高市氏は「中道」発足を知ったので解散を仕掛けたのでは?

冒頭解散の断行

なぜ、高市氏がこの時期に解散を断行することにしたのか、という疑問は昨日の首相会見では明らかにされませんでした。内閣支持率の高いうちに解散したいのだろうとか、通常国会で悪戦苦闘するのが目に見えているからとか、説明されているのが一般的です。

1月9日夜に読売新聞ネット版が「解散検討」の記事を流しました。立憲と公明の党首会談で新党の合意が成立したのは1月15日午後です。これが表面的な時系列で、立公両党は解散に対抗するために合流したのだという見方が大勢です。

武田一顯氏はMBSのTV番組で、予算成立後の正式合流を狙っていた立公の動向に気づいた高市氏が先手を打って解散を仕掛けたのではないかという趣旨の解説をしています。私が知りうる範囲では武田氏のみです。

この説明はきわめて合理的です。年末の段階では総理は冒頭解散を否定していました。通常国会の1月23日召集を決めて臨時国会は閉幕しました。立公首脳は一部自民党議員にも声をかけていたということですから、ここから漏れていく可能性はあります。

冒頭解散がなければ、次の解散のタイミングは予算成立後(早くても予算通過後、遅ければ通常国会の会期末)です。立公両党は合流時期として予算成立後を狙っていたのでしょう。高市氏が年末年始にこれを察知して、読売にリーク記事を書かせたというストーリーなら納得できます。

麻生氏が今回の独断解散に反対しない理由もこれなら理解できます。新党がスムーズに立ち上がったことも、合流が突然持ち上がった話ではなく、かなり揉んでいたことを伺わせます。

昨日(1/19)の首相会見です。

今回、自民党の人たちは公明党の支援を受けることができません。先ほど申し上げましたとおり、わずか半年前の参議院選挙で戦った相手である立憲民主党に所属しておられた方々をかつての友党が支援するということですから、この点は疑問を感じざるを得ません。とにかく国民不在、選挙目当ての政治、永田町の論理、こういったものには終止符を打ちたいということで、国民の皆様のために必要な政策を我が党としては正々堂々と訴えて

公明党の高市氏への忌避感は私たちの想像以上だったようです。解散に背中を押された立公合流ではあるのでしょうが、合流新党の態勢が整ったあとでは選挙すらできなくなるので、今やるしかないという考え方が麻生氏らにも共有されたのでしょう。

そう考えると、雪国軽視で受験生無視の2月解散、解散から選挙までわずか16日という異例の短さ、7条解散としては前の選挙から最短の解散など、異例ずくめを理解できます。

前回衆院選との間隔

第7列が前回衆院選との間隔です(単純に今回の選挙日から前回の選挙日を引き算したものです)。500日以内の解散は今回で4回目ですが、過去3回は内閣不信任案が可決された69条解散です。

首相解散選挙日定数間隔国会召集
吉田23691947/03/311947/04/254663801947/05/20
吉田241948/12/231949/01/234666391949/02/11
吉田251952/08/281952/10/0146613471952/10/24
吉田26691953/03/141953/04/194662001953/05/18
鳩山271955/01/241955/02/274676791955/03/18
281958/04/251958/05/2246711801958/06/10
池田291960/10/241960/11/204679131960/12/05
池田301963/10/231963/11/2146710961963/12/04
佐藤311966/12/271967/01/2948611651967/02/15
佐藤321969/12/021969/12/2748610631970/01/14
田中331972/11/131972/12/1049110791972/12/22
三木341976/11/041976/12/0551114561976/12/24
大平351979/09/071979/10/0751110361979/10/30
大平36691980/05/191980/06/225112591980/07/17
中曽根371983/11/281983/12/1851112741983/12/26
中曽根381986/06/021986/07/065129311986/07/22
海部391990/01/241990/02/1851213231990/02/27
宮沢40691993/06/181993/07/1851112461993/08/05
橋本411996/09/271996/10/2050011901996/11/07
422000/06/022000/06/2548013442000/07/04
小泉432003/10/102003/11/0948012322003/11/19
小泉442005/08/082005/09/114806722005/09/21
麻生452009/07/212009/08/3048014492009/09/16
野田462012/11/162012/12/1648012042012/12/26
安倍472014/11/212014/12/144757282014/12/24
安倍482017/09/282017/10/2246510432017/11/01
岸田492021/10/142021/10/3146514702021/11/10
石破502024/10/092024/10/2746510922024/11/11
高市512026/01/232026/02/08465469
▲衆院選の投票率

形式的に内閣不信任を可決させれば7条解散も69条解散になれるわけですが、よせばいいのに維新が悪乗りして府知事選と市長選を衆院選に揃えたことで、与党が与党の事情で勝手に選挙日を設定できてしまうことへの不信が増幅される結果になりました。

参院の1人区

参議院の1人区は32選挙区あります。2025年の参院選で自民系は15選挙区で議席を確保しました(第5列)。自民選挙区票(第2列)から公明比例票(第6列)が抜けて、これが立憲選挙区票に乗った場合、自民はさらに8選挙区で議席を失うことになります(第7列)。

自民立憲他党公明比例
青森197,966214,61340,124
岩手178,958278,88835,460
宮城293,732367,79481,381
秋田171,324無219,71732,189
山形194,478国248,86436,380
福島327,951309,18467,713
栃木301,373266,04271,980
群馬288,284163,469参260,52475,037
新潟428,167438,59261,141
富山190,333国198,30029,127
石川209,586国160,83430,150
福井146,420 国88,75322,892
山梨145,148国156,98634,475
長野312,183430,33473,179
岐阜333,611246,15874,169
三重276,304339,94075,027
滋賀202,850国161,27244,265
奈良175,450国143,74059,364
和歌山107,390無141,60450,404
鳥取・島根289,250国120,08852,533
岡山307,556283,79986,309
山口225,617参131,19260,396
徳島・高知201,619無264,89162,919
香川149,902国174,72840,123
愛媛173,890無287,85368,153
佐賀165,688140,90731,902
長崎246,585国186,74761,051
熊本328,373267,27380,303
大分193,277207,25053,822
宮崎189,118193,90952,121
鹿児島234,893無301,02665,341
沖縄231,907無265,20367,344
▲2025参院選の1人区

つまり、中道新党が本当に機能すれば自民党は恒久的に比較第2党になってしまいます。今のうちに解散するしか選択肢がなかったと考えるのが妥当だと思われます。

中道改革連合は新進党との類似性が指摘されますが、新進党のときは旧同盟系労組が創価学会と組んだものです。社会党は自民に担がれていましたので旧総評系は自民サイドでした。今回は旧総評系と創価学会のタッグですから、親和性はより高くなります。

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