「店員に話すと国からの返済がなくなる」のナゾ

ハッキングの可能性

先日、コンビニで数万円分の電子マネーを購入しました。それほどの額ではありませんし、疑われた感じも受けませんでしたが、「普通に通販だから。詐欺じゃないよ」と自主的に申告しました。

次のようなニュースがあります(末尾外部リンク1)。
(1)松江市の50代男性に「NTTファイナンス」を名乗る男から連絡
(2)犯人「有料サイト料金が未納」
(3)犯人「ハッキングの可能性がある。国の措置による返済があるので、まずは支払って欲しい」
(4)50代男性はコンビニで80万円分の電子マネーを購入
(5)店員の声がけには「店員に話すと国からの返済がなくなる」と取り合わなかった

「携帯」に連絡があったということです。きっかけはSMSだったとしても、通話でやりとりしたものと思われます。私が料金未納という不審な電話を最初にもらったのは、もう20年ほど前のことです。まだスマホはない時代ですから、有料サイトではなかったかもしれません。

「エヌティティファイナンスサポートセンター」にご連絡下さいというSMSなら、私は2年前に受信しています。(1)と(2)の段階で、すでに架空請求を怪しむべき案件です。

50代男性は素直に従ったわけではないはずです。「有料サイトなんか見ていない」に対して「それでしたら、もしかするとハッキングの可能性がありますね」ぐらいの対応をされたものと思われます。

この段階で明細付きの請求書を求めるべきでした(あるいはマイページで確認すべきでした)。「どこに送ればいいか確認させてください」という攻防になりそうですが、もちろんこちらから住所氏名を言わないのが鉄則です。

50代男性は自分のPCなりスマホなりに何らかのアクシデントが起きているかもしれないという疑いを抱いたのでしょう。そこに「とりあえずお支払い頂ければ、あとで国から全額返還されます」という虚偽情報を刷り込まれたわけです。

80万円という金額設定

そんなに都合のいい制度があるとは思えませんが、今支払わないと電話を止められてしまうということは言われたのでしょう。そうでなければ、その日のうちに払おうとはしないはずです。ここまではまだ理解の範囲内です。

(5)の「店員に話すと国からの返済がなくなる」が私にはまったく意味不明です。国が全額返済してくれる制度があったとしても、コンビニ店員に話すと全額返済の条件を満たさなくなる理由がちっともわかりません。それに、話したかどうかを誰がチェックするというのでしょう。

これだけの話で50代が信じ込んでしまうとはちょっと思えませんので、報道されていない何かを吹き込まれているはずです。で、おそらくこういう具合に誘導したのではないかというロジックに思い至ったところです。

最終攻防戦のコンビニを切り抜けるための知恵を絞っているものと思われます。外部リンク2の事例も犯人側がそう言わせているはずです。不自然でなく「通販だから」と言わせることができれば、最後の関門を突破できることになります。

それにしても、80万円の金額設定が絶妙かもしれません。犯人側からすれば、8万でも800万でも手間は同じです。ただ、800万は有料サイト料金としてはべらぼう過ぎますし、WebMoneyの上限は100万円です。800万なら多くの場合、家族か誰かに相談することになるでしょう。成功率は低いはずです。

逆に、8万なら成功率は高くなりますが実入りが伴いません。80万のカモを月に10人見つければ800万です。零細業者?なら週1人でもやっていけるものかもしれません。そう考えると、上限のない宗教の献金はオイシイに違いありません。

【外部リンク】
(1)■日本海テレビ>コンビニ店員が声をかけるも…「店員に話すと国からの返済がなくなる」 男性が80万円分の電子マネーをだまし取られる 島根県松江市 2023.10.27
(2)■読売新聞>店員が特殊詐欺を疑っても「放っておいてくれ」…コンビニ経営者、声かけは「勇気がいる行為」 2023/07/25

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