コスタリカとニカラグア、中米隣国のコントラスト

コスタリカとは「水曜どうでしょう」で大泉さんが幻の鳥・ケツァールをあっさりとカメラに収めてしまった中米の国です。法の支配インデックス2020では25位でイタリアより上位でした。コスタリカの南はパナマ、北はニカラグア、その北がホンジュラスです。

コスタリカとニカラグア

この4か国の人口は、ホンジュラスが974万人、ニカラグアが654万人、コスタリカが504万人、パナマが424万人です。ちなみに、北海道は人口526万人で青森県を足すと650万人になります。4か国の新型コロナの感染者数や致死率などは次のとおりです(感染者数と死亡者数はJohns Hopkins大の数値)。

感染者死亡者致死率感染率
ホンジュラス26461425.42.715
ニカラグア25832.00.038
コスタリカ863101.21.710
パナマ96062752.922.624

いつものように致死率は「死亡者数/感染者数」で求めたもので、感染率は人口1万人当たりの感染者数です。ついでに、1週間ごとの新規感染者数をグラフ化してみました。

ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマの新規感染者数

陸続きの国々ですが、ずいぶん様子が異なります。とりわけニカラグアの感染者の少なさが際立っています。ニカラグアは野球の国内リーグ戦を観客を入れて開催している唯一の国です。プロボクシングの試合もレフェリーやセコンドがマスク着用のうえ開催されています。

ニカラグアのオルテガ大統領は1985年就任ですが、国連監視下で行われた1990年の選挙では10ポイント差で負けています。対立候補が急死した2006年の選挙で返り咲き、通算では20年に及ぶ長期政権です。現職の副大統領は夫人が務めています。

在ニカラグア日本大使館の最新情報は4/29付です。

● 国境閉鎖の実施
国境閉鎖に関し,政府による正式発表はありません。しかし,既に実質的な国境閉鎖が実施されており,隣国の措置と合わせて出入国ができない状況が続いています。
● 当国のコロナウイルスの状況
〇 保健省によりますと,28日現在,新型コロナウイルス患者は3名です。
〇 市民団体(Observatario Ciudadano)によれば,新型コロナウイルスの患者数は316名(4月24日現在)となっております。4月22日までに,3県(エステリ,マドゥリス,マナグア)において17名の医療従事者のコロナウィルスの感染が確認されています。22日までに,12県で,44名が肺炎・心臓発作・その他コロナウイルスと疑われる症状で死亡しています。
保健省(MINSA)発表によると,4月1週目1,394名,2週目631名,3週目998名の新規肺炎患者が発表されています。(注:政府はコロナウイルス患者数を肺炎患者数にカウントしているのではないかと疑惑が出ている一方,肺炎患者数は昨年よりも少ないという統計もあります。

在ニカラグア日本国大使館「~ニカラグアの現状(運航停止措置の延長等)」(4/29)

大使館は「保健省の発表を鵜呑みにするな」と言いたいのかもしれません。ニカラグアの感染者数は北朝鮮やトルクメニスタンのくくりで考えるべきなのでしょう。ニカラグアの日本大使館では現地スタッフの運転手がコロナ疑いで死亡したと報じられています。また、3000人近くの受刑者を釈放したという報道もあります。

一方、コスタリカのサラス保健相は感染症のドクターということです。明日20日で退任する台湾の陳建仁副総統と同様にタイミングよく要職に就いていたわけです。コスタリカ政府は3月16日に18日23:59から有効の「国家非常事態宣言」を発出し、すべての入国者に14日間の自宅隔離を求めています。3月16日時点の累積感染者は36人でした。

(1)全ての海水浴場の閉鎖
(2)全ての教会及び宗教施設の閉鎖と関連行事の禁止
(3)24日から,毎日午後10時から午前5時までの車での外出禁止。違反した場合,約4,400円の罰金。
(4)当国に在留する外国人,難民及び移民申請中の者等,特別な条件下にある者で,一度コスタリカから出国した者については,その資格は剥奪され,同じ資格で再入国することは出来ない。

在コスタリカ日本国大使館「新型コロナウイルスに関する注意喚起」(3/24)

コスタリカの首都サンホセは標高1170mで、月平均の最高気温が24~27℃、最低気温は14~16℃です。海岸沿いの街では7℃ほど気温が高くなる計算です。海水浴場の閉鎖から始まっているのは、年間を通して最大のレジャー施設になっているからなのでしょう。

5月11日からビーチは平日の5:00~8:00に限り解禁され、サッカーの無観客試合も認められました。コスタリカは2014年のW杯で決勝トーナメントに進出しています。コスタリカではこれから雨季に入ります。湿度が上がっても人が屋内に集中すれば危険度は増すことになるわけです。

なお、コスタリカには再選禁止規定があり、大統領も国会議員も現職が立候補することはできません(国会議員は1回休み、大統領は2回休みで再選出馬可能です)。日本では2人の候補者が小選挙区と比例代表に交互に出馬することを「コスタリカ方式」と呼んでいますが、コスタリカからすればいい迷惑です。

ニカラグアとコスタリカで興味深いのは、コスタリカは中国マネーに惹かれたのかどうか2007年に台湾と断交して中国を承認していますが、ニカラグアは1990年以降は台湾との国交を維持していることです。

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