気温40℃でもマスク着用を求めるカタール

5月末には減少に転じていたサウジアラビアの新規感染者数が再び上昇に向かっています。グラフは1週間単位の新規感染者数です(単位千人)。

中東4か国の新規感染者数

人口420万人のクウェートと人口970万人のアラブ首長国連邦はピークアウトしたものと思われます。人口280万人のカタールも2週連続の減少ですが、人口3400万人のサウジはこの1週間の新規感染者が2万5000人に届こうかという勢いです。

中東の地図

人口500万のオマーンと人口160万のバーレーンを加えた感染状況は次のとおりです。この両国はまだピークアウトしていません。

感染者死亡者回復者致死率人口比
クウェート35,92029626,7590.8%0.704
サウジアラビア127,54197284,7200.8%0.284
バーレーン18,2274112,8180.2%0.250
カタール79,6027356,8980.1%0.258
アラブ首長国連邦41,99028826,7610.7%0.295
オマーン23,4811048,4540.4%0.209
▲中東6か国の新型コロナ感染状況

中東諸国の特徴はその致死率(死亡者/感染者)の低さです。世界全体では5.5%ですが、中東は1%にも満たない数値です。検査数が多いのだろうということは想像できます。

【ポイント】
 5月17日,クウェートにおいて新規感染者数などの指標が最近急激に増えていることを背景に,高岡大使は保健当局高官と情勢認識について議論しました。先方からの説明内容は概ね以下の通りでしたので,ご参考までにお伝えします。
 クウェート医療当局責任者からのこのような説明は安心材料になるかと思います。ただ,非常に厳しい状況であることには変わりありません。くれぐれもご用心願います。
【本文】
1.新規感染者件数が急増しているのは,検査件数が大きく伸びていることの結果である(注:17日発表の統計によれば,実施件数24万4千件。なお,東京都のHPによれば,今月14日までの累計検査数は約5万3千件)。クウェートでは広範な検査実施を求める声が非常に強い。そのため,症状の有無にかかわらず検査を行っており,事実,陽性比率は非常に低く,また,陽性の場合であっても無症状者が大半を占めている。ともかくも,感染者を早期に特定することにより,感染が広がらないように一般の住民から隔離することが非常に重要であるとの考えである。
2.事態はunder controlであるので,ご心配には及ばない。クウェートの医療システムは大丈夫(intact)である。病床数,ICUなどの拡張にも取り組んでおり,十分な能力がある。また,医師,看護師共に士気が高く頑張っている。
3.5月10日から始まった完全外出禁止令の効果は10日~14日後に現れると予想している。今週末頃から件数の伸びが弱まる徴候が出てくると期待している。

在クウェート日本国大使館>クウェート政府の情勢認識について(5月17日領事メール)

クウェートは東京の3分の1の人口ですが、1か月前の段階で東京の4.5倍の検査をしていたわけです。ただ、東京の死亡者数は314人ですので、人口1万人当たりの死亡者数(上の表の「人口比」)を人口1400万人で計算すると0.224人となります。クウェートの0.704人は世界全体の0.564人を大きく上回っています。

人口1万人当たりの死亡者数ではクウェート以外の5か国はほぼ横並びです。回復率もオマーン以外の5か国は7割前後です。この6か国はほぼ均質の感染状況にあると言えそうです。カタールは人口1万人当たりの感染者数が281人で集団免疫にもっとも近い国です。

カタールでは6月15日から規制緩和の第1段階に入りますが、飲食店舗についてはデリバリーとテイクアウトのみで、店内飲食はまだ認められていません。マスク着用については、次のように変化しています。

  • 4月23日 食料品販売店で買い物時に買い物客のマスク着用が義務化
  • 5月17日 如何なる理由でも外出時のマスク着用が義務化(単独で車を運転している場合は対象外)
  • 6月3日 自宅近くでスポーツを行う場合マスク着用は不必要(過密を避け安全な距離3mを取る)

カタールの日最高気温は4月に30℃を超え始め、6月は40℃が当たり前になります。

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