ワクチン接種が進んでも感染拡大のバーレーンとチリ

人口100人当たりの接種回数

日本経済新聞「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」による人口100人当たりのワクチン接種回数です。

国・地域100人当たり累計接種回数
セーシェル137.7134,475
パラオ134.524,225
UAE131.112,811,422
サンマリノ125.442,476
イスラエル116.910,581,662
バーレーン104.01,706,904
マルタ102.6515,662
チリ97.418,463,616
英国97.365,479,389
▲ワクチン接種回数(日経 6/1)

人口100人当たりの接種回数が100回を超えたバーレーンは新規感染者数が過去最高水準に達しています。

バーレーンの新規感染者数の推移
バーレーンの新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 6/1)

ワクチン接種100回が目前のチリも、いったんは減少に向かいましたが再度増え始めています。集団免疫効果が見えて来ません。

チリの新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 6/1)

規制強化されたバーレーン

バーレーンは公共の場でのマスク着用義務があり、罰金は20バーレーン・ディナール(約5800円)です。入国後10日間の隔離期間中に外出したときは、3か月以下の懲役と1000バーレーン・ディナール(約29万円)が併科されます。100人当たりのワクチン接種回数が100回を超えたのに、バーレーンでは規制が強化されています。

① 5月27日から6月10日までの規制強化
新型コロナウイルス国家医療タスクフォースは、直近の感染者増、死亡者増を受けて、27日23時59分から6月10日23時59分までの間、以下の措置を実施することを発表しました。
ア 閉鎖対象施設
・ショッピングモール、商業施設
・レストラン、カフェ(宅配もしくはテイクアウトのみ可)
・ジム、スポーツ施設、スイミングプール、ビーチ、娯楽施設
・映画館
・スポーツ観戦場
・サロン、理容室、美容室
イ 禁止事項
・自宅での集会
・学校、高等教育機関、幼稚園、保育園、リハビリセンター、訓練所等における対面学習(国際的な試験への参加は除く)
・各種イベントや会議の開催

在バーレーン日本国大使館>新型コロナウイルス感染予防措置に関する基本情報(5月27日時点)

バーレーンは中東の島国です。同じようなペルシャ湾(アラビア湾)の小国と感染状況を比較してみます。

ペルシャ湾の小国

感染者が多く、致死率は低いのが中東

感染者数と死亡者数はJohns Hopkins大のCOVID-19 Dashboard(6/1)、陽性率はCoronavirus (COVID-19) Testing(6/1)による直近1週間の数値です。ワクチン接種数は日経です。

国・地域感染者死亡者致死率人口比感染率陽性率接種数
全世界170,748,7143,550,9632.08%4.60221.4
アラブ首長国連邦570,8361,6800.29%1.72584.20.8%131.1
クウェート309,2221,7720.57%4.21735.012.1%43.3
バーレーン240,5319800.41%5.971465.814.9%104.0
カタール217,4585560.26%1.96767.99.2%88.8
▲中東4か国の感染状況

「致死率」は感染者に対する死亡者の割合です。世界全体では2%強ですが、この4か国は0.2%~0.6%です。サウジアラビは少し高くて1.6%です。バーレーンはサウジアラビアと橋でつながっていますので、純粋な島国というわけではありません。

中東諸国の致死率が低いのは感染者数が多いからだと思われます。「感染率」は人口1万人当たりの累積感染者数です。バーレーンは世界有数の1400人台です。人口の15%近くが感染済みで、ワクチン接種が実質50%で感染者が増えているというのは理屈が合いません。

「人口比」は人口1万人当たりの死亡者数です。バーレーンは中東では高い数値になっています。約160万人の人口のうち半数以上が外国人労働者で、インド人は30万人弱を占めるようです。接種されているワクチンは、ファイザー、シノファーム、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソンの4種のようです。

チリの感染状況

チリを含めた南米5か国の感染状況は次のとおりです。

国・地域感染者死亡者致死率人口比感染率陽性率接種数
ブラジル16,545,554462,7912.80%21.93784.031.8
アルゼンチン3,781,78478,0932.06%17.44844.533.4%27.0
コロンビア3,406,45688,7742.61%17.64676.730.1%19.2
ペルー1,955,46969,3423.55%21.33601.511.4
チリ1,384,34629,3002.12%15.46730.411.0%97.4
▲南米5か国の感染状況

致死率はおしなべて高いわけですが、問題は「人口比」です。1万人当たりの死亡者数は世界平均の4~5倍です。「感染率」も世界平均の3~4倍です。中東諸国と同じペースでワクチン接種を進めたチリでもなかなか状況が好転しません。

年初には2.7%だった致死率が2.1%に下がったものの、目に見えるワクチン効果はまだ現れていません。WHOが中国製シノファームのワクチンの有効性を79%として承認したのは5月でした。チリで接種されていたのは主にシノバックで、WHOはまだシノバックを承認していません。

▲6/2、WHOはシノバックを承認しました。有効性が「51%~84%」ということですが…。

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