詐欺メール、なぜわざわざ「エヌティティ」を名乗るのか?

本日中にご連絡下さい

11月29日に「ご利用料金のお支払い確認が取れておりません。本日中にエヌティティファイナンスサポートセンター0335185696迄ご連絡下さい」というショートメールが届いていました。

NTTファイナンスを語る詐欺メール

まず電話番号をgoogle検索してみましたが、あまり検索されていないようで怪しげではあるものの、確たる情報は得られませんでした。そこで、google先生の検索ボックスに「NTTファイナンスサポートセンター」が実在するのかどうか放り込んでみました。

googleのサジェストワード

もうこの時点で大筋の見当はつきます。

「NTT」ではなく「エヌティティ」とするのは

市外局番03に電話をかけさせようとしているのですから、警察署や市役所を騙ることはできません。全国展開のNTTはちょうどいいのでしょう。

記載されている連絡先に電話した事をきっかけに「有料サイトなどの未払がある」「支払わなければ裁判になる」などと言われ現金をATMから振り込ませたり、電子マネーを購入させて金銭をだましとられる被害が発生しています。

NTTファイナンス>「NTTファイナンス」をかたった不審なSMSや訪問、電話にご注意ください(2021年9月16日更新)

NTTファイナンス株式会社は実在します。ただ、「お客様相談センター」の窓口はあるものの、「サポートセンター」なるセクションはないようです。つまり、ショートメールに記載された03の電話番号では実在するNTTファイナンスさんに連絡できないわけです。

この種のショートメールで私が不思議に思うのは、どうして素直に「NTTファイナンス」や「ヤマト運輸」ではなく、わざわざ「エヌティティファイナンス」や「やまと運輸」を名乗るのだろうということです(「NTTファイナンス」でのショートメールも報告されています)。

「NTT」や「ヤマト」でない時点で私は怪しさを感じてしまうからです。さすがに自社名表記を誤変換する企業があるとは思えません。考えられる理由は2つです。

通貨及証券模造取締法第2条の通貨造罪の法定刑は「1月以上3年以下の禁錮」等ですが、刑法148条の通貨造罪は「無期または3年以上の懲役」です。この論理なら「エヌティティファイナンス」や「やまと運輸」のほうが罪が軽いと言えなくもありません。また、名前を騙られた企業から民事上の損害賠償請求を受ける場合の請求額にも少しは影響はありそうです。

踏み絵の論理?

とはいえ、いずれにしても触法行為を働こうとしているのですから、量刑を考慮しているわけではないはずです。「エヌティティファイナンス」や「やまと運輸」に違和感を感じるタイプはどうせ客にならないので、最初から排除しようとしているのだと思われます。

選別のためにあえてヒントを与えているのでしょう。対応する人員は限られているはずですので、不特定多数の中から優良顧客を見つけることが何よりも肝心です。「エヌティティファイナンス」や「やまと運輸」で違和感を感じるタイプまで相手にしていたら、そちらの対応に追われるばかりで商売が成立しなくなるに違いありません。

その先には何段階かのハードルがあるわけです。架空請求を仕掛けるなら、効率を重視してある程度の選別を図るのも当然のことなのかもしれません。

架空請求詐欺の被害額

特殊詐欺のうち架空請求詐欺の被害額は2015年をピークに減少傾向にあります(特殊詐欺としてのピークは2014年)。

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