日本は世界最速のワクチン接種ペースなのに…

ワクチン・ダービー(7/28)

世界の人口上位30か国について、100人当たりのワクチン接種回数を日本経済新聞社「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」(7/28更新)から拾いました。赤字を施した7か国は前回(7/16)集約時より7回以上増えている国です。

112.0中国64.2日本126.0イギリス
32.3インド1.9エチオピア103.4フランス
103.1アメリカ15.9フィリピン109.3イタリア
23.2インドネシア5.3エジプト10.9南アフリカ
11.7パキスタン4.8ベトナムタンザニア
63.7ブラジル0.1コンゴ民主共和国6.5ミャンマー
2.0ナイジェリア107.9ドイツ3.2ケニア
6.4バングラデシュ81.6トルコ45.1韓国
40.0ロシア12.3イラン49.9コロンビア
47.7メキシコ22.6タイ115.3スペイン
▲100人当たりのワクチン接種回数(人口上位30か国)

日本のワクチン接種は前回集約時より11.4回増で、ブラジルを抜いて30か国中9位になりました。人口上位30か国で定点観測を始めた4月下旬は18位でしたので、接種ペースとしては上出来の部類です。

2回接種という性質上、ある会場で1日1万人の接種を始めたら、その1万人はモデルナなら4週間後に2回目の接種を受けることになります。会場の規模が拡大されない限り、次の4週間は新規受付ができない状態になるわけです。この事情は個人レベルでは遅いと感じさせる要因になりますが、マクロで見る限り順調なペースです。

この1か月間で日本は100人当たり34.7回増えており、スペインの32.9回や中国の28.6回を上回る世界最速ペースです。混乱の原因は十分な説明を尽くさない政府側にあります。肩を持つつもりはありませんが、ことワクチン接種に関してはちょっと気の毒です。

世界各国の感染者数、致死率など(7/28)

新型コロナ累積感染者数上位38か国及び主としてアジアの12か国について、致死率、人口当たりの死亡者数と感染者数、検査陽性率をまとめました。感染者数と死亡者数はJohns Hopkins大の感染マップ(7月28日午後8:22)、直近1週間の陽性率は「Coronavirus (COVID-19) Testing」から拾っています。

国・地域感染者致死率人口比感染率陽性率
全世界195,411,2072.14%5.42253.3
アメリカ34,606,6311.8%18.581051.7
インド31,484,6051.3%3.09230.42.2%
ブラジル19,749,0732.8%26.15935.8
ロシア6,116,2492.5%10.53419.34.8%
フランス6,088,9301.8%17.18934.94.2%
イギリス5,771,7322.2%19.19854.73.8%
トルコ5,638,1780.9%6.12675.8
アルゼンチン4,875,9272.1%23.301088.814.6%
コロンビア4,747,7752.5%23.74943.219.6%
スペイン4,368,4531.9%17.40934.713.4%
イタリア4,325,0463.0%21.14714.32.1%
ドイツ3,767,2202.4%10.97451.11.6%
イラン3,758,1972.4%10.79453.335.9%
インドネシア3,239,9362.7%3.21119.726.0%
ポーランド2,882,4652.6%19.86760.80.3%
メキシコ2,771,8468.6%18.74217.338.1%
南アフリカ2,391,2232.9%12.01408.425.6%
ウクライナ2,329,0442.4%12.60529.46.6%
ペルー2,104,3949.3%60.26647.34.7%
オランダ1,880,5931.0%10.581100.010.1%
チェコ1,673,0171.8%28.401565.20.3%
チリ1,611,0902.2%18.55850.12.6%
イラク1,577,0131.2%4.69401.222.2%
フィリピン1,562,4201.7%2.53144.511.9%
カナダ1,435,4031.8%7.09383.71.0%
バングラデシュ1,194,7521.7%1.2173.327.3%
ベルギー1,119,0302.3%21.86969.82.8%
スウェーデン1,098,1541.3%14.601094.22.4%
ルーマニア1,082,7103.2%17.70559.10.9%
マレーシア1,061,4760.8%2.68332.29.9%
パキスタン1,015,8272.3%1.0746.96.3%
ポルトガル956,9851.8%16.92935.85.1%
日本893,2421.7%1.1970.48.6%
イスラエル865,8770.7%7.581016.41.6%
ハンガリー809,3623.7%31.00835.70.9%
ヨルダン767,3271.3%9.88759.63.7%
セルビア720,6431.0%8.10821.52.5%
スイス715,2671.5%12.57832.63.6%
タイ543,3610.8%0.6378.0
ミャンマー279,1192.8%1.4551.637.0%
韓国193,4271.1%0.4137.84.4%
モンゴル160,3440.5%2.47497.2
ベトナム117,1210.4%0.0512.14.7%
中国104,8004.6%0.030.7
シンガポール64,4530.1%0.06111.00.1%
オーストラリア33,4742.8%0.3713.30.1%
台湾15,5995.0%0.336.60.1%
香港11,9791.8%0.2916.1
アイスランド7,5450.4%0.88222.6
ニュージーランド2,8650.9%0.056.00.1%
▲世界各国の新型コロナ感染者数等(7/28)

