決壊してない?

NHK NEWS WEBの見出しです。

  • 10月13日 20時56分配信
    「台風19号 被害甚大【決壊】21河川24か所【越水】のべ142河川に」
  • 10月14日 23時20分配信
    「台風19号 堤防決壊は37河川52か所」
  • 10月15日 12時17分配信
    「台風19号 堤防決壊は47河川66か所」
  • 10月16日 18時11分配信
    「甚大な被害 台風19号 75人死亡 55河川で決壊 全容は不明」

単純に増えていったわけではありません。10/13に「決壊」とされた21河川24か所のうち、次の5河川5か所については、10/14以降のリストからは漏れています。

  • 九十九川(埼玉県東松山市正代)
  • 中川(栃木県矢板市)
  • 内川(栃木県さくら市)
  • 百村川(栃木県大田原市)
  • 志戸川(埼玉県美里町)

国交省の被害情報第12報によれば、九十九川に関しては決壊も越水も溢水もしていないようです。中川は氾濫危険水位を越えただけで、百村川も記載はなく、内川に関しては「河岸浸食」、志戸川については「土羽(どは)崩れ」とされています。

九十九川(つくもがわ)は越辺川(おっぺがわ)に合流し、その1キロ下流で越辺川には都幾川(ときがわ)が合流します。さらに、越辺川は7キロ下流で入間川(いるまがわ)に合流します。

九十九川と越辺川の合流点(Google Earthプロ)

越辺川に架かる国道407号線の橋は高坂橋です。ここは越辺川の9.3キロ地点です。越辺川の決壊箇所の1つは7.6キロ地点の左岸(北側)ですので、ちょうど九十九川との合流地点で、画像では中央部です。

20m決壊したようですが、決壊したのは九十九川ではなく厳密には越辺川だったということなのでしょう。

それにしても、この調子で「台風19号MAP」を作っていくと、今月どころか年内かかりきりになりそうです。やりかけのものだけが増えていきます。

120地点で日降水量を更新

10月12日に日降水量(0:01~24:00の暦日単位)の最多記録が更新されたアメダスの観測点は120か所に及びます。アメダス観測点は約1300か所です。従来の最多記録の倍以上という観測点さえあります。

★ときがわ(埼玉県比企郡ときがわ町)
572mm(2019/10/12)←280mm(2002/7/10)観測開始2000/3~
月降水量1位 748mm(2014/6)
月降水量2位 615mm(2004/10)
月降水量3位 568mm(2007/9)
年降水量の最少 1364.5mm(2009年)

観測開始が比較的最近とはいえ、これまでの最多記録は280mmであり、10月12日の572mmはその倍以上です。1日だけで月間降水量の3位相当です。2009年の年間降水量は1364.5mmでしたが、572mmはその41.9%に達します。

★葛生(栃木県佐野市豊代町)
410mm(2019/10/12)←205.5mm(2015/9/9)観測開始1976/1~
月降水量1位 468.5mm(2011/7)
月降水量5位 417.0mm(2001/8)
月降水量6位 407.5mm(2016/6)
年降水量の最少 957.0mm(1996年)

従来の記録のほぼ倍です。10月12日の降水量410mmは月間記録では6位相当で、年間最少記録の42.8%となります。

★立科(長野県北佐久郡立科町芦田)
264mm(2019/10/12)←137mm(1999/8/14)観測開始1978/11~
月降水量1位 374.0mm(2006/7)
月降水量10位 270.5mm(2018/9)
年降水量の最少 610.0mm(1984年)

10月12日の降水量264mmは、年間最少記録に対して43.2%です。

★西野牧(群馬県甘楽郡下仁田町西野牧)
471mm(2019/10/12)←252mm(1999/8/14)観測開始1979/3~
月降水量1位 574mm(2007/9)
月降水量2位 484mm(2014/6)
月降水量3位 454mm(2001/9)
年降水量の最少 767mm(1978年)

下仁田町は群馬県南西部の長野県境に近い場所です。従来の日降水量の最多記録は立科と同じ99年8月14日の252mmでした。10月12日の降水量471mmは月間3位相当です。たった1日だけで、年間最少だった1978年の61.4%となります。

★菅平(長野県上田市)
270mm(2019/10/12)←146mm(1983/9/28)観測開始1976/1~
月降水量1位 349.0mm(2004/10)
月降水量7位 274.0mm(1983/9)
月降水量8位 269.5mm(2017/10)
年降水量の最少 822.0mm(1984年)

菅平の観測ポイントは標高1253mです。雨の少ない気候ですが、10月12日の降水量270mは月間で8位相当です。年間最少の1984年の32.8%に当たります。

★相模湖(神奈川県相模原市緑区)
595mm(2019/10/12)←325mm(1998/8/30)観測開始1976/1~
月降水量1位 775mm(2004/10)
月降水量5位 600mm(2003/8)
月降水量6位 553mm(1982/9)
年降水量の最少 924mm(1984年)

相模湖では従来の記録が325mmでした。10月12日の降水量595mmは月間6位相当です。年間最少だった1984年の64.3%が1日で降ったことになります。

★田代(群馬県吾妻郡嬬恋村)
408mm(2019/10/12)←223mm(2007/9/6)観測開始1976/4~
月降水量1位 442mm(2007/8)
月降水量2位 417mm(1985/6)
月降水量3位 395mm(2006/7)
年降水量の最少 1012mm(1984年)

