院内感染MAPの進捗率は7~8割


【22/02/16】表題の「院内感染MAP」は非公開としています(削除予定です)。保健所サイドが検査に消極的だった事例として、このページは削除しないつもりです。


院内感染MAPはいまだ作成中ですが、ちょっと興味深い事例がありました。県の発表は次のとおりです(福島市のリリースと同文ですので、福島市保健所がオリジナルと思われます)。

4月16日(木)発熱(38.7℃)、鼻水、鼻づまり、倦怠感、頭痛あり
4月17日(金)発熱(37.7℃)あり
4月18日(土)発熱(37.4℃)あり
4月19日(日)発熱(38.5℃)あり
4月20日(月)胸部CT上で肺炎所見あり。倦怠感継続。
入院中の医療機関より帰国者・接触者相談センターへ連絡
4月22日(水)新型コロナウイルスの検査結果、陽性と判明

福島県「新型コロナウイルス感染症患者の県内発生について(65 例目)」(4/22)

病院側のWebサイトには、次のように記されています。

4/16(木):午後の検温で38℃台の発熱および鼻水、倦怠感あり。
 感染予防のため、要観察者として大部屋(3名在室)から個室へ移動。
4/17(金):日中36℃台まで下がるも夜間38度台。鼻水・咽頭痛あり。
 血液検査及びインフルエンザ検査施行(陰性)。
4/18(土):日中36℃台で過ごす。
4/19(日):日中38℃台まで発熱。医師に報告しインフルエンザ検査施行(陰性)
4/20(月):厚生労働省による「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について」の通達に沿って4日間の経過観察を行い、症状が持続するため胸部CTを施行し肺炎所見あり。
 午前保健所へPCR検査を相談。保健所より適応ではないと連絡あり。午後、再度保健所へ相談。
4/21(火): 対象患者のPCR検査実施。および以前同室であった患者に胸部CT施行。
 病室のゾーニングを行う。デイケア等の中止。
4/22(水): PCR検査の陽性判明。外来診療の中止。
 感染拡大防止における保健所からの指導を受け対応を開始。

一陽会病院「病院長からPCR検査までの経緯について(補足)」(4/23)

両者をくらべると17日と18日の体温が異なります。病院側は17日は「起床時37.6℃、9:00に37.4℃、日中は36℃台、16:00に38.4℃、18:45に37.7℃、20:00に36.8℃」、18日は「起床時36.3℃、午前36.8℃、夕方37.4℃」と最初に発表しています。どの数値を採用したかの問題にすぎません。

問題は赤字で示した20日の部分です。県の発表では、病院から帰国者・相談者センターに連絡があったとさらっと触れられているだけですが、実際にはいったん断られているわけです。前日のリリースにより詳しい記述があります。

→ 午前:胸部CTで「肺炎所見」を確認し新型コロナウイルス感染の可能性を疑い、保健所に相談の電話
→ 昼頃:保健所から「入院中であり濃厚接触の可能性がなく、PCR検査の適応ではない」と回答あり
→ 午後:病院長が「PCR検査」での確認を強く要請 
→ 4/21にPCR検査を実施する回答を得る。

一陽会病院「新型コロナウイルス感染:PCR検査までの経緯」(4/22)

担当医が電話したときは断られたので、改めて院長が押し込んだということのようです。まあ、公的文書でそこが省略されるのはありがちなことなのかもしれません。作為のある隠蔽とまでは言い切れません。

院内感染MAPは3区分としています。(1)入院患者の発症のみ、(2)医療従事者の感染、(3)院内感染です。上のケースについて、病院自身はこれを院内感染と呼んでいますが、私の区分では(1)です。その医療機関に関わる感染者が複数いなければ院内感染にはならないと私は理解しています。

一陽会病院の事例については入院時期が定かではありませんが、市中感染した入院患者が院内で発症したものと思われます。この入院患者から医師や看護師やほかの患者に感染したときは院内感染になるというのが私の認識です。

医療従事者が市中感染しただけなら(2)のくくりに入れています。複数の医療従事者が市中感染することもないわけではありません。現在、MAPに反映したのは235件で、そのうち102件が(3)のくくりです。残りは50件ほどですので、月内には追いつきそうです。

この病院の場合、入院患者1人の陽性者が出ただけで55人の接触者がPCR検査を受けていますが、看護師1人の陽性者で100人以上の職員を自宅待機させている病院もあります。陽性者が出たときの医療機関のダメージは相当に深刻です。

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