佃弘巳・元市長
佃弘巳氏は1947年生まれで、小田原の相洋高校卒ということです。1983年9月の伊東市議選で初当選、3期目の任期を半年ほど残して1995年4月の県議選に当選しています。県議選の伊東市選挙区は定数1ですから、市長選と同じ構図になります。
2005年4月に現職市長が死去したことにより、県議3期目途中の佃氏は市長選に出馬します。無所属新人3人の選挙戦でしたが、19,625票で当選しています。
なお、「選挙ドットコム」によれば2005年伊東市長選は任期満了選挙となっていますが、このサイトの2010年代以前の情報はかなり怪しく、慎重な吟味が必要です。
2009年市長選は現職市議が対立候補でしたが、約1000票差の接戦を制しています。3期目の2013年市長選は870票差の僅差で、維新とみんなの党が推薦する佐藤裕氏を破っています。
佃氏は2017年市長選には立候補せず、小野達也氏が後継でした。小野新市長のもとで2018年3月まで市の特別顧問に就いています。退任後の2018年6月、警視庁に逮捕されます。逮捕容疑は収賄であり、在任中の土地取得に関するものでした。
その土地が問題の新図書館建設予定地です。佃氏在任当時の2015年、伊東マンダリン岡本ホテルの跡地を競売取得した業者から市が買い取り、その見返りに1000万を受領したという図式でした。

佃氏は懲役2年の実刑判決を受け、市長3期分の退職金約5400万も返納しています。
贈賄側
で、贈賄側及び佃氏には反社とのつながりが指摘されています。東和開発株式会社→静岡環境株式会社→株式会社東和と商号変更しているものと思われます。

なんでも西脇組傘下の(神戸)山口組系3次団体とのことですが、この3次団体の名称はわかりませんでした。神戸の西脇組事務所の土地は民間人への売却が決まっています。

元所有者の岡本ホテル自体が山口組系とされており、預託金商法で摘発されています。廃業して競売にかけられただけでは終わりではなかったのです。

小野達也・前市長
今年5月の市長選で田久保氏に敗れた小野達也氏は1963年生まれです。江藤拓農水大臣による「私はコメを買ったことはない、コメは倉庫に売るほどある」発言は告示日の5月18日です。投開票は5月25日でした。
同日投票の市長選はさいたま市、島田市、松原市の3市長選があり、いずれも現職が制しています。ということは、江藤発言が影響したとしても限定的だと言えそうです。
小野氏は2005年県議選の補欠選挙が初当選です。2007年県議選は落選、2011年は当選でした。この3回の選挙の対立候補は民主党系の中田次城(なかだつぎしろ)氏です。2015年県議選では小沢一郎氏系の日吉雄太氏を破って3選を果たしています。
任期途中で佃氏の後継として市長選に出たのが2017年5月、佃氏の実刑確定は2019年8月ですので、佃氏の案件が引っかかっているのなら2021年市長選に反映されるはずですが、小野氏はほとんどダブルスコアで乗り切ったのでした。
そうすると、2期目の小野市政に3000票以上の離反を招いた敗因がなければならないことになりますが、図書館問題自体がそれほどの争点だったとは思えません。土地が反社絡みでは歓迎されないとしても、老朽化した図書館の建設資金は16億円積み立て済みです。
建設費用が42億と言っても、国の補助金をフル活用して周辺道路の整備を含む計画であり、現図書館が生涯学習センター中央会館を兼ねていることから、その建て替えの意味もあります。したがって、これに反対するとすれば伊東市の「南北問題」に行き着くことになります。
新図書館が建設されても「北」の伊東駅周辺の施設が充実するだけで、移住者の多い「南」の住民には利用する機会さえ満足にありません。リタイア世代が多いであろう移住者にとって、遠いところに作られる新図書館は必要のないものです。
もう1つ、小野市政の失政と評価されかねないものは、メガソーラー事業者との間の確約書問題です。裁判は1審が市側の敗訴、2審が実質的な勝訴でした。この確約書は2審判決前に交わされています(最近の田久保氏はこれを強調しています)。
いくら日本が3審制とはいえ、1審と2審が揃ったら最高裁で覆されることはまずありません。2審も敗訴なら多額の賠償金を請求される立場に陥る市が、保険をかけることはあり得ないことではありません。
市議会の政倫審は市長の行為が市の条例違反だとして結論づけましたが、これは2021年の話であって、2025年市長選に影響したことはなかろうと思われます。そうすると、やはり「南北問題」に帰結するのかもしれません。
南北問題と中田次城県議
紫マーカーは伊豆急の駅(北から2つ目が伊東駅、最南が伊豆高原駅)、赤マーカーは小学校とその学級数、青は2年前に廃校となり図書館移転先候補の西小学校跡地です。田久保氏は富戸(ふと)です。

結局、本質的に問われたことは新図書館に象徴される集中か分散かの問題かと思われます。新図書館周辺が比較的お得に整備されるとしても、自分たちの地域でその恩恵を享受することはないという判断なのでしょう。
そもそも積み立てられた16億円は図書館的な施設以外には使えない性質のものです。田久保氏は図書館反対を言うだけで、その予算をどこに回すという具体的な主張はなく当選しました。具体を語らないことは誰もが誤解できる余地があるというです。
さて、小野前市長と県議選を3度戦った中田氏は、市議時代は自民党でその後民主党に転じて、2020年のコロナを理由に自民党に復党しています。2007年県議選で小野氏を破ったものの、一時は引退していたようです。
小野氏が市長に転じた2017年の補欠選挙で2選、2021年と2025年の統一地方選で当選を重ねて、4期目の今は静岡県議会の副議長です。どうやらこの中田氏が田久保氏を2019年の市議選に担ぎ出した張本人のようです(当時は無所属)。
2023年市議選で田久保氏が600票以上減らしての最下位当選だったのは、中田氏が別の候補を支援したからだという話もあります。自民党に復党した中田氏ですから、今回の市長選で表立って田久保陣営に回ってはいないはずです。
【2025/09/14追記】自民党は小野市長を推薦していましたので、自民県議である中田氏は表立って田久保氏を応援できる立場にはない、という意味です。得票具合からして、5月の市長選挙で自民票は割れたと見るのが妥当かと思われます。
最大限に過大評価しても、次期市長選で田久保氏が法定得票を取るとは思えませんが、小野氏が出るのは控えたほうがよさそうな気がします。





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