官房長官当時の菅氏が「この問題は圧倒的に東京問題と言っても過言ではない。東京中心の問題になってきている」と語ったのは、7月11日の千歳市内での講演です。私はこの認識に関しては当時も今も全面的に同意しています。7月前半の新規感染者数は東京が5割前後を占めていました。
1週間ごとの東京と全国の新規陽性者数は次のように推移しています。右の「割合」は全国の陽性者数に占める東京の割合です。陽性者数はNHKの特設サイトから拾いました。
東京 | 全国 | 割合 | |
~7/10 | 992 | 1858 | 53.4% |
~7/17 | 1417 | 3056 | 46.4% |
~7/24 | 1747 | 4777 | 36.6% |
~7/31 | 2010 | 7389 | 27.2% |
~8/7 | 2415 | 9522 | 25.4% |
~8/14 | 1962 | 8055 | 24.4% |
~8/21 | 1796 | 7095 | 25.3% |
~8/28 | 1457 | 5578 | 26.1% |
~9/4 | 1153 | 4349 | 26.5% |
~9/11 | 1155 | 3711 | 31.1% |
~9/18 | 1197 | 3494 | 34.3% |
~9/25 | 1012 | 2991 | 33.8% |
~10/2 | 1326 | 3704 | 35.8% |
~10/9 | 1144 | 3489 | 32.8% |
~10/16 | 1282 | 3789 | 33.8% |
~10/23 | 1100 | 3826 | 28.8% |
~10/30 | 1179 | 4588 | 25.7% |
~11/6 | 1260 | 5657 | 22.3% |
~11/13 | 2015 | 9255 | 21.8% |
~11/20 | 2625 | 12822 | 20.5% |
~11/27 | 2882 | 14279 | 20.2% |
グラフにすると、次のようになります。東京で飲食店舗等に対する第1波の時短・休業要請が全面解除されたのは6月19日であり、第2波の時短要請は8月3日から始まっています(9月15日まで)。

6月以前は次のとおりです。第1波で下がり切らなかったのが東京です。6月の東京は5割強でした。この流れの中での「圧倒的に東京問題」発言でした。けっして的外れではありません。
東京 | 大阪 | 愛知 | 北海道 | 福岡 | 全国 | 割合 | |
3月以前 | 526 | 244 | 178 | 177 | 46 | 2234 | 23.5% |
4月 | 3748 | 1381 | 309 | 590 | 595 | 12187 | 30.8% |
5月 | 957 | 158 | 24 | 324 | 117 | 2477 | 38.6% |
6月 | 994 | 50 | 17 | 172 | 92 | 1865 | 53.3% |
感染拡大基調にある7月22日に東京除外でGoToトラベルが始まります。東京が加わったのは10月からです。第1波で下がり切らなかった東京は、第2波でも一定数の無症状者を抱えたままの状態でGoToトラベルに加わります。
第2波と同じように、第3波でも東京の燃え残りが全国に広がったと考えるのはそれほど飛躍した発想ではありません。そう考えると、7月後半の東京外しは賢明な選択だったことになります。そして、10月1日の東京追加は東京都側が積極的に望んだものではありません。この場合、舵取りの責任は100%政府側にあります。
この件に関しては、菅氏も小池氏も薄々感じているのではないかと思えなくもありません。だからこそ認めたくないのが政府側で、認めさせたいのが東京都側ということになります。その対立が、より一層問題の解決を遠ざけています。
第2波の東京はピークが8月上旬で、落ち着くまで1か月かかりました。その後は下がり切っていません。季節が変わっていますので、第3波の大阪や札幌は1か月以上かかるのではないかと思われます。長い冬を覚悟しておいたほうがよさそうです。
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