五輪組織委員会人事、橋本新会長は幕引きシフト?

誰が適任だったのか

GoTo停止をめぐって東京都と政府が駆け引きを繰り広げた結果、いたずらに時間を費やしたたことが第3波を拡大させました。オリパラ中止もしばらくはお見合いであと1か月ほどを費やすのでしょう。しびれを切らしたのが島根県知事です。

先日のG7首脳テレビ会議で次のような声明が出されています。

声明には、「新型コロナウイルス感染症(COVID19)に打ち勝つ世界の結束の証しとして、今夏に安全、安心な方法で東京五輪・パラリンピックを開催するという日本の決意を支持する」との文言が盛り込まれた。

ブルームバーグ>G7首脳、経済への財政支援継続を表明-東京五輪開催の決意支持

「合意点が得られないことで一致した」的な外交文書にありがちな言い回しです。一部の報道では「開催を支持」という見出しになっていましたが、G7首脳が支持したのは「五輪の開催」ではなく「開催するという日本の決意」です。まだ中止を決めるには少し時期が早いわけです。

オリパラ中止後の後始末を考えたとき、後任会長としてもっともふさわしいのは1年延期を決めた張本人である安倍前総理です。適任と言うより責任があります。1年延期は政府主導で決まりました。森前会長はより現実的な「2年延期」派だったはずです。

後任会長は、開催に向かうのなら川淵氏、撤退の含みがあるなら橋本氏というのが私の見立てでした。そう言えば、もともと五輪を呼び込んだのは猪瀬元知事です。公民権停止は解けたはずですが、猪瀬氏の名前がほとんど上がらなかったのが少し意外でした。

参加選手だけで1万人以上

厚労省は1日の最大検査能力を15万3466人(2/21時点)としていますが、実績としては1日約10万人が最大値です。東京に限るとピーク時の1月8日が1万5289人ですので、最初のネックが検査能力になります。オリンピックの参加選手は1万1000人と言われています。

日本のPCR検査実施人数
厚労省>国内の発生状況など 2/21

全豪オープンでは選手・関係者1200人(1100人の報道もあります)が入国から14日間、指定された練習場所以外への外出が禁じられ、毎日検査を受けています。エキシビションを含めて33競技に及ぶオリンピックで同じことができるのか、きわめて疑問です。2月3日に公表された東京五輪プレイブックでは4日に1回の検査が予定されています。

オーストラリアの人口は日本の5分の1ですが、10月以降の新規感染者は1日50人を超えたことがありません。

オーストラリアの新規感染者数
オーストラリアの新規感染者数(Johns Hopkins大

陽性率にいたっては第1波を除いて1%に達したことがありません。今年に入ってからは0.1%以下を維持しています。希望すれば無料で検査を受けられるのがオーストラリアです。

オーストラリアの陽性率
オーストラリアの陽性率(Testing for COVID-19

1万人検査して陽性者4人なら陽性率0.04%ですので、四捨五入して「0.0%」が成立します。現状ではこの水準の国はオーストラリア以外にニュージーランド、台湾、シンガポール、モンゴルの5か国です。

検査能力から考えると、選手・関係者を受け入れるだけで精一杯と考えるのが妥当です。有観客でやるとしても国外からはご遠慮いただくしかありません。それ以上のキャパの持ち合わせがないというのが現実です。プレイブックは4月に改訂が予定されていますが、4月を待たずに不参加表明があるのかもしれません。

橋本氏の初当選は1995年

橋本新会長の初当選は1995年夏の参院選です。1月には阪神大震災、3月には地下鉄サリン事件があった年の7月です。自社さ政権の村山内閣でした。投票率が国政選挙で初めて50%を切った参議院選挙です。自民党の初当選同期は次のとおりです(衆議院議員経験者は除く)。

氏名選挙区政務次官
・副大臣
初入閣当選回数
岩井国臣比例04国交2
海老原義彦比例00総務1
衆院金田勝年秋田99農水16法務2(衆4)
景山俊太郎島根2
釜本邦茂比例00労働1
亀谷博昭宮城99農水1
北岡秀二徳島98法務2
小山孝雄比例98労働1
鈴木政二愛知99運輸3
現職武見敬三比例99外務5
谷川秀善大阪04外務3
中島真人山梨98大蔵3
中原爽比例00総府2
長峯基宮崎99総府1
現職橋本聖子比例00北開19五輪5
現職林芳正山口99大蔵08防衛5
保坂三蔵東京98通産2
松村龍二福井00文部3
山本一太群馬99外務12沖縄4
依田智治比例99防衛1
▲自民党の1995年参院選初当選組

野党時代がある関係で今は参議院当選3回の後半が初入閣の目安になるのでしょうが、落選なしで5期目の初入閣はかなり遅いほうです。

結局は離党しましたが、当初の会見では「党籍はそのままということで許可をいただいております」という発言がありました。誰が許可したのか気になります。二階幹事長かIOCのどちらかということになりそうですが、いずれにせよ自分では判断しない(=暴走しない)タイプということはわかります。

5つの資質などどうでもいいことです。決めた側の論理としては、川淵氏よりコントロールしやすいのが橋本氏ということに過ぎません。

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