住居表示は「江の島」、小田急と江ノ電は「江ノ島」

「江の島」は陸繋島なのか?

Wikipediaには次のような記述があります。

江の島(えのしま)は、神奈川県藤沢市にある湘南海岸から相模湾へと突き出た陸繋島であり、一般的に使用される周囲360度が海に囲まれた島では無い特性を有する地名および町名である。

Wikipedia>江の島(2021/07/23閲覧)

Wikipediaの「陸繋島」のページにも「主な陸繋島」として江の島が記載されています。同様に、宮崎市の青島や小豆島のエンジェルロードも「主な陸繋島」のリストに入っています。エンジェルロードには橋がありませんので、満潮になると帰って来れなくなります。

小豆島のエンジェルロードは小豆島(前島)と中余島の間の砂州です。16.2mの三角点のある弁天島と前島の間は埋め立てられており、2棟のホテルが建っています。島としての弁天島は現存せず前島と一体です。ホテルの窓から潮の満ち引きで砂州が消えたり現れたりする様子を見ることができます。

エンジェルロード(地理院タイル

中余島と大余島の間も干潮時には歩けるようですが、中余島の東西に砂州が広がるわけではありません。中余島も大余島も私有地であることから、許可なく島には上陸できないという建て付けになっています。

青島は陸繋島になりつつある?

宮崎市の青島には橋が架かっていますが、干潮時(でアウトドアに適した靴)なら弥生橋を通らずに「鬼の洗濯板」を歩いて渡ることが可能です。地理院地図では青島の周囲に岩礁を示す茶色の破線が施されています。

青島
青島(地理院タイル

青島も私有地ですが、神社所有ですので上陸不可という話にはなりません。ウエルカムです。神社は橋は用意しています。鬼の洗濯板で誰かが転んで怪我をしても、神社サイドが所有者責任を問われることにはなりません。わざわざ危険なところを歩いたほうが悪いわけです。

Wikiの「青島」のページには次のように記載されています。

青島(あおしま)は、宮崎県宮崎市の南東部海岸付近にある周囲860m、面積約4.4ha、高さ約6mの島。陸繋島になりつつある。

Wikipedia>青島(宮崎県)(2021/07/23閲覧)

もし江の島を陸繋島と言っていいのなら青島も立派に陸繋島です。逆に、青島が「陸繋島になりつつある」状態なら、江の島はまだそのレベルには達していません。1人が執筆・編集するわけではないWikiの性質上「陸繋島」の定義・基準が揺らぎ、収拾がつかなくなっています。

江の島では橋を使わずに歩いて渡れるのは、満月・新月の干潮時に限られるはずです(渡り切るためには岸壁をよじ登る必要があるかもしれません)。地理院地図上の江の島は両側から砂州が伸びていますが合体していません。片瀬とは橋でつながっているだけです。

江の島
江の島 (地理院タイル

地図上には干潟の青破線もありませんし、岩礁の茶破線もありません。江の島は陸繋島ではないというのが私なりの理解です。

「江の島」か、「江ノ島」か

江の島には「江島神社」があります。表記上では「の」または「ノ」が入りません。2012年11月撮影のストビューです。

島の名前は明治期の地図では「江ノ島」ですが、1970年代から「江の島」表記に変わっています。住居表示の施行は1966年(昭和41年)で、それ以前は「江之島」だったようです。島の東側が江の島1丁目、西側が江の島2丁目です。2021年7月1日時点の人口は、1丁目が85世帯202人、2丁目が48世帯98人です。メインの商店街で分かれていますので、断層が境というわけではなさそうです。

1902年(明治35年)に江之島電氣鐵道が片瀬駅を開業しています。片瀬駅は1929年(昭和4年)に「江ノ島駅」に改称され、同年には小田急線の「片瀬江ノ島駅」も開業しました。モノレールの「湘南江の島駅」は住居表示以後の1971年開業です。

住居表示が「江の島」とされたことで、MAPに反映できなかった交差点や路線名を含めて公共系では「江の島」表記が圧倒的に多く、江ノ島電鉄の施設でも島内のシーキャンドルやエスカーは「江の島」です。片瀬側では駅名の関係で「江ノ島」表記が多くなっています。

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