第4波を回避したアメリカ
日本とアメリカの感染者数のグラフは第3波までほぼ共通です。アメリカの第1波のピークは4月初旬、第2波が7月中旬、第3波は1月初旬です。
第1波から第3波まで日本のピークはアメリカより若干遅れています。
第4波に関しては、アメリカでも山はありますが大きなものではありませんでした。これに対して日本では全国レベルでは第3波に匹敵するものとなりました。東京が早めに対応したために最悪の事態は避けられました。
アメリカで第4波が起こらなかった理由の1つはワクチン効果と思われます。もちろん、他の要因もあるに違いありませんが、ワクチンが寄与していることは否定できないはずです。4/2時点で、日本のワクチン接種は人口100人当たり0.8回でしたが、アメリカは45.3回に達していました(このときのアメリカの感染率は9%を超えていました。日本はまだ1%にも達していません)。
第2波を振り返ると
去年夏の第2波では緊急事態宣言こそ発出されませんでしたが、大都市では飲食店やカラオケ店に休業要請がありました。第2波を振り返ってみます。
リバウンドはちょうど6月末から始まっています。もし冷房の効いた換気の悪い屋内に閉じこもりがちになるという季節性が夏の流行を呼び込んでいるのなら、第5波は避けられません。直近の実効再生産数は次のように推移しています。実効再生産数は大阪でもほぼ2か月ぶりに「1」を超えてきました。
6/22 | 6/23 | 6/24 | 6/25 | |
全国 | 0.88 | 0.92 | 0.95 | 0.98 |
茨城 | 0.75 | 0.74 | 0.86 | 0.98 |
栃木 | 0.77 | 0.87 | 1.01 | 1.04 |
群馬 | 0.50 | 0.59 | 0.65 | 0.86 |
埼玉 | 0.94 | 1.01 | 1.10 | 1.19 |
千葉 | 1.07 | 1.08 | 1.07 | 1.03 |
東京 | 1.06 | 1.07 | 1.10 | 1.12 |
神奈川 | 0.97 | 0.96 | 0.96 | 0.95 |
山梨 | 0.97 | 1.11 | 1.25 | 1.47 |
福井 | 3.66 | 4.30 | 3.91 | 3.23 |
滋賀 | 0.83 | 0.81 | 0.66 | 0.76 |
京都 | 0.58 | 0.67 | 0.70 | 0.70 |
兵庫 | 0.74 | 0.76 | 0.72 | 0.68 |
大阪 | 0.85 | 0.90 | 0.97 | 1.06 |
奈良 | 1.14 | 1.28 | 1.23 | 1.29 |
和歌山 | 0.73 | 0.94 | 1.64 | 1.57 |
これまで抑えてきた山梨や福井で増えているのが気になるところです。今までの対策では通用しなくなったのではないかとも見えるからです。デルタ株は山梨では見つかっていますが、福井ではまだ確認されていません。アルファ株の第4波は関西が中心でしたが、第5波をもたらしそうなデルタ株は関東中心です。
Google予測はまだそれほど深刻な数値になっていません。ただ、第5波のスタート地点は第2波のピークに匹敵し、第4波のスタート地点より高いところから始まっているわけです。去年の7月は全国レベルでは上昇局面が続きました。
緊急事態宣言はもう1度あるのか
では、第5波で4回目の緊急事態宣言が発出されるのでしょうか。五輪前の発出は可能性がないわけではありません。重点措置の期限である11日より前に緊急事態宣言に切り替えて、7/5の月曜日から五輪直前の21日あたりまで続ける可能性は排除できません。露骨すぎて反発が大きくなりそうですが、21日に解除すれば五輪を無観客にしなくてもいいわけです。
五輪期間中の宣言発出は9割以上の確率でないはずです。感染者が増えても重傷者はそれほど多くないという理由で期間中には出さないことになっているものと私は感じています。ということは、シビアな状況になっていれば、五輪後の緊急事態宣言は十分にあり得るという認識です。いつか来た道(テスト大会のあとの北海道)です。
緊急事態宣言が五輪前であろうが五輪後であろうが、これまでと同じような協力を得られるかどうかは懸念されるところです。とりわけ五輪前に解除することを前提とした緊急事態宣言への移行は、何を優先しているのかが問われるだけでなく、リセットに要する時間があまりに不足しています。
たいして増えてもいないのに2週間で緊急事態に逆戻りするなら、おいそれと受け入れることはできません。今後の1か月半、舵取りは困難を極めることになります。無観客ならシンプルだったのに、わざわざ有観客を選んだのですから仕方のないことです。
1年延期を決めたのは前総理でした。かりに五輪で菅内閣が倒れ、2度も政権を投げ出した前総理の再々登板などという事態に陥るなら、1年延期の決定は(結果的に)時限爆弾だったことになります。
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