宇連(うれ)ダムは大胆なギャンブラーかもしれない説

2024年の宇連ダム

宇連ダムがある宇連川は豊川(河川名としては「とよわ」、市名としては「とよわ」)の支流です。ダムは1958年に竣工しているようです。2024年の貯水量グラフは次のとおりです。

2024年の宇連ダム貯水量
公益財団法人 愛知・豊川用水振興協会>宇連ダム 令和6年グラフ

上段の集合棒グラフが降水量、下段のグラフは貯水量です。緑は平成の大渇水時の1994年、青が1968年以降の平均値、赤が2024年です。秋に満水状態にして冬に備えるのがダムというものでしょうから、その意味では赤は理想的です。

8月に貯水量が一時的に減少してV字回復しているのは、東海道新幹線を3日連続で計画運休に追い込んだ台風10号に対する処置であったろうと推測されます。台風に備えて空き容量を確保したのでしょう。ただ、台風10号の発生は22日です。

台風10号は8月29日8時ごろ薩摩川内市に上陸し、丸1日かけてゆっくり九州を横断、四国を抜けた後、9月1日正午ごろ三重県沖で熱帯低気圧に変わりました。蒲郡では3人が死亡する土砂崩れが起きています。事前に貯水量を減らして台風の雨を抱え込んだファインプレーです。

黄色の線は2023年です。2023年6月2日の東三河豪雨では1500台近くの車が水没し、家屋浸水は500棟以上でした。このときの宇連ダムの貯水量はほぼ満杯です。入梅前の豪雨は想定できないとしても、入梅前なら7~8割程度でいいような気もします。

2025年の宇連ダム

2025年のグラフです。このグラフでは赤が2025年になります。

2025年の宇連ダム貯水量

5月の連休前には貯水率を8割ぐらいまで回復したいところでしょうが、去年は4月以前の降水量が少なく、3~4割程度で推移しています。それでもほぼ満水状態で8月を迎えていますので、7月まではコントロール下にありました。

問題は8月です。8月の貯水量急降下は需要に応じたのではなく、意図的に放流したものに違いありません。前年の成功体験があったのかもしれません。このグラフでは黄色が2024年ですが、2024年台風10号は例年の2倍以上の月降水量をもたらしました。

それを丸ごと受け止められたというのは、結果的にはファインプレーだったとしても、攻めすぎだったかもしれません。2025年は8月20日ごろに4割を切っているようですが、その辺りで立ち止まる必要があったのではないかと思わなくもありません。難しいところです。

2025年の矢作ダムと2026年の宇連ダム

2025年の矢作ダムです。

2025年の矢作ダム貯水量

矢作ダムでは、8月後半に放流を一旦止めたような躊躇の跡が窺えます。規模の関係もありそうですが、やはり4割ぐらいは残しておくのが無難なのかもしれません。

今年の宇連ダムです。かなり辛い状況に陥っています。

2026年の宇連ダム貯水量

豊川用水と佐久間ダム

下の地図の水色が豊川の本流、青が宇連川、赤は(狭義の)豊川用水、ピンクは明治時代にできた牟呂用水です。牟呂用水は豊橋駅を暗渠で横切っています。広義の豊川用水には牟呂用水も含まれます。

東三河
東三河(地理院タイルを加工)

青マーカーの三上橋は昨日(2/20)からポンプで豊川の水を牟呂用水に流し込んでいる地点です。★印がダムですが、静岡県境にある天竜川水系・佐久間ダムの南西に怪しい送水管が見えます。

佐久間ダム

基本的には地下施設のため、あまり地表には出てきませんが、矢印部分を拡大すると次のようになります。Googleマップでは「佐久間導水路」として表示されます。

佐久間導水路

この導水管は(広義の)豊川用水の一部であり、宇連川支流と接続しています。佐久間ダムはもともとは電力用のダムですが多目的化しています。実は、浜松市天竜区のアメダス佐久間が宇連ダムの最寄りアメダスです。

アメダス佐久間は天竜川水支流の大千瀬川(おおちせ-がわ)沿いで、佐久間ダムと宇連ダムの間にあります。導水管は地表とは逆行して敷設されています。アメダス佐久間の降水量は今年(2/20まで)27ミリ、上流の旧測候所・諏訪は10ミリです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました