同名異読の湖西市と湖西線に西海市と長崎市西海町

西がつくのは15市

西海大観音を調べているうちに、こんなところに迷い込んでしまいました。市名に「西」が含まれる市は全国に15市あります。「西」の読みは「にし」、「さい」、「ざい」、「せい」の4通りです。

読み市制施行
西宮市にし兵庫1925年(←西宮町)
西条市さい愛媛1941年(2004年に2市2町合併)
西脇市にし兵庫1952年(2005年に黒田庄町を合併)
西尾市にし愛知1953年(西尾町+平坂町の一部)
川西市にし兵庫1954年(川西町ほか2町村合併)
西之表市にし鹿児島1958年(←西之表町)
西都市さい宮崎1958年(1962年に2町合併)
加西市さい兵庫1967年(加西町ほか2町合併)
湖西市さい静岡1972年(←湖西町)
印西市ざい千葉1996年(2010年に2村編入)
西東京市にし東京2001年(田無市+保谷市)
西予市せい愛媛2004年(5町の合併)
筑西市せい茨城2005年(下館市ほか3町合併)
愛西市さい愛知2005年(2町2村の合併)
西海市さい長崎2005年(西海町ほか4町の合併)
▲「西」のつく15市

「にし」と読む場合はさほど迷いはありませんが、「さい」と「せい」で迷うことはよくあります。私がもっとも苦手にしているのは湖西市です。琵琶湖西岸を走るJR湖西線と混同を起こしてしまいます。両者の読みが同一でないことだけは知っていますので、2分の1の確率で外すことになります。

まあ、地元でない限り日常生活で口にすることはほとんどありません。会話で使わなければいけないときは「こせいせんか、こさいせんか」と逃げればいいだけのことです。ちなみ、石川県内灘町湖西と愛知県碧南市湖西町はともに「こせい」です。

筑西市は印西市に引きずられて「ちくざいし」と入力してしまいます。「蓄財し」に変換されてから気づきます。西予市も「さいよし」で変換されないので、顔を洗って出直すことになります(洗ったことはありませんが…)。単語登録するほどの使用頻度ではありません。

9町7村は「にし」が圧倒的多数

西のつく町は9つで、読みは例外なく「にし」です。

読み町制施行
西桂町にし山梨1952年(←西桂村)
西会津町にし福島1954年(10町村合併)
西川町にし山形1954年(4村合併)
川西町にし山形1955年(5町村合併)
西伊豆町にし静岡1956年(2町合併、2005年に賀茂村と合併)
西ノ島町にし島根1957年(2町村合併)
川西町にし奈良1975年(←川西村)
西原町にし沖縄1979年(←西原村)
西和賀町にし岩手2005年(2町村合併)
▲「西」のつく9町

「西」のつく村は7つです。「げいせいむら」以外は「にし」です。

西目屋村にし青森1889年
西郷村にし福島1889年
西粟倉村にし岡山1889年
西米良村にし宮崎1889年
西興部村にし北海道1925年(興部村から分村)
芸西村せい高知1954年(3村合併)
西原村にし栃木1960年(2村合併)
▲「西」のつく7村

5町合併で西海市

西海市に関しては誤読の要素があまりありません。五畿七道の西海道や西海国立公園や西海学園高校から、すくなくとも「せいかい」とは読みません。西海市は2005年に水色の西彼(せいひ)町、青の西海町、ピンクの大島町、赤の崎戸(さきと)町、紫の大瀬戸町の5町合併で発足しています。5町ともに西彼杵(にしそのぎ)郡です。

大村湾
西海市(地理院タイル

この地図では湖のように見える大村湾は黄色の針尾瀬戸で佐世保湾につながっています。針尾瀬戸に架かる橋は西海橋と名付けられています。1955年の竣工です。緑のマーカーがハウステンボスで、長崎市は大村湾の南側になります。

新市名は公募され、西彼杵市、西海市、西そのぎ市、豊海(とよみ)市、にしのかなた市の5つが候補になっています。合併協議会における第1回投票は、西海市20票、西彼杵市11票、西そのぎ市4票で、決選投票は20票対15票でした。

・歴史的にも由緒ある名称でもあり、西海国立公園、西海橋、西海ブルース等から全国的にも知名度が高い。
・日本列島の西端に位置し美しい海に面した市として、地理的にもイメージしやすい。
・「さいかい」は「再会=もう一度行きたい」に通じる。

西彼北部地域合併協議会>選定の理由

「西海ブルース」の2番の歌詞では「九十九島」が歌われています。九十九島こそ西海国立公園のメインディッシュであり、西海市ではなく佐世保市です。

西海国立公園に入っていなかった西海村

青の旧西海町は1969年に町制施行していますが、Wikipediaには次のような記述があります。

1955年(昭和30年)4月1日 – 面高村と七釜村が合併し、西海村が発足。村名の由来は、同年3月16日に西海国立公園の指定があり、これを記念して名付けられた。

Wikipedia>西海町(長崎県)

西海村の直接の由来は西海国立公園であり、これが西海市に引き継がれたことになるわけです。西海橋の供用開始もこの年の12月です。ただし、西海村は西海国立公園のエリア外です。上の地図の北端に見える西海市対岸の高後崎(こうござき)は国立公園に入っています。

つまり、合併当時の西海村は西海国立公園に隣接していただけで、西海橋はまだ工事中でした。平成の大合併前の西海町は西海国立公園のエリアを含んでいませんでしたが、合併によって西海市は西海国立公園を含むことになりました。

五島列島

五島列島の手前にある平島(ひらしま)は2019年4月末の人口が164人です。五島列島とともに西海国立公園の区域内に入っています。旧崎戸町の平島は今では西海市です。西海国立公園のエリア外にもかかわらず西海村を名乗ってから50年、西海市の名称は正当性が担保されたことになります。

なお、能登半島西岸には1954年まで西海村(さいかいむら)がありましたが、富来町(とぎまち)を経て今は志賀町になっています。愛媛県の西海町(にしうみまち)は今は南予市です。ややこしいことに長崎市内には西海町(にしうみまち)があります。

2021年3月撮影の国道206号線・西海交差点のストビューを埋め込みました

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