「圧倒的に東京問題」と「圧倒的に検査数が多い東京」を検証

菅氏と小池氏のサヤ当てが面白いので、「この問題は圧倒的に東京問題と言っても過言ではないほど東京中心の問題になっている」(7/11千歳市での講演)と「逆に言えば、圧倒的に検査数が多いのが東京」(7/13囲み会見)を検証したくなりました。

菅氏は13日の午前の定例会見で「全国の新規感染者の中で東京都が半数以上を占めている、こうしたことを踏まえて発言したもの」と語っています。そのとおりです。また、小池氏の「圧倒的に検査数が多いのが東京」も至極まっとうな発言です。

都道府県別の累積感染者数、6月以降の感染者数、累積検査数、6月以降の検査数、6月以降の陽性率、人口1万人当たりの累積検査数は次のとおりです。

都道
府県
累積
陽性者
6月~
陽性者
累積
検査数
6月~
検査数
6月~
陽性率
人口比
検査率
全国21,7985,126477,290231,1902.22%37.75
東京8,0462,810118,47479,8693.52%85.71
埼玉1,48848543,92323,1882.09%59.92
神奈川1,76040114,4114,9658.08%15.70
大阪2,04526246,11214,9561.75%52.32
千葉1,13722820,9246,2363.66%33.45
北海道1,29420923,4179,4172.22%44.30
福岡92217618,0295,3953.26%35.30
鹿児島1501406,9495,0902.75%43.05
京都4478912,0444,1112.16%46.48
兵庫7383916,8463,1811.23%30.72
茨城202345,8461,2182.79%20.32
奈良123314,3831,8381.69%32.73
栃木95309,3015,4300.55%47.80
愛知5302314,4504,4800.51%19.17
和歌山83204,5568552.34%48.73
宮城106184,6091,6651.08%19.90
静岡94148,9332,0050.70%24.41
山口37132,6759741.33%19.53
広島179128,3931,4860.81%29.79
岐阜162125,8292,2190.54%29.19
山梨76126,2492,3720.51%76.49
長崎2694,0711,3170.68%30.36
群馬15675,8022,1470.33%29.72
沖縄14863,1773141.91%21.94
滋賀10662,7428860.68%19.42
三重5053,0845790.86%17.22
徳島1051,2004591.09%16.30
新潟8745,3051,1250.36%23.62
富山23034,2941,1500.26%40.90
山形7232,6422301.30%24.24
岡山2832,0463410.88%10.78
宮崎2031,7013330.90%15.74
石川30022,9642410.83%25.93
福井12423,6861,0550.19%47.62
福島8327,8913,4390.06%42.33
長野7823,4857710.26%16.89
青森2921,0862360.85%8.60
鳥取522,0226840.29%36.11
高知7512,0282350.43%28.73
熊本4914,4565320.19%25.36
香川2912,9918040.12%31.09
愛媛8202,6786040.00%19.81
大分6005,3901,4020.00%47.12
佐賀4701,7032860.00%20.79
島根2401,2861610.00%18.91
秋田1601,018850.00%10.38
岩手001,1494870.00%9.26
都道府県別感染者数等(7/13)

数値は、東洋経済ONLINE「新型コロナウイルス 国内感染の状況」(7/14更新)のグラフから取り出しました。山形は6月4日以降、兵庫は6月19日以降、静岡は6月22日以降、その他の44都道府県は6月1日以降で区切っています。また、長野は7月12日までの数値です。

東京は6月以降の感染者数の55%を占め、1都3県では77%に達します。東京の感染者数は毎日ニュースになりますが、全国の感染者数はなかなかニュースにならないのが現状です。「圧倒的に東京問題」との認識を私は一片の曇りもなく受け入れることができます。

東京の検査数は累積で25%、6月以降は35%を占めていて、たしかに都道府県別では一番多いわけですが、感染者数は累積で37%、6月以降は55%です。全国の37%の感染者に対して25%の検査、55%の感染者に対して35%の検査では、「圧倒的に検査数が多いのが東京」は開き直りでしかありません。

ただし、人口1万人当たりの検査数は、東京85人台、山梨76人台、埼玉59人台、大阪52人台、和歌山48人台、栃木と福井と大分が47人台の順になり、「圧倒的」かどうかは別にしても東京が「多い」ことは事実です。

検査数の多寡は陽性率を踏まえて判断すべきだというのが私の理解です。東京の陽性率は累積で6.8%であり東京以外の46道府県は3.8%です。6月以降に限っても東京の3.5%に対して46道府県は1.9%です。

6月以降の東京の陽性率3.5%を2.5%まで落とすにはプラス3万2000人の検査が必要です。1日当たりではプラス750人になります。1日当たりの検査数があと1000人多ければ、「圧倒的に検査数が多いのが東京」に同意できます。

同じ囲み取材で語られた「冷房と暖房」発言を否定するものではありません。「圧倒的に東京問題」が存在する以上、総選挙向けのバラマキにしか見えないGoToの暖房は早すぎます。官房長官がことさらに「東京問題」を強調するのは、これまでの因縁だけでなく、2期目になっても区を統制できない行政手腕への不信感が根底にあるはずです。

なお、神奈川の陽性率が異様に高いわけですが、神奈川の検査数には「医療機関が保険適用で行った検査」と「集合検査場等から民間検査機関に委託された検査」が含まれていません。5000件ぐらいはあるのかもしれません。5000件足してもかなり少ないことに変わりはありません。神奈川の10保健所は4つの県保健所と6市保健所です。

区を掌握できない知事が「東京問題」の本質だとすれば、統一的な集計基準を示せない厚労省も「国の問題」そのものなのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました