基礎自治体名が「◯瀬」の市町村は全国に6つあります。
- 東成瀬村(秋田)
- 横瀬町(埼玉)
- 清瀬市(東京)
- 綾瀬市(神奈川)
- 五ヶ瀬町(宮崎)
- 八重瀬町(沖縄)
さんずいの「瀬」が使われているのに、海に面しているのは八重瀬町だけです。ということは、これらの「瀬」は海ではなく川に由来するはずです。東成瀬村は成瀬川、横瀬町は横瀬川、清瀬市は柳瀬川、綾瀬市は蓼川(旧名・綾瀬川とする説あり)、五ヶ瀬町は五ヶ瀬川になるのでしょう。
秋田県のアメダス湯瀬(ゆぜ)は、花輪線の湯瀬温泉駅から200mほどの鹿角市八幡平(かづのし はちまんたい)にあります。標高1613mの八幡平は秋田・岩手県境の山です。秋田県八幡平村は1972年の合併で鹿角市になっています。アメダス湯瀬は旧・八幡平村というわけです。米代川の瀬から温泉が湧き湯煙を上げていることから「湯瀬」になったとされているようです。

岩手県側には2005年に3町村合併で成立した八幡平市があります。ここは私が好きな分水嶺と県境が一致しない地域です。

紫の▲がアメダス湯瀬で、赤マーカーは能代市で日本海に注ぐ米代川の支流の源流です。青マーカーのうち上の6つは八戸湾に注ぐ馬渕川の支流の源流です。下の青2つ(安比岳の南)は盛岡方面に向かい北上川に合流します。

アメダス湯瀬は2020年の年間日照時間が993.6時間で全国最少でした。上の衛星写真では露場が木陰に入っていますが、一般的に日照計は風向風速計上部にある逆三角形部分に取り付けられています。日照計のセンサーが木陰に入るわけではありません。
湯瀬の月間日照時間をほかの観測地点と比較してみました。アメダス八幡平は湯瀬の12キロ南の山中、アメダス鹿角は湯瀬から直線距離で11キロ下流の鹿角市中心部です。磐田は2020年の日照時間がもっとも多かった地点です。

年間を通して日照が少ない湯瀬ですが、去年の12月の観測値はわずが12.2時間です。湯瀬では2014年12月の8.1時間がこれまでの月間最少です。
さて、湯瀬温泉は「美人の湯」だそうです。
湯瀬温泉は、「川の瀬からお湯が湧き出していた」ところから「湯瀬(ゆぜ)」の名称がつけられたように、湯量が豊富でお肌にも非常に優しい温泉です。
湯瀬ホテル>温泉
旅行雑誌などでも「日本三大美人の湯」として紹介されており、二度三度とご入浴いただくうちに、お肌に潤いとみずみずしさがよみがえってくると評判です。
「美肌の湯」と言われるなら腑に落ちないこともありませんが、「美人の湯」は少し話の筋が違うのではないかと思わなくもありません。まあ、いかにもトラベルライターが好みそうなフレーズではあります。「日本三大美人の湯」はきっと全国に数十か所あるに違いありません。
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