コロナ検査数が増えないのは五輪が原因ではないのか？

厚労省Webサイトにはコロナ検査数の推移のグラフが掲載されています。新規感染者数では明らかに第5波に入っているにもかかわらず、全国の検査数はむしろ減少傾向です。検査数のグラフ上では第5波が到来しているようには見えません。

検査能力（公称）は次のとおりです。

コロナに関するデータで私があまり信用しないようにしているのは、確保病床数の類とこの検査能力（公称）です。参考にはしますが真に受けると危険な代物だと考えています。

1日当たりのPCR検査の最大値は5月14日の約13万件です。

検査能力（公称）とその週の実際の検査数、その週の1日当たりの検査数、1日当たりの検査能力（公称）に対する1日当たりの検査数の割合を算出してみました。

▲検査能力と実際の検査数

ピーク時でも検査能力（公称）の6割程度しか検査していません。検査能力（公称）の6割が実際の検査能力だと考えておけばいいわけです。今週は検査能力（公称）の3割程度です。検査能力（公称）のうち4割はハリボテだとしても、残りの3割はどこに行ったのでしょう？

東京の検査陽性率は1週間移動平均で7/19に10％を超え、7/20では10.7％でした。1832人の新規感染者が出た7/21はもっと高くなるはずです。

第3波で東京の陽性率が10％を超えたのは12月31日です。検査数が1週間の移動平均で1万件を超えたのは1月8日でした。正月休みが入っていましたので、仕方のないことだとは思われます。

明日からの4連休で検査数は確実に下がります。来週前半の新規感染者数はオリンピックの競技結果よりインパクトがあるかもしれませんが、私は検査数に注目したいと考えています。

すでに陽性率が10％に達しているというのに、なぜ東京の検査数は一向に増えないのでしょうか。オリンピック関係者に施されているはずの検査がどこにカウントされているのかよくわかりませんが、世界的には決して多くない日本の検査能力を五輪に割いている結果ではないかと思えなくもありません。

このページの冒頭のグラフで、検査数が増えてもいいのに増えていないのは「地方衛生研究所・保健所」と「民間検査会社」です。五輪を強行開催するなら、五輪用の検査体制は別枠で備える必要があるはずです。どうせそんなことだろうと最初から思っていましたので、案の定という印象しかありませんけど…。

全国の実効再生産数は1.36に達しています。東京は1.33です。

すでに緊急事態宣言のカードは切っています。適用地域を拡大しても、たいした効果はないだろうとしか思えません。わざわざ世界のメディアを集めたうえで、無為無策ぶりを晒すことになりかねないわけです。

考えようによっては、開幕後にオリンピックを中止すれば感染拡大への大きな抑止力になりそうです。最後の切り札を確保するために強行開催に踏み切ったのだとすれば、その深謀遠慮は称賛されていいのかもしれません。

↑五輪前に緊急事態宣言を出すなら、今までで一番厳しく、本当の「短期集中」で出しておくべきでした。