は、「海中道路」と呼ばれる県道10号線で結ばれています。

平安座島の北東に位置するのが宮城島(みやぎじま)です。平安座島と宮城島を繋ぐ橋は「桃源橋」という名前のようです。全長は27mです。島と島の間の水面は一般的には海峡と言われるはずです。

桃源橋を車で通っても、レンタチャリや徒歩で渡っても、海峡は川(運河)と誤解されるものと思われます。両サイドから埋め立てが進んだ結果です。橋を渡った宮城島にアメダス観測点があります。灌漑用ため池と思われる施設の端です。

宮城島のアメダスは2018年9月29日の11時10分に降水量2mm(10分)、気温25.7℃、南東の風31.5m/s(10分)、最大瞬間風速は46.2m/s(3秒)を記録しています。

11時20分から風速・風向の記録は途絶えており、10月1日の16時40分に復活しています。53時間もの空白が生じているわけです。と同様に気温と降水量は記録されていますので、停電等による施設全体の問題ではなく、風速・風向計単独のアクシデントだと思われます。

台風24号は沖縄近海で滞留していました。沖縄はほとんど丸1日に渡って暴風域内にありました。午前7時以降の10分毎の平均風速は例外なく30m/s以上であり、最大瞬間風速もことごとく40m/s以上です。

ところで、「海中道路」は今では著名な観光スポットの1つです。橋を架けたわけではなく、干潮時には歩いても渡れたという浅瀬の上に堤防のように築造された道路です。橋と違ってGLが低く、さほど海面と変わりません。

水門の関係で多少のアップダウンはありますが、「海中道路」の名前は誇張でも伊達でもありません。中央分離帯付きの4車線道路は、もともとは石油精製基地のパイプライン敷設のためにガルフ社が埋め立てたもののようです。

開通したのは沖縄本土復帰直前の1972年4月です。翌1973年は第1次オイルショックです。ガルフ社が同じセブンシスターズのソーカルと合併したのは第2次オイルショック後の1984年です。

【外部リンク】
国際気象海洋株式会社>台風24号進路図

風速計を壊した2018年台風24号

気象庁Webサイトでは各観測ポイントにつき10分ごとの観測値が公表されています。沖縄県国頭郡国頭村(くにがみそん)奥のデータは、2018年9月29日21時20分が降水量3mm、気温23.3℃、西南西の風25.2m/s、最大瞬間風速49.3m/sです。

ところが、21時30分以降の風速・風向の記録がありません。復活するのは翌々日となる10月1日の13時30分です。この間の降水量や気温は普通に掲載されていますので、計40時間に及ぶ空白は風速計が壊れたものと思われます。

20数km離れた対岸の与論島では21時20分以降の最大瞬間風速は、47.3m/s→48.4m/s→53.0m/s→49.9m/s→56.6m/s→54.0m/sで推移しています。最大瞬間風速とは3秒間計12観測値の平均値です。

台風24号は沖縄本島北部の西海上を通過しました。沖縄本島も与論島も進行方向右側の危険半円に入っていました。29日の22時台や23時台はまだ暴風域から抜けていませんでした。

この台風は沖縄市・東南植物楽園に設置されていた高さ25mの観音像をもなぎ倒しましたが、像が倒れたのは夜ですから吹き返しの風になります。奥の風速計にアクシデントが生じたのも吹き返しの時間帯です。

台風24号はJR東日本が初めて計画運休に踏み切った台風です(首都圏接近は30日の日曜夜)。風速50m/sを時速換算すると180km/hとなります。そして、風圧は風速の2乗に比例するそうです。

何が起きても不思議ではないレベルの風が吹いていたということなのでしょう。国頭村は沖縄本島の北端です。アメダスの観測施設は奥集落の中心部から外れた標高232mの山中に設けられています。

国頭村はヤンバルクイナの生息地でもあります。2016年から村域の大半が「やんばる国立公園」に指定されています。