埼玉県・三郷市議の関根和也氏が除名、審決で覆るのか?

地方自治法の規定

地方自治法第135条第1項は次のように定めています(法令検索>地方自治法 第10章)。

第135条 懲罰は、左の通りとする。
 公開の議場における戒告
 公開の議場における陳謝
 一定期間の出席停止
 除名

軽いほうから戒告<陳謝<出席停止<除名の4段階で、これは国会法135条と同等です(国会法では出席停止ではなく登院停止)。

今年夏の参院選と同日に投開票された三郷市議選で初当選した関根和也氏が3日付で除名になったということです。三郷市は埼玉県南東端の自治体です。チーバくんの鼻の黒く細長い部分の真下になります。東京都葛飾区とも接しています。

三郷市

国会議員の除名(政党からの除名ではなく議員資格の喪失)はガーシー氏が有名ですが、国会議員が除名されたのは72年ぶりでした。地方議員は報道が目につかないだけで、それなりにあります。松浦氏と新井氏のケースは私も覚えています。

2018年6月高知)東洋町田島毅三夫審決で取り消し
2019年6月北海道)札幌市松浦忠地裁は取り消し、上級審では棄却
2019年12月群馬)草津町新井祥子審決で取り消し(最後はリコール)
2020年11月千葉)市川市三浦一成
2021年4月北海道)本別町梅村智秀審決で取り消し
2021年5月宮崎)三股町重久邦仁審決で取り消し
▲地方議員の除名が可決されたケース

4年ぶりなのかそうでないのかわかりませんが、確認できた6例のうち4例では、除名された議員の異議を知事が認めて除名を取り消されました。今回もそうなる可能性はあるかと思われますが、関根氏は今のところ審決を求める意向を明言してはいないようです。

議会内の言動がカギ

公職者は拘禁刑以上が確定すれば自動失職となります。たとえば元彦氏が起訴されて1審判決が拘禁刑以上だったとしても、控訴あるいは上告すれば失職はしません。自発的に辞職していただくしかありません。

議会による懲罰としての除名は、あくまでも議会内の言動が問題になります。ガーシー氏が問われたのは1日たりとも議会に出席しなかったことであり、名誉毀損とか脅迫とは別次元の話です。したがって、関根氏が審決を求めれば大野知事が覆す可能性がないわけでもありません。

7/20関根氏が市議選で初当選
7~9月関根氏が市役所窓口を50~60回訪れて職員に暴言を吐き業務妨害
8/22市長が議長宛てに関根氏の不適切な言動について申し入れ書を提出
8/25市議会が条例に基づく審査会を開く
9/19市議会が関根氏の辞職勧告決議案を議決
11/7埼玉県警が威力業務妨害容疑で関根氏を書類送検
11/28市議会が審査会を再度開催し「辞職勧告相当」
12/1自らの懲罰動議が審議中の議会を関根氏が議長の許可を得ずに退場
同日市議会が関根氏に対して「陳謝」を求める議決
12/2関根氏が「陳謝」するが本意ではないとのSNS投稿
12/3関根氏が市長を睨みつけながら「陳謝」するも漢字を読めず
同日市議会が地方自治法に基づく懲罰特別委員会を開き「除名」を議決
▲これまでの経緯

議会外のことと除名とは関係ありませんが、どうやら急展開したようです。12月1日に「陳謝」が決まり、関根氏は3日に「陳謝」の文書を朗読しますが、その際の態度が問題視されてその日のうちに「除名」にまで発展してしまいました。

手続き的にはもちろん議会側は手順を踏んでいますが、性急さが感じられて、審決に持ち込まれた場合はちょっと弱いのかもしれません。人口14万の三郷市でリコールに持ち込めるかどうかは微妙だと思われます。

カスハラからパワハラへ

関根氏は市議当選前から市役所窓口に乗り込み、職員に対するカスハラを続けていたと報道されています。当選後はこれに拍車がかかったようです。市議と市職員は直接の指揮関係にありませんので純粋なパワハラではなく、従来からのカスハラがエスカレートした形です。

木津雅晟(まさあき)市長は1946年生まれの後期高齢者です。1997年から市議を3期、2006年から市長を5期務めています。実父も1982年から市長3期です。関根氏は市長と議長と業者の癒着を主張していますが、その根拠を語ってはいません。

今年の市議選の公報です。イラストが写真とあまり似ていません。

関根和也2025市議選

昨年の衆院選にも出馬していました。日本郷友連盟埼玉県郷友会常務理事とのことですが、この団体は一般財団法人としては今年5月に解散しています。旧日本軍関係者による団体です。

関根和也2024衆院選

これらの公報では市長に対する不満や批判は一切表明されていません。関根氏は来年秋に予定されている市長選挙への出馬を明言しているだけで、知事に審決を求めるかどうかについては言及していません。

「披瀝」を読めなかった

関根氏は2017年市議選、2021年市議選、2023年県議選、2024年衆院選でそれぞれ落選して、今回が5回目の選挙でした。構図の関係で批判票を集めたのでしょうが、現職2人に挑んだ2023年県議選では善戦しています。

11,084美田宗亮自現
10,060逢沢圭一郎自現
7,993関根和也無新
▲埼玉県議選・東10区(三郷市)

2024年衆院選は当時公明党の代表だった石井啓一氏が敗れた埼玉14区です。6名中5位落選でした。市議選は448票→631票→1408票で、今回は33人中22位で初当選しました。定数は24で、困ったことにNHK党の女性候補も7位初当選でした。ボキャブラ天国で名を馳せたX-GUNのボケ担当・西尾秀貴氏も3位当選です。

で、懲罰の「陳謝」とは、いわゆる反省文(始末書)の音読です。文面は議会側が用意するものであり、関根氏が書いたものではありません。関根氏は文章にある「披瀝」を読めず、後ろを振り返って議長に尋ねています。

関根氏は陳謝の文章を最後まで読み通したものの、たしかに反省の態度には見えません。少なくとも神妙な姿勢とは言えません。田久保氏野々村氏に匹敵する痛さを持っているように思われます。

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