高島屋から盗まれた純金茶碗、180万は安すぎないか?

金価格だけで470万相当なのに…

11日に高島屋日本橋店の「大黄金展」催事場から盗まれた純金茶碗は、24Kの380gで販売価格は1040万6000円ということです。逮捕された容疑者は事件当日に茶碗を売却したそうですが、田中貴金属Webサイトによれば4月11日の金相場は小売価格で1万2686円/gです。

日本橋高島屋

買取価格は1万2580円/g前後だったものと思われます。

12,580円/g
380g
4,780,400
▲24k380gなら…

Excelシートに放り込んでみたら478万円になります。報道では容疑者はその日のうちに180万円で売却し、逮捕時に現金130万を所持していたとされています。本当に180万だったのかという強い疑問が生じます。

売り急いだ?

犯行時刻が11時40分頃で、正午過ぎに通報があり、ほぼ同時刻に容疑者は地下鉄に乗っています。東西線木場駅前には買取業者があります。日本橋駅から木場駅まで10分もかかりません。最速で12時半には抹茶茶碗を持ち込むことが可能です。

木場駅
木場駅(地理院タイルを加工)

180万が不満なら別の業者に持ち込めばいいわけですが、盗品だと気づかれないうちに売却する必要があります。その時間帯ならまだニュースになっていません。売却を急いでいる様子を見せたことで、安く買い叩かれたのかもしれません。

1000万のブツを盗んで、換金したら180万では期待値に届きません。本当に180万で売却したのだとすると、渋々応じたのかもしれませんが、古物商に売却したのなら身分証を提示しているはずです。足がつくのは予想できるのに、なぜ逃げなかったのかが第2の疑問です。

180万では逃走資金にもなりません。犯行後も百貨店内に20~30分いたのなら、トイレで着替えたりリュックを捨てたりすればいいものを、そうした報道はありませんので、あまり計画的な犯行というわけではなかったのでしょう。

業者も業者です。ニュースを24時間監視しているわけではないとしても、不当なほどの安値で買い取った茶碗が盗まれたものだということに気づくのは夕方か、どんなに遅くても翌朝です。12日に通報した結果の13日逮捕なら一応の辻褄は合います。

茶碗が所在不明ということは、その日のうちに転売されていることになるはずです。そういう業界なのかもしれませんが、11日の事件発生から3日目で行方を辿れなくなってしまうものなのか、ちょっと釈然としません。

台東区で見つかった(20:10追記)

所在不明だった純金茶碗は台東区で見つかったということです。容疑者が持ち込んだ江東区の店舗と見つかった台東区の店舗がもし同一チェーンなら、大いにあり得る話です。販売店舗と仕入店舗を分けられるのがチェーン店の強みです。

抹茶茶碗という性格上、インバウンドを含めて上野・御徒町・浅草界隈のほうが需要はあるはずです。ただ、「転売」と報じられていますので同一チェーンではないのでしょう。そうすると、盗品情報がなかなか共有されにくい業界なのだということがわかります。

供述も出てきて全容が少しずつ見えつつあります。容疑者はいったん茶碗を自宅に持ち帰りスマホで買取店を調べたということです。急いで売却しなければならないという切迫感はなかったものと思われます。私が想像していた以上に雑な犯罪です。

金相場もわかっていなかったのかもしれせん。それに、どうやら古物営業法より犯罪収益移転防止法のほうが本人確認は厳しいようです。前者は顔写真のない紙の保険証でもOKで、場合によっては住所・氏名・年齢・職業の自署でもいいようです。

180万なら古物営業法の範囲内ですが、200万超の貴金属の場合は顔写真付きの身分証明証が必須ということです。査定前に証明の有無を尋ねられることもあるはずです。本人確認できないなら査定自体が無駄になりかねないからです。

運転免許証などの身分証明を所持していなかったせいで、結果的に買い叩かれた可能性はありそうです。いずれにしても、売却ルートを確保したうえでの計画的犯行ではなかったわけです。何らかの組織の関与もないのでしょう。

また、捜査員が木場駅を張っていた?のは、防カメの追跡によるもので、業者からの通報によるものではなさそうです。まあ、住所がわかっているなら、自宅を張ればいいわけです。日本も実感以上に監視社会に向かっているのかもしれません。

業者的には盗品であることを知っていたとは口が裂けても言えない話です。実態としては盗品を追えない構造になっている疑いもあります。

美国屋

事件があった催事場は高島屋本館の8階です。今は新館(日本橋髙島屋三井ビル)の1階に入っている美国屋さんは、私が東京で初めてうなぎを食べた店です。

美国屋

かつては単独のビルでした(2009年10月のストビュー)。1980年頃は2階建てだったような気もします。

SCのビルに入っているだけで、店の出入り口は道路側のみです。美国屋さんと中央通り沿いの山本山さんはSCに売上歩合を支払うシステムにはなっていないものと思われます。Webサイトには「カード不可。お支払は現金のみ」と記載されていますが、今でもそうなのでしょうか。

営業時間もSCとは異なりますので、独自路線でも問題はないはずです。それでもキャッスレス化の進行で「現金払いのみ」は少なくなっているわけで、この抵抗がいつまで続くのか興味はあります。

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