次の幹事長は?
アメリカの大統領選挙は副大統領とセットです。今日のテーマは自民党新総裁は誰を幹事長に据えるのだろうか、です。今日(9月14日)は参院選から56日目です。まだ告示前なのが自民党総裁選挙です。
総裁選出後の次の焦点は人事ですが、組閣前に決まるのが党三役人事です。なかでも注目は幹事長になります。歴代自民党総裁の半数以上は幹事長経験者です。ようやく今週出馬表明するであろう主要3候補の幹事長候補は次のとおりかと思われます。
| 高市早苗 | 萩生田光一、茂木敏充、加藤勝信 |
| 小泉進次郎 | 林芳正、茂木敏充、加藤勝信 |
| 林芳正 | 小泉進次郎、茂木敏充、加藤勝信 |
高市総裁にリアリティがないのは、幹事長候補や官房長官候補がすぐには浮かばないということです。高市氏の前回推薦人には中曽根弘文氏、有馬治子氏、西田昌司氏らの有力参議院議員がいますが、参議院からの自民党幹事長はまだいません。
何もなければ萩生田氏なのでしょうが、8月に政策秘書が略式起訴され、高裁に移った旧・統一教会(統一協会)の解散命令に関する司法判断は年内とも言われています。常識的にはまだ「謹慎解除」のタイミングではありません。
無所属当選した西村康稔氏なら壺関係がないだけに萩生田氏よりハードルは低そうですが、党務経験がほぼありませんので幹事長だと「抜擢」になってしまいます。それに、この2人は高市氏支持を明言しているわけではありません。
総務会長経験者の福田達夫氏(3世)は閣僚経験がなく、しかも前回は小林陣営の推薦人でした。高市総理なら無役はないでしょうが、本人の希望は閣僚でしょうし、この時節の幹事長は荷が重いはずです。そうなると、茂木氏の再登板か加藤氏の起用に落ち着きそうな雰囲気です。
これに対して、小泉氏と林氏は互いに負けたほうが幹事長を引き受ける可能性があります。参議院が長い林氏の党務経験は薄いものの、いきなり幹事長でもそれほどの違和感はありません。小泉氏も党7役は短期間の選対委員長しかありませんが、後見人が代行になればいいだけです。
歴代総裁の三役キャリア
田中角栄氏以降の22人のうち三役未経験で総裁に就任したのは、宇野、海部、河野、小泉、福田(2世)、菅の6氏で27%です。もちろん、それぞれに事情があります。
| 田中角栄 | 幹事 | 政調 | ||
| 三木武夫 | 政調 | |||
| 福田赳夫 | 幹事 | 政調 | ||
| 大平正芳 | 幹事 | 政調 | ||
| 鈴木善幸 | 総務 | |||
| 中曽根康弘 | 幹事 | 総務 | ||
| 竹下登 | 幹事 | |||
| 宇野宗佑 | 国対 | |||
| 海部俊樹 | 国対 | |||
| 宮沢熹一 | 総務 | |||
| 河野洋平 | ||||
| 橋本龍太郎 | 幹事 | 政調 | ||
| 小渕恵三 | 幹事 | |||
| 森喜朗 | 幹事 | 政調 | 総務 | |
| 小泉純一郎 | 副 | |||
| 安倍晋三 | 幹事 | |||
| 福田康夫 | ||||
| 麻生太郎 | 幹事 | 政調 | ||
| 谷垣禎一 | 幹事 | 政調 | ||
| 菅義偉 | 代行 | |||
| 岸田文雄 | 政調 | 国対 | ||
| 石破茂 | 幹事 | 政調 |
幹事長経験のある総裁で、初三役がいきなり幹事長というケースは、竹下、小渕、安倍の3氏ですが、いずれも派閥の領袖かその後継有力候補です。この3氏以外にも、政調会長も総務会長もやらずに幹事長が初三役だったというケースがあります。
「三木おろし」下の幹事長
自民党の歴代幹事長でひときわ異彩を放つのが、三木政権末期の内田常雄氏だろうと思われます。内田氏は大蔵官僚出身で宏池会に属していました。1970年に佐藤内閣で厚生大臣として初入閣、1973年には田中内閣で経済企画庁長官として2度目の入閣を果たしています。
自民党の税調会長を2度務めていますが、ほかに主だった党務の経験はありませんでした。「(第2次)三木おろし」の下、三木氏は衆院解散を目論みますが、党内(というより閣内の)反対で実現しません。
衆院任期満了を12月に控えた1976年9月、内閣改造に先立つ党役員の改選では内田氏の政調会長就任が内定していました。中曽根氏に代わる新幹事長に予定されていた政調会長の松野頼三氏が三木氏寄りであることから、反主流派が松野氏の幹事長就任に反対します。
| 幹事長 | 政調会長 | 総務会長 | |
| 改造前 | 中曽根康弘 | 松野頼三 | 灘尾広吉 |
| 人事案 | 松野頼三 | 内田常雄 | 桜内義雄 |
| 改造後 | 内田常雄 | 桜内義雄 | 松野頼三 |
結局は内田氏が幹事長に、松野氏は総務会長にスライドして決着していますが、当然のように内田氏は幹事長を固辞しました。最終的に説得に応じた内田氏は「道を歩いていたらマンホールに落ちたような気分だ」と就任会見で発言しています。
武部氏の幹事長起用も「サプライズ人事」でした。武部氏が幹事長に就任するのは2004年参院選で自民党が1議席減らし、民主党に改選第1党の座を奪われた直後です。負けたと言ってもまだ自公過半数は維持しており、「麻垣康三」が台頭する前のことです。
翌2005年の郵政解散では、反対議員を公認しないばかりか刺客候補を擁立して大勝しています。政調会長または総務会長を経験していない幹事長は、この2人のほかに野党時代に幹事長だった大島理森氏がいます。





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