くすぶる「東京問題」とまだ見えないオリンピック

変異株ウイルス

新型コロナの変異株はイギリス型、南アフリカ型、ブラジル型が知られています。この3か国の新規感染者は次のように推移しています。

イギリスの新規感染者の推移
イギリスの新規感染者の推移(Johns Hopkins大 2/28)
南アフリカの新規感染者の推移
南アフリカの新規感染者の推移(Johns Hopkins大 2/28)
ブラジルの新規感染者の推移
ブラジルの新規感染者の推移(Johns Hopkins大 2/28)

ワクチン接種が進んでいるイギリスはその効果が出ているのかもしれませんが、南アフリカはアストラゼネカ社の接種を停止して、ジョンソン&ジョンソン社のワクチンを認可しています。まだそれほど進んでいないはずですが、新規感染者はイギリスより落ち込んでいます。

ブラジルだけは相変わらずです。バイデン政権下のアメリカはイギリスや南アフリカ同様、くっきりと下降線に入っていますので、3月の新規感染者数世界一はブラジルになるはずです。変異ウイルスはたしかに驚異かもしれませんが、だからといって顕著な感染拡大を招いているとも言えません。

というわけで、私は6府県に対する緊急事態宣言解除はそれほど妥当性を欠くものではないと考えています。続けても解除してもあまり変わらないだろうと見ています。必ずしも緊急事態宣言の効果で新規感染者が減少したわけではないと思っているからです。

緊急事態宣言の6府県解除と「東京問題」

官房長官だった菅氏が新型コロナの感染状況に関して「圧倒的に東京問題」と指摘したのは2020年7月11日です。直前1週間(7/4-10)の新規感染者数は全国で1861人、東京は992人でした。その前の1週間(6/27-7/3)は全国1034人のうち東京が527人です。国内の新規感染者の半数が東京に集中していました。

東京がGoToに加わったのは10月1日です。直前(9/24-30)の新規感染者数は全国で3596人、東京は1284人でした。その1週間前(9/17-23)は全国3003人、東京1015人です。この当時はほぼ3分の1が東京だったのです。11月1日から7日までの1週間では全国6168人、東京1339人に増えています。

第2波も第3波も東京の残り火が拡散されたと考えるのは、それほど偏った見方ではないはずです。昨日(2/27時点)の直近1週間の新規感染者数は、全国6790人、東京1885人です。ここまでの数値を表にしてみました。右の2行「東京10万」と「全国10万」は10万人当たりの感染者数です。東京と「その他」ならその差はもっと拡大します。

期間東京/全国東京比率東京10万全国10万
20/06/27-07/03527/103451.0%3.770.82
20/07/04-07/10992/186153.3%7.101.48
20/09/17-09/231015/300333.8%7.262.39
20/09/24-09/301284/359635.7%9.192.86
20/11/01-11/071339/616821.7%9.584.90
21/02/21-02/271885/679027.8%13.495.40
▲全国の感染者数に占める東京の割合

これまでのデータからしても、東京比率はやがて30%に達するはずです。他の地域は減っているのに東京だけが減らないという現象は第3波でも起こるはずです。

東京比率の推移

新型コロナ感染者数を月別にグラフ化してみました。3月には2020年2月を含みます。2021年2月は26日までの数値です。

7都道府県の月別感染者数

5月と6月の比率がわかりにくいので、パーセントのグラフにしてみました。最後の横グラフは人口の比率です。

東京の月別新規感染者の比率

1都3県で2020年5月は6割、6月は7割です。明日からの3月はおそらく6割に達するはずです。オリンピック以外に政権浮揚の絵を描けない政府が東京を解除するのかどうか来週は楽しみです。菅氏の自民党総裁任期は9月末で、10月21日が衆議院の任期満了日です。

一方、これまでの小池氏の言動からすると、必ずしもオリンピックにこだわっていないのではないかと思えなくもありません。東京都議選は7月4日投開票です。ただ、開催都市契約の当事者である東京都から中止は言えないはずです。そうだとすると、選手を送り出す諸外国がどういう態度をとるかにかかってきます。それもこれも感染状況次第ですが、やりたいのなら解除しないのが正解だと私は思っています。

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