南北2.6キロの謎
Wikipedia「天神橋筋商店街」には次のように記載されています(太字は私が施したものです)。
天神橋一丁目から天神橋六丁目まで南北2.6km、600の店舗が軒を連ねる日本一長いアーケード商店街である。
Wikipedia「天神橋筋商店街」(2020/09/15閲覧)
この記述は誤りです。Google Mapと地理院地図で計測してみましたが、1丁目のアーチがある地点から6丁目のアーケードが途切れる地点までの南北距離は約2キロ(地図上のピンク)にすぎません。
商店街はシンプルな一本道ではなく横に広がったり本線に並行する側道的のものがあったりしますので、「総延長」なら2キロ以上になりますが、そもそも「南北」距離は変わりようがありません。
とはいえ、南北両端の赤線部分(北は7丁目)を強引に加えてしまえば、切り上げ2.6キロにならないわけでもありません。もし2.6キロが正しいのなら7・8丁目を加える必要があり、1~6丁目が正しいのなら2.6キロではありません。
Wikiの履歴を見ると、2016年8月21日04時08分の更新で「六丁目まで」が追加されています。
商店街の南端
大阪市の場合は原則として市役所に近いところが1丁目になるようです。大阪市役所は中之島にあり、天神橋1丁目の西800mほどです。南北に長い天神橋の町域は南から1丁目、2丁目…8丁目になります。
天神橋筋商店街は天神橋筋の旧道です。新道の天神橋筋は市電建設時に拡幅されたいわばバイパスになります。旧道は天神橋からほぼ真っ直ぐ北上しますが、バイパスは1本西側(大阪湾寄り)に設けられています。2014年3月撮影のストビューを埋め込みました。
舗装の変わるところが商店街の起点と考えていいはずです。一丁目商店街Webサイトのイラストマップもここから始まっていますので、商店街の南端はこのカラー舗装部分と考えることに異論はなかろうと思われます。
北端はどこなのか
天神橋4丁目にはJR環状線を境にして「天神橋筋4丁目北商店街」と「天神橋四番街」の2つの商店街があります。商店街のアーケードは6丁目で終わります。ただし、6丁目と7丁目を隔てる都島通を渡っても、商店街は続きます。7丁目には4つの商店街(会)があったようです。
緑のマーカーを置いた地点のストビューは2016年6月撮影のものです。ここで道路のカラー舗装が終わります。
レストラン利樹さんの看板が付いている街灯の最上部には「天七商店街」と記されています。一方、右の街灯は左の街灯と形状が異なります。柱には「天神橋七丁目中商店会」のプレートを確認することができます。
私なりの判断では、道路舗装が変わるこの地点が商店街の終点です。南北距離としては2.16キロです。
アーケード区間 | 1.98キロ |
カラー舗装区間 | 2.16キロ |
歩行者専用道路(7:00-22:00)区間 | 2.37キロ |
ふれあいの街
実は、まったく商店街らしくない8丁目にも「天神橋八丁目商店会」が続いています。その北端にあるのはラブホです。歩道の切れ目には「ふれあいの街」という街灯が建っています。幸か不幸か、車で長柄橋(ながらばし)を南下してきても旧道に左折することはできません。車止めがあるのです。
2014年4月撮影のストビューです。影が短いので時刻は正午頃です。日曜日かもしれません。予期せず写り込んだのが後ろ姿だったのは不幸中の幸いでしょう。ここから天六の駅まで徒歩10分です。
さて、1丁目の舗装が変わったところから8丁目ラブホ前の最後の街灯までをGoogle Mapで計測すると、直線で2.66キロです。切り捨ててしまえば2.6キロになります。おそらく「南北2.6キロ」の両端はこれが正解なのだろうと私には思われます。
なお、大阪市観光局のWebサイトに「2.6キロ」についての説得力のない記述を発見しましたので、七不思議(↓)のページで触れました。橋が起点というのはあり得ない話です。
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