ズル林を脱却したアメダス館林、移転後の40℃なし

2007年8月15日に40.2℃を観測したアメダス館林は翌16日も40.3℃でした。この年まで40℃台は19回しか観測されておらず、2日連続は初めてでした。さらに、館林では6年後に3回目の40℃台をマークします。この2013年8月10日の時点で40℃台3回は館林のみでした。

4回目の40℃台は2018年7月23日でした。「幻の4回目」です。

実は同年6月13日にアメダス館林は移転済みですので、この40.1℃は参考値に過ぎません。オフィシャル・レコードは39.4℃です。7月2日から10月1日までの92日間、気象庁は特別に移転前の観測地点の日最高気温を公開しただけです。

92日間で移転前の70勝13敗9分でした。平均では移転前より0.4℃低くなっています。当然のことながら、気温が高いときほどその差は開く傾向があります。

▲移転前後の日最高気気温比較

隣接する熊谷と伊勢崎を加えた3地点の年平均気温です。館林が移転した2018年は3地点の年平均気温は16.4℃でくしくも同一でした。

移転前5年間は「館林＞熊谷＞伊勢崎」の順ですが、移転後はおおむね「熊谷＝伊勢崎＜館林」です。移転後は2020年8月11日に39.9℃、2022年7月1日に39.6℃を観測しただけで、40℃台はありません。

移転前のアメダス館林は、多治見や牛久や三条や移転前の中条と同様に消防署設置でした。2018年5月撮影の航空写真です。

観測露場は画像中央の丁字路左の低木で囲まれた矩形区画でした。半径25ｍ以内はほぼアスファルト駐車場という立地です。風速計は庁舎屋上だったようです。館林の消防署は幹線道路から1本奥まったところです。

出入り口は画像外の西側にありましたが、センターラインのない道路です。住宅地の消防署は周辺住民に歓迎される施設ではありません。駐車場集中地帯になったのは偶然ではないはずです。

美園町の消防署は2020年に1.6キロほど離れた上赤生田町に新築移転しています。アメダス観測所はこれに先立って富士原町にある県立高校のグラウンドに移転しました。

移転前の標高は21ｍ、移転後は23ｍです。

2001年に設置された館林市役所の暑さ対策本部は2022年から気候変動対策本部に改称されています。

移転で0.5℃ほど下がったと思われる年平均気温ですが、2023年は16.8℃で移転の年を上回りました。

2023年の夏日は148日で2013年の152日に及びませんでしたが、真夏日は初めて90日に達して過去最多となりました。

熱帯夜46日と猛暑日43日も移転前を超えました。

2021年から2023年の観測値は次のとおりです。少雨地域ですので年降水量は1000ミリを切ることもあります。

▲アメダス館林の2021年観測値

▲アメダス館林の2022年観測値