自民党は国民政党ではなく保守政党
自民党は立党50年を迎えた小泉政権末期の武部幹事長時代に「立党50年宣言」を出しています。宣言は次のセンテンスで始まります。
わが党は民主主義のもとに、平和と自由を愛する国民政党として立党以来、ここに50年の歳月を刻んだ。
この宣言は、次の「新理念」で結ばれています。
わが党は、政治は国民のものとの信念のもとに、都市・地方の幅広い支持のうえに立つ国民政党である。
これは1950年の「立党宣言」を踏襲したものです。
国民政党であるわが党は、特定の階級、階層のみの利益を代表し、国内分裂を招く階級政党ではなく、信義と同胞愛に立って、国民全般の利益と幸福のために奉仕し、国民大衆とともに民族の繁栄をもたらそうとする政党である。
野党に転落した2010年1月に自民党は新綱領を定めました。谷垣総裁&大島幹事長の時代です。この新綱領では「国民政党」とのワードは外され、代わりに「保守政党」であることが強調されています。

敵失で与党に復帰してしまったため、この議論はこれ以上深まらなかったものと思われます。
【2025/09/05追記】森山幹事長が自民党は「国民政党」と言っているのを聞いて、このページを作成したのですが、9月2日の両院議員総会の日にも森山氏による「国民政党」との発言がありました。
連立パターン
本日8月8日午後2時半から自民党の両院議員総会が開かれます。世論調査の動向は自民支持層でも石破氏の退陣を強く望むものではなく、現段階では「青木の法則」に言う計50%の危険水域にも達していません。たいして緊迫感はなく淡々と終わるものと思われます。
世間的にはこのままお盆休みに入ってしまうわけで、次の焦点は月末にかけての森山裕幹事長の去就ということになりそうです。少数与党の石破内閣が曲がりなりにも政権運営して来られたのは、やはり森山氏の存在が大きかろうと思われます。
森山幹事長が退任を表明した場合、さすがの石破氏も続投は困難な状況に陥ります。政権維持に連立拡大は避けられないはずですが、野党にパイプを持つ後任幹事長が見当たらないからです。
| 衆465 | 参246 | |
| 自公 | 220 | 121 |
| 自公+立憲(A) | 367 | 163 |
| 自公+維新(B) | 258 | 140 |
| 自公+国民(C) | 247 | 146 |
| 自公+参政(D) | 223 | 136 |
| 立維国公(E) | 236 | 107 |
(D)は保守党を足しても衆議院で過半数に達せず、(E)にれいわ新選組を加えても参議院で過半数ありません。今のところ、連立のパターンは(A)(B)(C)しかありません。(B)の自公と維新の連立は衆議院の選挙区的にはそれほど競合しません。
大阪は維新と自公が両方立てても、どっちかに転ぶだけで参政党を含む他党に奪われる心配はあまりありません。調整を要する選挙区はそんなに多くないのです。それに維新には顔色を伺う必要のある組織もありません。
さて、一般的には自民党幹事長は政調会長か総務会長経験者が起用されます。森山氏は岸田内閣の総務会長です。その前の茂木敏充氏は政調会長を2度経験しています。1か月余りで辞めた甘利明氏も政調会長経験者、長期体制を築いた二階俊博氏は総務会長経験者です。
三役経験のない幹事長は野党時代の大島理森幹事長まで遡らなければなりません。ただ、「握りの大島」は現幹事長の森山氏に抜かれるまで自民党国対委員長の最長在任記録保持者でした。
後任幹事長候補
ということは、政調会長か総務会長あるいは国対委員長経験者でなければ、自民党幹事長としては役不足ということになります。軽量幹事長と言われかねません。第2次安倍内閣以降の政調会長、総務会長、国対委員長は次のとおりです。
| 政調会長 | 総務会長 | 国対委員長 |
| 甘利明 高市早苗 稲田朋美 茂木敏充 岸田文雄 下村博文 萩生田光一 渡海紀三朗 小野寺五典 | 細田博之 野田聖子 二階俊博 竹下亘 加藤勝信 鈴木俊一 佐藤勉 福田達夫 遠藤利明 森山裕 | 浜田靖一 鴨下一郎 佐藤勉 竹下亘 森山裕 高木毅 坂本哲志 |
この中では、加藤財務大臣ならあまり違和感がありません。財務大臣ポストが空くのも考えようによっては好都合です。「そんなに言うなら財務大臣をやってみろ」が本音で渡すこともできます。そのときの自民党総裁が誰で、どこと組むかにもよりますけど…。
佐藤勉氏は1952年生まれで栃木4区選出の当選10回です。1996年の小選挙区制が導入された選挙が初当選です。1年生議員のときに「加藤の乱」があり、谷垣派から麻生派に転じました。菅内閣で総務会長に就任したときは麻生派です。
その後、麻生派を退会して、昨年の総裁選では1回目が小泉氏、2回目が石破氏に投票したことを公表しています。2013年10月から2016年8月まで国対委員長、その後は衆院の議運委員長を務めており、大島氏と森山氏とをつなぐ国対・議運族です。
森山氏が1945年生まれですから、1950年生まれの遠藤利明氏が新幹事長になっても若返りです。中選挙区時代の1993年総選挙が初当選で、当時は日本新党推薦の無所属でした。遠藤氏は2年生議員のときに「加藤の乱」に遭遇しています。山形1区ですから加藤紘一氏の側近でした。
菅氏が当選した2020年総裁選と岸田氏が当選した2021年総裁選では岸田陣営の選対委員長を務め、岸田内閣では党の選対委員長と総務会長を歴任しました。昨年の総裁選では1回目から石破氏に投票しています。
1960年生まれで当選11回の野田聖子氏は、前世紀ですが国対副委員長の経験もあります。この中に名前はありませんが、林芳正官房長官は野党時代に政調会長代理として党務を経験しています。閣僚経験の豊富さから、いきなり幹事長に就任しても納得感はあります。
これ以外の幹事長なら、自民党人事としては異例です。そのほうがアピールはできるかもしれません。安定感には欠けるでしょうけど…。連立相手が決まらず総理も決まっていないのに、次期幹事長を探るという無謀な試みですので◎はありません。





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