菅平から県境の四阿山(あずまやさん)を越えると嬬恋村です。10月12日の408mmは月間3位相当となります。年間最少の1984年の降水量に対する比率は40.3%です。

★小沢(東京都西多摩郡檜原村)
602.5mm(2019/10/12)←336mm(2001/9/10)観測開始1977/8~
月降水量1位 664.0mm(2001/9)
月降水量5位 619.5mm(2011/9)
月降水量6位 594.0mm(1991/8)
年降水量の最少 942.0mm(1984年)

従来の記録は336mmでした。10月12日の降水量602.5mmは月間5位相当、年間最少だった1984年の降水量に対する比率は63.3%に及びます。

★箱根(神奈川県足柄下郡箱根町)
922.5mm(2019/10/12)←528mm(2005/8/25)観測開始1976/1~
月降水量1位 1267mm(1983/8)
月降水量8位 923mm(1985/6)
月降水量9位 904mm(2001/9)
年降水量の最少 2116mm(1984年)

もともと雨の多い箱根ですが、従来の記録は528mmでした。10月12日の降水量922.5mmは月間で9位相当となります。年間最少だった1984年の2116mmに対しては43.5%です。

★丸森(宮城県伊具郡丸森町)
388.5mm(2019/10/12)←230mm(1986/8/5)観測開始1977/11~
月降水量1位 513mm(1988/8)
月降水量9位 392mm(1986/8)
月降水量10位 381mm(2017/10)
年降水量の最少 839mm(1989年)

丸森ではこれまでの記録は230mmでした。10月12日の388.5mmが月間で10位相当です。年間最少だった1989年の降水量の46.3%です。

各観測地点(Google Earthプロ)

避難途中に車が水没

パトロール中の消防団が栃木県足利市寺岡町の冠水した道路で立往生している乗用車を見つけたのは13日午前3時頃だそうです。救助された3人のうち、助手席に乗っていた85歳の母親が搬送された病院で亡くなったということです。

足利市寺岡町は佐野市と接しています。足利市のハザードマップを調べてみました。二点鎖線が足利市と佐野市の市境です。寺岡町ならさほど深刻な事態に見舞われることはないはずです。

足利市ハザードマップの寺岡町付近

寺岡町は何度もTV中継された佐野市秋山川の決壊現場から西に2.5kmほどです。秋山川が氾濫した海陸橋付近の標高は27mです。秋山川の水が2km以上先まで流れてきたとは思えませんが、念のため寺岡町の標高を調べてみました。

佐野市・足利市の境界付近(Google Earthプロ)

周辺ではほかに4台の車が立往生していて6人が救出されたということでした。いずれも避難の途中だったものと思われます。おそらく223号線を北上していたのでしょう。佐野市から寺岡町に入ったところで標高26mです。

標高28mの地点まであと200mです。そこまで来ればハザードマップ的にも安全圏です。秋山川は県道67号線付近ても氾濫したと言われていますが、やはり2km以上の距離があります。

ハザードマップに示されている寺岡町を流れる川は旗川です。秋山川とともに渡良瀬川に合流します。旗川に関しては氾濫したとの確たる報道はありませんが、状況的には旗川でも氾濫が起きていたのではないかと思われます。

台風の上陸地MAP

2004年台風22号の勢力の推移は次のようなものでした。左から日付、時刻、中心気圧(hPa)、暴風域(km)です。

  • 10/8 00:00 925 150
  • 10/8 03:00 920 150
  • 10/8 06:00 920 150
  • 10/8 09:00 920 150
  • 10/8 12:00 920 150
  • 10/8 15:00 920 150
  • 10/8 18:00 920 150
  • 10/8 21:00 925 150-130
  • 10/9 00:00 930 130-110
  • 10/9 03:00 935 130-110
  • 10/9 06:00 940 110-90
  • 10/9 09:00 945 110-70
  • 10/9 12:00 950 110-70
  • 10/9 15:00 950 110-60
  • 10/9 16:00 950 110-60(伊豆半島上陸)
  • 10/9 17:00 965 100-50(三浦半島通過)
  • 10/9 18:00 980 90-40(千葉市再上陸)
  • 10/9 21:00 985 70-40

この進路を地図に反映させると次のようになります。今回の台風19号の予想進路とほぼ重なるはずです。上陸時の中心気圧もほぼ同じだと思われます。

2004年台風22号の進路(Google Earthプロ)

2004年台風22号の人的被害は死者・行方不明者で計9名で、住戸被害は一部損壊や床下浸水を含めて1万3000戸ほどです。2004年台風22号と今回の台風19号の決定的な違いは暴風域の広さです。

11日21:50発表の暴風域は東側370kmで西側280kmです。上陸時には250-200kmぐらいに狭まるのでしょうが、それでも2004年台風22号の倍です。面積では4倍になります。

もう1つの懸念は大潮と重なっていることです。幸いにも満潮には重なりませんが、23区東部で浸水被害が発生すると100万人規模の孤立が発生する可能性があります。もちろん、この全員を収容する施設などありません。

接近には間に合いませんでしたが。「台風の上陸地MAP(2001年~」を作成していますので公開します。