利根川水系・印旛沼の湖水が東京湾に注ぐとき

佐倉市上別府の産廃置場

2020年3月撮影の衛星写真です。千葉県佐倉市上別府の畑です。画像右側の緑の斜め線は八街市(やちまたし)との市境になります。

2020年3月

同じ場所の2020年6月撮影のものです。雲の隙間から畑の奥に何やら白いものが見えます。重機も入っているようです。

2020年6月

2020年12月撮影の画像ではこうなっています。

2020年12月

ストビューで見てみると

2021年3月撮影のストリートビューです。白い物体の正体はフレコンバッグです。積み上げられた高さは3m以上に達するはずです。

赤と黄色の看板には「この現場は違反現場です 土砂の搬入はしないでください ※土砂の搬入を確認した場合には、状況の記録等を行います 佐倉市」と記されています。「土砂」はあまりないように見受けられますが、これが自宅の50m先にあったら心穏やかではいられません。

農地を買い取り産廃を放置していた会社の社長は6月に逮捕されたそうです。大きな会社ならいざ知らず、社長が逮捕されてしまうと誰がこれを撤去するのかという問題が生じてきそうです。県としては、堆積させた行為者なり排出元なりに撤去を求めようということのようです。まあ、行政の対応としてはそうなるのでしょう。

さて、この付近の水系は利根川水系です。この産廃置場(赤の星印)に降った雨はまず印旛沼に流れ込みます。

印旛沼付近
印旛沼付近(地理院タイルを加工)

水面標高1.5mの印旛沼

国土地理院の湖沼データによれば印旛沼の基準水面は1.5mです。水深は西印旛沼が2.9m、北印旛沼が4.8mです。つまり、印旛沼の底は海面より低いわけです。印旛沼の水は利根川に流れることになっていますが、常にそうだというわけではありません。印旛沼は曲者です。

今の隅田川は古代の利根川だと言われています。東京湾に注いでいた利根川は江戸時代にその流路が銚子・神栖方面に付け替えられました。その結果、新しい利根川の下流域で洪水が起こるようになり、これを回避するために、増水した印旛沼の水を東京湾に流そうとして掘削されたのが印旛放水路(新川、花見川)です。

印旛放水路
▲いんばぬま情報広場>利水状況

印旛沼の水は平時なら図面上の右にある長門川を経て利根川に流れます。利根川が増水したときは、2台のポンプで組み上げられて東京湾に流すことになっています。

例年、印旛沼は湖の水質ワースト3に名を連ねています。

湖のCODワースト5
▲環境省>令和元年度公共用水域水質測定結果

このような事情から、水質改善のために利根川が増水していなくても東京湾に流すことが度々あるようです。

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