小池知事「東京のコロナ死は世界で2番目に少ない」

100万人当たりのコロナ死亡者数

東京青年会議所の都知事選主要候補者公開討論は自己紹介から始まり、トップバッターが小池氏でした。小池氏の自己紹介を受けて、司会者は「東京大改革3.0」について尋ねます。

司会:3.0とはどういう意味なんですか。
小池:1.0で行財政改革、構造改革、情報公開、そして都民ファーストの都政、そして2期目でございますけれども、人が輝く東京ということで進めました。2期目はですね、1200日間コロナでまたオリンピック・パラリンピックの開催ということで、なかなか前に進むこともできませんでしたが、都民の皆さんのご協力を得て、なんとか100万人当たりの亡くなる方の数ですね、世界で2番目に低い数字に抑えることができました。でもお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしたいと思います。本当に大変な時期でございましたが、ご協力ありがとうございます。

THE PAGE>【東京都知事選】小池・石丸・田母神・蓮舫の4候補がネット討論会 5:40~

聞かれたのは「3.0」ですが「3.0」については一切答えず、「2.0」が何だったのかさえ語っていません。

それはいつものことですので、今日の1つ目のテーマは「100万人当たりのコロナ死者数が世界で2番目に低い」とします。都知事選の討論会での発言ですから、「世界で2番目に低い」のは日本ではなく東京のことなのだと思われます。

そんな都市間比較のデータがどこかにあるのだろうかと思って探してみましたが、やはり見当たりません。たとえば、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、モントリオールの7都市で2位なら、あり得る話です。

関東7県で2番目に多い東京

上海、北京、デリー、ムンバイ、ジャカルタ、シンガポール、マニラ、バンコク、シドニー、カイロなどを加えたら2位になれるはずがありません。100万人当たりのコロナ死者数が日本より少ない国は少なくとも3か国あります。中国の数値を真に受けるわけではありませんけど…。

中国84.892023/5/11
サウジアラビア266.822023/4/28
インド376.432023/5/05
日本601.022023/5/11
▲100万人当たりのコロナ死亡者数(札幌医科大学

都道府県別では、東京は関東7県で2番目に多かったりします。

新潟211.80茨城457.75
福井265.60神奈川469.56
富山318.58埼玉546.41
山形355.43栃木569.93
静岡393.08群馬578.15
宮城425.44東京578.71
長野445.05千葉629.43
▲100万人当たりのコロナ死亡者数(札幌医科大学

国内でも中位なのに世界2位のはずがありません。まったく根拠なく口走っているわけではないでしょうから、1位はどこなのか教えてほしいところです。

2022年と2023年の超過死亡

東京都の出生者数と死亡者数のグラフは、すでに「8年連続で出生数減少なら「待機児童ゼロ」は当然では?」のページに掲げています。東京都の死亡者数は年々増えており、2022年と2023年の高水準が気になりますが、これは全国的傾向であり別に東京都だけの問題ではありません。

全国の出生率と死亡率(人口1000人当たり)は次のとおりです。

出生率と死亡率
厚労省>令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況

コロナによる超過死亡という捉え方でいいものと思われますが、もともと死亡率は一貫して増加傾向にあり、これは少子高齢化を反映したものです。10万人当たりの年齢階層別死亡率は次のとおりです。

年齢階層別死亡率

東京都の死亡者数の増加を小池氏の失政に結びつける向きがあるようですが、そっちはそっちで同意しかねる話です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました