東京都の出生者数
6/7定例会見の質疑応答で小池百合子都知事は「待機児童ゼロ」について次のように答えています。
それから待機児童についてはこれは言うまでもありません、ほぼ達成をしているということは、だからこそ、次の018サポートや(東京)くらし方会議などでの提案につながっているということでございます。
東京都>記者会見(令和6年6月7日)
この2日前に厚労省が発表した人口動態統計では、東京都の出生者数は8年連続で減少しています。2023年の東京都の出生者数は小池氏が初当選した2016年に比べて2万5000人減っているのです。
振り返ってみれば、待機児童の解消はそれほど困難な行政課題ではなかったはずです。おそらく何もしなくても待機児童はゼロになったものと思われます。小池氏の前やその前の知事が怠慢だったと言えるかもしれませんが…。
なお、転入が転出より多いため、この間の対象年齢人口がストレートに2万5000人減ったわけではありません。まあ、一般的には引越し先の保育所事情をリサーチしたうえでの転居が多いはずです。
出生者数が減って合計特殊出生率が増える?
いつものこととはいえ、自分の手柄のように語っているのにイラッとしただけで、私が気になっていたのは東京都ローカルの話ではありません。全国の数値です。
出生数は減っているのに合計特殊出生率が増えている時期があります(ピンク枠)。厚労省統計ですから、ついつい統計偽装を疑いたくなります。合計特殊出生率とは「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」とされています。
文系の私はシグマや三角関数を本能的に忌避したくなりますが、どうやらピンク枠の現象が起こるのは晩婚化・晩産化が進んだときのようです。
統計のマジック?
もし2つの指標が同じように右肩下がりだったとしたら、もっと早く事態の深刻さに気づいたのではないかと思わなくもありません。
まだ合計特殊出生率がそれほど下がっていなかった2018年当時の分析です。これが楽観的な分析だったと言いたいわけではありません。
ただ、晩婚化・晩産化の進行が止まれば、出生数と合計特殊出生率の関係は元のパラレルに戻るわけです。結果的には、合計特殊出生率が上向いているうちに出生者数そのものが上向きに転じることはありませんでした。
出生数が減っても合計特殊出生率は上昇しているからまだ大丈夫だと思わせる効果をもたらしていたのだとすれば、罪作りな指標だと言えるのかもしれません。
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