マスク条例と二階幹事長のノーマスク

ノーマスクの二階幹事長

自民党の二階幹事長は4月22日に開かれた衆議院本会議にノーマスクで議場に入ったそうです。着席後、ポケットからマスクを取り出したということです。二階幹事長と言えば、鼻出しマスクが有名です。自民党本部の記者会見場の演台にアクリル板が設置されたのは2月ですが、幹事長の鼻出しに批判が集中したためだと報じられています。

衆議院は2020年4月にマスク着用を申し合わせています。

衆議院は、1日、議院運営委員会の理事会で、新型コロナウイルスの感染を予防するための措置について協議しました。
そして、委員会の部屋は窓を開けるなど換気を徹底するほか、本会議場などに入る際はマスクを着用し、消毒液で手の消毒を行うことを申し合わせました。

NHK>衆議院 マスク着用や手の消毒申し合わせ 議員感染なら氏名公表

この文言なら着席してからのマスク着用はアウトではないかとも思われます。一方で、施設内は原則マスク着用なのではないかと思わなくもありませんが、去年の4月の段階ではこんなものかもしれません。私の住むマンションでは共用部マスク着用は第3波以降です。

衆議院の傍聴については、次のように示されています。

本会議及び委員会の傍聴については、適切な身体的距離を確保できる人数の入室を認めることとし、体温計の計測により、37.5℃以上の発熱その他感染を疑わせる症状(発熱・風邪の症状、息苦しさ・強いだるさ、味覚・嗅覚異常、過去14日以内の海外渡航歴)がないことを確認し、マスクの着用を求めた上で傍聴を認めることとなります。

衆議院>院内参観及び傍聴の制限措置の継続について

このような規定はありますが、もともとマスクの習慣が薄い諸外国のように義務化には踏み込んでいないのが日本の実情です。最近は東南アジアにもマスク義務化が広がっています。カンボジアは3月から感染地域で2名以上ならマスク着用が義務化され罰金は5000円から2万円ほどです。先日、義務化されたばかりのタイではプラユット首相が政府の会議でマスク着用していなかったとして2万円の罰金を科せられています。

大和市の「おもいやりマスク条例」

神奈川県大和市が「おもいやりマスク着用条例」を定めたのは2020年4月です。条例の制定には通常は議会の議決を要しますが、緊急の場合などには地方自治体の長は議決なしに条例を制定することができます。この条例は市長の専決処分で制定されており、議会で揉まれたものではありません。

(目的)
第1条 この条例は、感染症等のまん延が予測されるとき又はまん延しているときに、市民一人一人が思いやりの心をもってマスクを着用することが、自身のみならず周囲の人の健康被害防止に寄与することに鑑み、感染症等の予防及び拡大防止を図り、もって思いやりあふれる社会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) マスク 医療、衛生等の見地から人体のうち鼻及び口を覆う物で、紙、布、不織布等で作成されたものをいう。
(2) 感染症等 主に飛沫又は接触での感染経路により、ウイルスが鼻、口等から侵入することに起因してり患する疾病をいう。
(市の役割)
第3条 市は、マスクの着用に係る意識の啓発等、この条例の目的を達成するために必要な施策を推進するものとする。
(市民の役割)
第4条 市民は、この条例の目的を達成するために、マスクの着用を心がけるよう努めるものとする。

大和市>おもいやりマスク着用条例

噴火で全島避難したときの三宅村は村議会を招集できないため、村長の専決処分で事態をしのぎました。議会の招集は都道府県と市は7日前、町村は3日前とされています。それでは間に合わないこともありますので、専決処分は必要な制度です。マスク着用がそこまで緊急性があったかどうかは別の問題です。

大和市のマスク条例は、着用を義務づけたものではありませんし罰則もありません。去年の4月はまだマスク供給が十分でなかった時期です。義務づけるのなら、例の小さなマスクであっても早く配布しろという話になりかねないわけです。

長野県宮田村のマスク着用エチケット条例

長野県の宮田村(みやだむら)にもマスク条例があります。マスクの転売規制が解除される前の2020年8月の制定です。こちらもマスク着用は義務ではありません。急ごしらえではないだけにこなれた感があります。

(目的)

第1条 この条例は、感染症等のまん延が予測されるとき、又はまん延しているとき、自身のみならず周囲の人の健康を守り、感染症の予防及び拡大防止を図るためマスクの着用の協力を求め、人にやさしい宮田村の実現に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) マスク 健康・予防、衛生環境の維持等を目的に天然繊維・化学繊維等の織編物又は不織布を主な本体材料として口や鼻を覆う形状のものをいう。
(2) 感染症等 主に飛沫又は接触により、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入して引き起こす疾患をいう。
(村の役割)
第3条 村は、マスクの着用に係る意識の啓発に努め、この条例の目的を達成するため必要な施策を推進するものとする。
(村民の役割)
第4条 村民は、この条例の目的を達成するため、人と適切な距離が確保できないとき、屋内にいるときや会話をするとき等においてマスクの着用に努めるものとする。
(配慮すべき事項)
第5条 村及び村民は、マスクの着用が困難な者がいることを理解し、その者が不当な差別的取扱いを受けることのないよう配慮するものとする。

宮田村>マスク着用エチケット条例

上伊那郡宮田村は木曽駒ヶ岳の麓にある人口約8000人の村です。上伊那郡があれば下伊那郡もありますが、この「上下関係」は諏訪湖を源流として遠州灘に注ぐ天竜川によるものと思われます。宮田村から最初の新型コロナ感染者が出たのは2020年11月で、今月の2人を加えて累積感染者は計3名です。

長野県宮田村
長野県宮田村(地理院タイルを加工)

マスク着用を義務づける条例も法律も日本にはないはずですが、オリパラで外国人客を迎えるなら必要になったものと思われます。

石垣市のコロナ条例は観光客も対象

マスク条例とは少し趣が異なりますが、石垣市が2020年5月に制定したコロナ条例には観光客に求められている条項があります。

(目的)
第1条 この条例は、離島であり医療機関の数が限られている本市において、新型コロナウイルス感染症等がまん延した場合に、市民の生命及び健康並びに生活及び経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、感染症のまん延の未然防止及びまん延時の早期収束に向けた措置の強化を図り、もって市民の生命及び健康を保護するとともに、市民生活及び経済に及ぼす影響を最小限とすることを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 新型コロナウイルス感染症等 新型コロナウイルス感染症その他の全国的かつ急速なまん延の
おそれのある新感染症をいう。
(2) 観光客等 本市の区域外に居住する者であって、主に観光等の目的で本市を来訪し、又は来訪を企図している者をいう。

(観光客等に求められる行動)
第5条 観光客等は、国内において新型コロナウイルス感染症等がまん延しているときは、市の要請に応じ、来訪を控えるよう努めなければならない。
2 前項の場合において、観光客等がやむを得ず来訪するときは、新型コロナウイルス感染症等の予防に努めるとともに、第3条に規定する市が実施する対策に協力するよう努めなければならない。

石垣市>新型コロナウイルス感染症等対策条例

こちらも義務ではありません。この種の条例の有無を確認してから旅行に行く観光客はまずいないはずです。ただし、国外の場合は身体的拘束や罰金に発展しますので、調べなかったり知らなかったほうが悪いということにしかなりません。

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