今のペースなら8月7日に世界の累積感染者が2億人を突破することになります。意外に遅いのかもしれません。日本は世界で33番目に累積感染者が100万人に到達することになるはずです。累積50万人突破が4月9日でしたので、アルファ株の第4波とデルタ株の第5波の勢いの凄まじさがわかります。

感染者数・死亡者数

インドシナ半島で顕著な感染拡大が見られます。マレーシアは過去最高水準です。

マレーシアの新規感染者数の推移
マレーシアの新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 7/28)

「優等生」だったはずのタイでも感染拡大中です。

タイの新規感染者数の推移
タイの新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 7/28)

タイ以上の「優等生」だったベトナムの感染状況も深刻です。累積感染者は11.7万人ですが、前回集約時から6.6万人増えています。

ベトナムの新規感染者数の推移
ベトナムの新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 7/28)

アフリカではこの現象が起きていませんので、デルタ株はアジア人に相性がいいものと思われます。今後アフリカでデルタ株が流行するなら、その原因の一端は東京五輪だと言われるかもしれません。

致死率

死亡者数を感染者数で割った世界全体の「致死率」は前回集約時の2.149%から2.138%に低下しました。日本でも1.781%が1.690%です。エクアドルが前回の4.6%から6.4%に増えているのは、7月20日に9000人弱の死亡者が計上されたためです。基準の変更があったものと思われます。

マレーシアの人口100人当たりのワクチン接種回数は55.8回です。126.1回のシンガポールは別格として、東南アジアではワクチン接種が進んでいる部類に入りますが、前回0.758%だった致死率は0.806%に上がっています。ワクチン事情は次のとおりです。

・2月16日、ムヒディン首相がマレーシアにおける国家ワクチンプログラムを発表したところ、概要は以下のとおりです。なお、当地在留外国人は2021年5月から2022年2月にかけて実施される第3段階で対象となっています。
1.確保済みのワクチンは以下のとおりで、6,670回分(人口109.65%相当)を確保済み。なおCanSinoは1回接種、それ以外は2回接種が必要。
 ・ファイザー(米):3,200万回分(人口50%相当)
 ・アストラゼネカ(英):1,280万回分(人口20%相当)
 ・Sinovac(中):1,200万回分(人口18.75%相当)
 ・CanSino(中):350万回分(人口10.9%相当)
 ・ガマレヤ研究所(露):640万回分(人口10%相当)

在マレーシア日本国大使館>【新型コロナウイルス】マレーシア国家ワクチンプログラムについて

3割ほど怪しいかもしれないワクチンも混ざっていますが、感染者の急増による致死率の上昇なのかもしれません。

人口1万人当たりの死亡者数

表の「人口比」は人口1万人当たりの死亡者数です。マレーシアは前回の2.15人から2.68人に増えています。フィリピン、モンゴル、サウジアラビアより悪化しました。日本は1.18人から1.19人です。

人口1万人当たりの感染者数

「感染率」は人口1万人当たりの累積感染者数です。マレーシアは332人台で東アジア屈指の感染率です。まあ、致死率が低いのでさほど問題にはなりません。タイは前回の57.9人から78.0人となり、日本より多くなってしまいました。

陽性率

日本の陽性率は「オリンピック効果」で8.9%に達していますが、マレーシアも10%目前です。

マレーシアの陽性率
マレーシアの陽性率の推移(Testing for COVID-19

マレーシアは検査数も増えていますが、日本は検査数が増えずに陽性率だけが上がり続けています。

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