2020年の「一番寒い町」は上士別町のアメダスぬかびら源泉郷

富士山を除くアメダス観測地点で、2020年の年平均気温がもっとも低かったのは、上士別町のアメダスぬかびら源泉郷でした。「ぬかびら」は漢字では「糠平」です。広島には「めがひらスキー場」がありますが、こちらは「女鹿平」です。ひらがな地名は想像力を掻き立てるものかもしれません。

士幌線糠平駅の開業は1937年です(JR移行前の1987年廃止)。1948年に糠平温泉スキー場(2008年から「ぬかびら源泉郷スキー場」)が開業、1956年には糠平ダムが完成しています。「ぬかびら」の由来となった岩はダム湖の湖底に沈んでいるようです。

十勝の山奥なのに人口が微増

上士幌町Webサイトによれば、同町の人口は2020年12月現在で4,964人です。

上士幌町の人口
上士幌町の人口

前月比プラス6人が気になります。鉄道も高速も走っていない十勝地方の山奥で、しかも一層寒くなる12月に人口増の現象が起きているのは不思議です。見過ごすことはできないと言うほどのことではありませんが、せっかく町のサイトを開いているのですから、調べてみました。

人口世帯数1世帯当たり
2010年12月5,188人2,348世帯2.21人
2011年12月5,153人2,337世帯2.20人
2012年12月5,072人2,339世帯2.17人
2013年12月5,005人2,338世帯2.14人
2014年12月4,884人2,325世帯2.10人
2015年12月4,886人2,397世帯2.04人
2016年12月4,917人2,439世帯2.02人
2017年12月4,988人2,503世帯1.99人
2018年12月5,000人2,537世帯1.97人
2019年12月4,957人2,556世帯1.94人
2020年12月4,964人2,597世帯1.91人
▲上士幌町の人口と世帯数

上士幌町の人口や世帯数は2014年に底を打って、2015年から微増傾向にあります。認定こども園の保育料が無料化された時期とぴったり重なります。ただ、世帯数は増え続けているのに人口は頭打ちです。世帯当たりの人員は一貫して低下傾向です。

保育園児が1人で転入してくるわけがありません。おおむね3人以上で転入しているはずです。ということは、それ以上に単身世帯が増えているということにしかなりません。

大雪山の南麓

上士幌町観光協会のWebサイトには次のように記載されています。

ぬかびら源泉郷は大正8年に発見された、北海道東部にある温泉地です。

上士幌町観光協会>ぬかびら源泉郷の紹介

十勝ですから道東には違いないのですが、絶妙の位置にあります。上士幌町の北に隣接するのは道北に分類される上川町です。道北扱いされることもある北見市とも接しています。上士幌町の最寄り駅は帯広駅になります。

アメダスぬかびら温泉郷と上士幌
ぬかびら源泉郷と上士幌(地理院タイルを加工)

アメダスぬかびら源泉郷は赤のマーカーで、その標高は540mです。青のマーカーはアメダス上士幌です。町役場の近くにあり標高は287mです。上士幌町には雨量のみ観測のアメダス三股(みつまた)もあります。三股の標高は660mです。

空港のマークに触発されて、ぬかびら源泉郷から道内各空港までの所要時間をGoogle Mapでルート検索してみました。どうせ北海道は車移動です。

帯広空港1時間32分
釧路空港1時間50分
旭川空港2時間22分
女満別空港2時間27分
新千歳空港2時間55分
紋別空港3時間
▲ぬかびら源泉郷からの所要時間

観光協会Webサイトでは、帯広空港から「約1時間12分」ということです。雪がなければそんなものなのかもしれません。ぬかびら源泉郷の場合、直線距離で一番近いのは旭川空港かもしれませんが、その間にそびえるのは大雪山です。3時間なら便数の多い新千歳利用も「あり」のような気もします。

アメダスぬかびら源泉郷とアメダス上士幌

アメダスぬかびら源泉郷とアメダス上士幌は直線距離で17キロ、車なら30分ほどです。標高差は250mあります。両地点の月平均気温を比較してみました。

月平均気温の比較

2019年と2020年、それに平年値(1981年~2010年)を比較しています。冬場は2℃以上の差がありますが、7月は1℃未満です。標高が100m高くなると気温は0.649℃下がると言われています。標高差が250mなら理論上は1.62℃差になるはずです。2020年は1.7℃差、2019年は1.8℃差、平年値も1.8℃差です。

ところで、ダム湖である糠平湖には旧国鉄士幌線のタウシュベツ川橋梁が残っています。コンクリートのアーチ橋は崩れかけていますが、適当な水位の季節で風が穏やかな日なら美しい眼鏡橋に化けることで有名です。

タウシュベツ川橋梁

この橋は水位が上昇する夏には湖面に隠れてしまいます。真夏に行っても面白くないわけです。対岸の展望台から見たタウシュベツ川橋梁の360度写真を埋め込みました。2019年9月撮影のものです。

これ以上、水位が下がってしまうと眼鏡橋になりません。橋に通じる林道は許可車両以外通行禁止ですので、有料ツアーに参加するのが現実的なのでしょう。季節は選ばずにいられませんが…。

コメント

タイトルとURLをコピーしました