風速75m/sの竜巻
9月5日に牧之原で発生した突風は現地調査の結果、推定風速が約75m/sの竜巻だったとされています。

75m/sは国内最大瞬間風速ランキングの6位相当です。日本の地上気象観測における風速は0.25秒ごとに観測されており、ここに言う最大瞬間風速とは3秒間12サンプルの平均値(最大風速は10分間の平均値)です。

竜巻はあまりに局地的でかつ瞬間的な現象ですから、12サンプルの最大瞬間風速を調査報告書の「風速」と同列に比較してはいけないのでしょう。観測所を通過することはまずありませんので、いわゆる藤田スケールなどで表されているものと思われます。
近隣アメダスの実測値
調査対象となった突風は、牧之原市静波から吉田町大幡にかけて(複数)発生したとされています。牧之原市役所の所在地が静波で、国道150号の富士見橋西詰が大幡です。近隣の観測所は静岡空港とアメダス菊川牧之原です。

12時50分前後の両アメダスの観測値は次のとおりです。


12時50分は両アメダスともに降水量ではピークです。竜巻の影響はなかった両地点ですが、風速のピークは竜巻発生より遅れています。
方丈記「治承の辻風」
「行く川のながれは絶えずして…」で始まる方丈記には、1180年4月に京都で起きた突風現象に関する記述があります(青空文庫>方丈記)。
治承四年卯月廿九日のころ、中の御門京極のほどより、大なるつじかぜ起りて、六條わたりまで、いかめしく吹きけること侍りき。三四町をかけて吹きまくるに、その中にこもれる家ども、大なるもちひさきも、一つとしてやぶれざるはなし。さながらひらにたふれたるもあり。けたはしらばかり殘れるもあり。又門の上を吹き放ちて、四五町がほど(ほかイ)に置き、又垣を吹き拂ひて、隣と一つになせり。いはむや家の内のたから、數をつくして空にあがり、ひはだぶき板のたぐひ、冬の木の葉の風に亂るゝがごとし。塵を煙のごとく吹き立てたれば、すべて目も見えず。おびたゞしくなりとよむ音に、物いふ聲も聞えず。かの地獄の業風なりとも、かばかりにとぞ覺ゆる。家の損亡するのみならず、これをとり繕ふ間に、身をそこなひて、かたはづけるもの數を知らず。この風ひつじさるのかたに移り行きて、多くの人のなげきをなせり。つじかぜはつねに吹くものなれど、かゝることやはある。たゞごとにあらず。さるべき物のさとしかなとぞ疑ひ侍りし。
鴨長明が記述した「辻風」は、今の京都御所(A)付近で発生して東本願寺(B)付近で消滅したようです。北半球で発生した竜巻は東寄りの北に移動することが多いはずですが、この「辻風」は南南西に動いています。

内陸国のチェコでもF3クラスの竜巻は確認されており、沿岸平野部ばかりで竜巻が発生するわけではないようです。
また、竜巻の発生は正午~夕方が多いとはいえ、夜でも発生します。就寝中にいきなり屋根が吹き飛びガラスが降ってくる可能性もなくはないわけです。ただ、地上と上空との気温差には欠けるため、それほど規模は大きくならないとのことです。





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