文句があるなら自分でやれ
よそ様が費用と時間をかけてやっていることに対して、ああだこうだと言うべきでないことはわかっているつもりです。「文句があるなら自分でやれ」は真理です。
今では不動産の登記事項証明書をネットで取得することができます。1990年代まで現地の法務局に行かなければ登記簿謄抄本の交付を受けることはできませんでした。もちろん、当時も地番なり家屋番号なりがわかっていれば郵送は可能でした。
ただ、自己所有物件でない限り、地番や家屋番号はわからないのが実情です。ブルーマップを盲信するのは危険です。公図と照らし合わせて物件を特定する作業が必要になります。郵送では公図を閲覧できませんので、法務局に行くしかなかったわけです。
午前中に交付を受けるためには遅くとも11時半、業務量の多い法務局では11時までに申請する必要がありました。たしか杉並が11時だったはずです。役所ですから、昼休みもきっちりあって夕方5時には終わります。遠隔地の法務局ならそれだけで1日仕事です。
で、PC申請の初期画面では「共同担保目録」の項目が「除く」になっています。これを「全部事項」で申請することを強くオススメします。
共同担保目録とは
建物登記の乙区に抵当権が設定される場合、担保となる不動産がその建物単体であるケースはきわめて稀です。通常は建物とともに土地にも同じ抵当権が設定されます。私道持分があったり、敷地が2筆以上にまたがる場合は、同じように抵当権の対象となっているはずです。
単純でないケースもあります。たとえば1億円の借り入れに対して、A土地とA土地上のB建物の担保価値が1億に達しない場合には、遠く離れた別の土地や建物を担保として差し入れることになります。
法人名義になっている工場の土地建物では足りず、個人名義になっている自宅の土地建物も同じ抵当に入っているのはありがちなパターンです。共同担保目録「除く」で申請した工場の土地・建物の登記事項証明書だけでは、自宅の土地建物が同じ担保に入っていることはわかりません。
1 | 抵当権設定 | ◯年◯月◯日 第◯号 | 原因 ◯◯ 債権額 ◯◯円 債務者 ◯◯ 抵当権者 ◯◯ 共同担保目録(を)第5963号 |
田園調布の自宅のほかに那須の別荘が担保に入っている場合に、田園調布の登記事項証明書を共担つきで請求しておけば、共同担保目録がついてきます。
1 | 東京都大田区田園調布◯◯の土地 |
2 | 東京都大田区田園調布◯◯番地 家屋番号◯◯の建物 |
3 | 栃木県那須塩原市◯◯の土地 |
4 | 栃木県那須塩原市◯◯番地 家屋番号◯◯の建物 |
必要があれば、那須の別荘についても登記事項証明書を取得すればいいわけです。
手数料は変わらず
申請する段階では、担保に入っているかどうかはわからないことのほうが多いはずです。むしろ、わからないからこそ証明書を請求するのです。担保に入っていたとしても、その土地・建物で完結しているケースが圧倒的に多いわけですが、そうでない事例は絶無ではありません。
実際の取引なら共担目録も信託目録もマストです。ビジネス目的でない場合でも、共担目録や信託目録からその所有者(または関係者)の別の物件に辿り着くことができます。せっかく費用をかけているのに、わざわざそのチャンスを閉ざす必要はありません。
電子化前の謄本は10枚を超えたら5枚か10枚ごとに100円加算だったと記憶しています。しかも登記印紙という独特の証紙を貼付して支払うシステムでした。共担がたくさんあると、滅多に使わない100円の登記印紙をわざわざ買いに行かなければなりませんでした。印紙売場は庁舎内にありますが、交付窓口と同じフロアとは限りません。
今は50枚まで同一料金で、50枚を超えたら50枚ごとに100円加算です。紙の時代より圧縮されていますので、電子証明書が50枚に及ぶことはまずありません。「全部事項」で共担を請求しても99%以上の確率で手数料は変わらないはずです。
「全部事項」は抹消されたものを含み、「現在事項」は今生きているものだけです。「信託」は甲区に記載されますが、それほどポピュラーではありません。そうはいっても、信託の有無も申請時にはわからないはずです。共担目録も信託目録も単体では交付されませんので、取り直しになりかねません。取り直しを歓迎するのは大相撲の観客だけです。
というわけで、不動産の登記事項証明書を取得するなら、共同担保目録を「全部事項」として申請することをオススメする次第です。これまで何度か書こうと思いながら機会を逃してきた余計なお世話でした。
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