ニセアカシアの白い花、学名がミモザのおじぎ草

ミモザはオジギソウではなかった

ミモザとはオジギソウのことだと私はきのうまでの数十年信じていました。オジギソウの花の色は薄紫です。葉っぱの先っぽを指で揺れると順番に閉じていき、最後に枝がお辞儀するあの草花です。

オジギソウ

どうやら「ミモザ」は黄色い花のようです。画像検索すると黄色オンリーでした。2016年に公開されたフランス映画「ミモザの島に消えた母」のポスターでは、主人公の頭上に黄色い花が咲いています。つまりミモザは樹木です。

ミモザ

足元に生えている薄紫の草花が、見上げる樹木の黄色い花に変わってしまったのですから、天動説と地動説ほどではないにせよ、そのあまりのギャップに愕然とするしかありません。この事態は何が何でも収拾する必要があります。

そういえば…

ミモザが黄色の花だという点については、なるほどと思い当たる節がないわけでもありません。「ミモザサラダ」なるものを食べたことが何度かあります。何の根拠もなく、刻んだオジギソウの葉っぱでも入っているのだろうと思っていました。

卵の黄身がミモザの花をイメージしたものだとは思い至りませんでした。私の中のミモザとは薄紫白の花を咲かせる草花のオジギソウなのです。黄身と結びつくはずがありません。オジギソウは食用にもなるんだな、と思う程度です。

カクテルのミモザも飲んだことがあるはずです。スクリュードライバーはウォッカをオレンジジュースで割ったものですが、私は炭酸入りにしてもらうことが多く、ジンベースの場合も炭酸なしのオレンジブロッサムより炭酸入りのオレンジフィズを好みます。

カクテルのミモザは、シャンパンまたはスパーリングワインとオレンジジュースを1:1で混ぜたものだそうです。タンブラーに注がれる場合はバックス・フィズという名前になるようです。カウンターで「シャンパンとオレンジジュースのミックス」を頼んだことは何度かあります。

バーテンさんからミモザという名前も聞いているのでしょうが、気に留めたことはありませんでした。

オギジソウの学名はミモザ

実は、私のミモザ=オジギソウ説は間違いというわけではありません。むしろ本来はそれが正解なのです。

ミモザは本来オジギソウの学名に由来する植物名であるが、現在の日本語ではほぼアカシア類の花を呼ぶ名としてのみ使われていて、これは本来は誤用である。

Wikipedia>オジギソウ

本来はオジギソウがミモザであって、ヨーロッパに持ち込まれたアカシアがオジギソウに似ていることからミモザと呼ばれるようになったということです。

フサアカシア (Acacia dealbata) とはマメ科ネムノキ亜科の常緑高木。ミモザとも呼ばれるが、本来ミモザはオジギソウを指す言葉である。

Wikipedia>フサアカシア

たぶん10代の頃、私は植物図鑑ではなく画像のない国語辞典で「ミモザ」を調べたのではないかと思われます。どのように記述されていたのか今となってはわかりませんが、私はおじぎ草だけをピックアップして記憶に刻み込んでしまったのかもしれません。

白い花のアカシアは実はニセアカシア

それはそれとして、私にはアカシアは白い花だというイメージしかありません。1974年6月8日、札幌松坂屋はススキノにオープンしています(1979年閉店)。開店当時のキャッチフレーズは 「アカシアの花白くいま開く松坂屋」だったそうです。

かつてはススキノに通じる札幌駅前通りにもアカシア並木があったそうです。白い花が咲くアカシアは、今ではニセアカシアと呼ばれることが多いようです。東京・内堀通りの大手門タワー・Eneosビル前には「市内最初の並木」の碑と案内板があります。明治8年にニセアカシアを植えたということです。

明治時代には街路樹として東京や名古屋など各地で植えられたものの、繁殖力や倒木などの関係で今ではめっきり少なくなっています。国道や道道を含めて札幌市内の街路樹は228,831本あり、そのうちニセアカシアは16,957本です(2019年3月)。7.4%です。

西田佐知子「アカシアの雨がやむとき」や石原裕次郎「赤いハンカチ」のアカシアは、時代的に考えてニセアカシアです。松任谷由実「acacia」は歌詞中に「銀色」がありますから、これもニセアカシアです。

レミオロメンが歌う「アカシア」はミモザなのかもしれませんが、MVではマイクにトンボが止まっています。トンボとミモザは季節的に重ならないため、レミオのアカシアもやはりニセアカシアのようです。

白い花のニセアカシアはアカシアで通用するため、黄色い花のミモザをアカシアと呼ぶとかえって混乱することになります。長いものに巻かれるなら、白い花のニセアカシアはアカシア、黄色のフサアカシアはミモザ、学名ミモザのおじぎ草はオジギソウと呼ぶのが無難のようです。

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