大阪以外のモータープール

2017/10/02公開 2017/10/03更新

大阪では「モータープール」と名付けられた有料駐車場を見かけます。圧倒的に大阪が多いわけですが、数が少ないとはいえ東京にもありますし、北海道にもあります。そこで、大阪府以外のモータープールを網羅してみようというのがこの企画です。全国的にはどういう分布になっているかが最大のテーマです。

Wikipediaの「駐車場」のページには次のような記述があります(2017/10/02現在)。

大阪府をはじめとする西日本および中部地方の一部では、民間駐車場のことを「モータープール」と呼ぶが、原語の「motor pool」に駐車場の意味はない。Motorpoolはアメリカ軍の車両部隊や官庁の公用車の待機所または部隊自体を指す言葉で、現在でも米軍施設や自衛隊では用いられており、日本各地に存在する。

「モータープール」の呼称が占領米軍に起源を持つことはほぼ確実と思われます。「乗りものニュース」さんの「「モータープール」=「駐車場」の謎 なぜ大阪だけなぜそう呼ぶのか?」(2017/07/20付)は、この呼称のナゾにかなり迫った記事です。

「モータープール」と名の付く駐車場の古い例は、昭和20年代後半にさかのぼります。『阪急不動産の50年史』(社史編纂委員会、阪急不動産)には1953(昭和28)年、阪急梅田駅の南東に「梅田モータープール」が開業したと記されています。ちなみに2017年6月現在、この場所にあるのは商業ビル「HEP FIVE」(ヘップファイブ)です。

また、「梅田モータープール」ができた年である1953年5月20日付けの毎日新聞によると、国鉄大阪駅前に当時日本一の高さだった地上12階建ての「第一生命ビルディング」が誕生し、「地下2、3階にモータープールを備えた」との文言があります。今回の調査で確認できた、駐車場を「モータープール」と呼称するもっとも古い記録はこの2件でした。

この記事が出る前から、私は「梅田モータープール」の存在は知っていました。ここが有料駐車場で「モータープール」を名乗った最初の施設だったかのどうかはさておき、「モータープール」が各地に波及したのはその立地によるものだろうと考えていました。

「HEP FIVE」は、旧・梅田コマ劇場と旧・阪急ファイブの跡地に建設された赤い観覧車の商業施設です。ここも十分に好立地ですが、第一生命ビルはその上を行きます。JR大阪駅の南側道路を隔てた対面にあるのが(大阪の)第一生命ビルです。(今は)右手がヒルトンホテルです。

1953年、大阪の目立つ場所に「モータープール」が2つできたわけです。全国的に伝播したわけではないにせよ、大阪を起点として広まっていったと考えて差し支えないはずです。地方都市の駅前にある比較的規模の大きい立体駐車場が「モータープール」を名乗るケースが見られるのもそういう理由と思われます。

なお、青空文庫を「モータープール」で検索したところ、宮地嘉六の「老残」と題する小説がヒットしました。

いつそのこと路傍のハンコ屋になつて、見ず知らずの通行人の註文をとる方がましではなからうか、それには場所をどこにしようと考へた末、もとの海軍省の西側の柵沿さくぞひの狭い通りを選ぶことにした。一方はモータープールの金網の塀へいが続いてゐて、その二間幅ほどの通路を進駐軍将兵がひつきりなしに往来してゐる所なのである。二三の靴磨屋が間隔を置いて猿のやうに腰をおろしてゐた。

初出は『中央公論』1952年3月号だそうです。文中の「もとの海軍省」とは日比谷公園の西隣の霞が関です。東京でも「モータープール」という言葉自体は使われていたわけです。それを誰かが原義を超えて民間有料駐車場の施設名として転用したのでしょう。

まずはどういう分布になっているのかを把握したいと思います。当面の方針としては、「地名 モータープール」でGoogle検索して上位100ページをチェックしていきます。ストリートビューで看板等を確認できた施設だけMAPに落とし込んでいく作戦です。

駐車場検索や法人検索については、しばらく保留します。大阪に手をつけるかどうかは展開次第です。面白ければやりますし、ほかにもっと面白いことがあればそちらに傾くのは必然というものです。

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