福徳岡ノ場の軽石が「水曜どうでしょう」の聖地・喜界島へ

軽石の漂着地点

南硫黄島の北北東5キロにある海底火山・福徳岡ノ場が噴火したのは8月13日です。この噴火に伴う多量の軽石が北大東島の北東海岸に漂着したのは10月4日頃とされています。その後、喜界島や奄美大島、沖縄本島などにも軽石は流れ込み、漁船が出漁できなかったり、加計呂麻島フェリー航路が変更されたり、巡視船が航行不能に陥ったりという事態が起きています。

報道されている軽石の漂着地点をマッピングしてみました。

軽石の漂着地点
軽石の漂着地点(地理院タイルを加工)

各種報道で軽石が漂着したとされている海岸や漁港は次のとおりです。

  • 北大東島(東岸の人工海岸・沖縄海)
  • 喜界島(志戸桶海岸、早町漁港、花良治海岸)
  • 奄美大島(笠利町の宇宿漁港)
  • 加計呂麻島(生田港)
  • 与論島(東岸の皆田海岸、大金久海岸、北岸の黒花海岸)
  • 沖縄本島(今帰仁村、国頭村の辺土名漁港、大宜味村の平南川河口、本部町の具志堅ビーチ、中城村の吉の浦公園海岸、糸満市沖)
  • 伊是名島
  • 古宇利島

沖縄本島の東岸はそれほど多量ではないというだけで、軽石の漂着が皆無というわけではありません。

喜界島北端「山田君のキャンプ地」

漂着地点のうち、喜界島の志戸桶(しとおけ)海岸とは「水曜どうでしょう」喜界島一周のキャンプ地です。番組内では「名もなきキャンプ場」とされ、志戸桶という固有名詞は一切出ていませんでした。2013年11月撮影のストビューです。

水どう一行はこの標識を見てキャンプ場方面に向かいます。キャンプ場は2001年当時も「名もなき」だったくらいですので、今では閉鎖されています。グーグルマップで表示される地点より内陸になるはずです。

志戸桶
志戸桶(地理院タイルを加工)

Wikipediaには次のような記述があります。

藤村Dと鈴井が、鹿児島県名物のかき氷、「白熊」の早食い対決をして藤村Dが負け、藤村Dがキャンプ地のムチャカナ公園付近までリヤカーを引いた。

Wikipedia>水曜どうでしょうの企画 (日本国内) リヤカーで喜界島一周(2021/10/24閲覧)

一行のキャンプ地はムチャ加那公園ではありません。ムチャ加那公園は900m標識の矢印と真逆にあり、直線でも1.7キロ離れています。それに、ムチャ加那公園には炊事場がありません。有能な藩士は聖地巡礼で志戸桶キャンプ場を訪れています。

→Google Map 志戸桶キャンプ場の投稿画像

福徳岡ノ場と南硫黄島

噴火した海底火山・福徳岡ノ場の「福徳」とは、この暗礁を見つけた船の名前に由来するようです。東京とグアム島のほぼ中間地点です。8月の噴火は戦後日本における最大規模の噴火とされています。

福徳岡ノ場
福徳岡ノ場(地理院タイルを加工)

福徳岡ノ場では1904年、1914年、1986年にも噴火による新島が出現しましたが、いずれも崩落して暗礁に戻っています。火山噴火予知連絡会が選定している活火山は北方領土を含めて111あります。福徳岡ノ場も入っていますが、阿蘇山や諏訪之瀬島や桜島のように常時監視が必要とされる50火山には含まれていません。

5キロ南にある南硫黄島(みなみいおうとう)は無人島です。福徳岡ノ場で8月以上の噴火が起きたところで、まず人命に関わる事態にはなりません。そういう理由なのだろうと思われます。南硫黄島ももちろん火山島ですが、111の中には含まれていません。

南硫黄島と福徳岡ノ場は同じ火山のカルデラ内で、南硫黄島がカルデラの南端、福徳岡ノ場が現在の火口という位置づけになるようです。南硫黄島は直径2.2キロほどの島ですが、最高標高は916mに達します。千葉県最高峰は408mの愛宕山、沖縄県の最高峰は526mの石垣島・於茂登岳(おもとだけ)です。

漂流している軽石の大群は黒潮の本流に近づいています。規模はともかく、そう遠くないうちに高知、和歌山、静岡あたりにも漂着するものと思われます。

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