覆面禁止法から一転マスク着用を義務化したオーストリア

スペインの新規感染者数が不穏な動きを見せています。ヨーロッパ諸国は3月下旬に感染者数増加のピークを迎えた国と4月10日前後がピークの国の2グループがあり、いずれもその後はおおむね収束傾向にあります。各国の新規感染者が最多だった日とその数は次のとおりです。

3/25 約9600人 スペイン
3/21 約6600人 イタリア
4/12 約26800人 フランス
3/26 約6600人 ドイツ
4/10 約8700人 イギリス
4/15 約2500人 ベルギー
3/23 約1300人 スイス
4/10 約1500人 ポルトガル
4/10 約1500人 アイルランド
3/26 約1300人 オーストリア

スペインはイタリアを追うように感染が拡大し、4月5日には感染者数でイタリアを抜き、以後は世界2位をキープしています。3月下旬がピークだった国は、そろそろ封鎖を解き経済を再開させようとする時期です。

スペイン、イタリア、ドイツ、イギリスの新規感染者数

4月12日がイースターでしたので、12日と翌13日は数値が下がっています。スペイン政府が外出禁止の「警戒事態」を宣言したのは3月14日、この「警戒事態」を強化して延長したのが3月30日、再延長が4月10日です。食料品店や薬局などを例外に商業施設は閉鎖されたままです。

マドリード郊外にある24万平米の展示会場を集中治療室を含む5000床以上の臨時病院を設けたと報じられたのは3月20日です。この臨時の軍病院はピーク時の患者が退院したことで半分ほどが閉鎖され、製造業や建設業でも一部業務が再開されたと報道されたばかりでした。

イタリアやドイツと同様に新規感染者は減少傾向にあったわけですが、4/15~4/17の3日間と4/19は5000人を超えてしまいました。スペインの致死率は10%を超えていますので、1日5000人の新規感染者は近い将来の500人の死亡者となる可能性が高いわけです。

一方、スイスとオーストリアは順調に新規感染者が減少しています。とくにオーストリアはで4/18からの3日間、新規感染者が2桁台に落ち着いています。ともに人口800万人台ですので、東京23区から世田谷区を除いた人口にほぼ匹敵します。

スイスとオーストリアの新規感染者数

覆面禁止法でマスク着用が禁止されていたオーストリアでは、マスク着用には医師の診断書が必要でしたが、4月1日からは一転してスーパー等でのマスク着用が義務づけられるようになっています(4月6日施行)。

通達「食料品を扱う従業員への保健面での要請の徹底についての指針及び小売販売店の衛生規定」
(1)以下の本指針,オーストリア食品安全・消費者保護法及びEU一般衛生規則に基づく指針を守ることを義務付け,企業の責任によりこれを履行する。
(2)飛沫感染を防ぐために,スーパーマーケット及びドラッグストアーの従業員は防護装備(当館注:マスクなど)を着用する。
(3)顧客が防護装備を持参していない場合,可能になり次第,顧客に防護装備を無料で配布する。
(4)従業員は店内で手袋を装着する。
(5)店舗入口にプッシュ式消毒液を備える。
(6)買い物カートの接触部分は使用後に毎回消毒する。
(7)店内で顧客が接触する部分は定期的に洗浄,消毒する。
(8)従業員が対応するレジはアクリル製のガラスで保護する。
(9)レジで人と人の1メートル間隔を保つために床に表示をする。
(10)店舗は同間隔を保つことが可能な構造にする。
(11)買い物カートを同間隔維持のために利用する。
(12)同間隔維持のために同時に入店可能な顧客の人数を制限し,制限人数に達した場合,店舗を出た人数分のみ新たな入店を許す。
(13)従業員は顧客に非接触決済を推奨する。
(14)症状がある顧客は入店できないことを表示する。
(15)面積が400㎡未満の店舗には以上の本指針は適用しない。
(16)本指針は迅速に遅くとも4月6日までに実施する。

在オーストリア日本国大使館「新型コロナウイルス関連情報(4月1日現在)」

オーストリアの対策は次のようなものです。3/20のグループでの自転車走行禁止は、市民が運動不足解消のためにサイクリングに繰り出したからです。駒沢公園や湘南のような状態になってしまったのでしょう。

  • 2/25(初感染)インスブルックでイタリア人2人の陽性が判明
  • 3/10(累積182名)イタリアからの入国禁止、大学の授業停止
  • 3/12(累積361名)ウィーン市内でイタリアからの帰国者が死亡=国内初
  • 3/15(累積860名)チロル州で外出禁止、スキー場は閉鎖
  • 3/16(累積1016名)外出・集会禁止、生活必需品店を除き店舗は閉店、飲食店の営業は15時まで、高校も休校、退役民兵の招集、オーストリア航空が定期便停止、国内列車運行の削減
  • 3/17(累積1332名)レストラン閉鎖=料理の配達サービスは対象外
  • 3/18(累積1646名)小中学校が休校
  • 3/20(累積2388名)同居人以外の者と共同での自転車走行の禁止
  • 3/30(累積9377名)高齢者の出勤免除義務化、宿泊施設の営業停止
  • 4/01(累積10482名)6人以上の屋内集会の禁止
  • 4/06(累積12206名)スーパー等でのマスク着用の義務化=マスクは原則無料配布
  • 4/14(累積14159名)公共交通機関でもマスク着用が義務化

大学の休校は3/10、高校は3/16、小中学校は3/18です。小学校の休校に効果があるのか、私には疑わしく思えてなりません。子供が大人にうつしたという事例を耳にすることがないのです。

【2020/04/23追記】

富山県の小学校で集団感染が起きています。4月11日に30代男性が陽性判明、その子供の男子児童が15日に陽性判明、小学校は6日に始業式、8日から10日まで登校日、11日の土曜日以降は休校です。21日にクラスメイトの女子児童3人と20代女性担任の計4人の陽性が確認されています。子供から大人に感染しています。

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