手詰まりなのにPCR検査能力が3日で7万件も増えたナゾ

前倒しで解除どころか延長・拡大

東京に第5波の緊急事態宣言が発出されたのは7月12日です。総理会見は7月8日でした。

東京の感染拡大は全国に広がり得るものであります。夏休みやお盆の中で、多くの人が地方へ移動することが予想されます。ワクチン接種が大きく進み、新型コロナとの闘いにも区切りが見えてきた中で、ここで再度、東京を起点とする感染拡大を起こすことは絶対に避けなければなりません。そうした思いで、先手先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言を今一度(ひとたび)、発出する判断をいたしました。
 措置の期間は、お盆明けの8月22日までといたしますが、ワクチンの効果が更に明らかとなり、病床の状況などに改善が見られる場合には、前倒しで解除することも判断いたします。

首相官邸>令和3年7月8日 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見

7月12日の東京の新規陽性者数は1週間移動平均で756人でした。2週間後の7月26日は1,553人に倍増しており、7/30にはほぼ3倍の2,500人台に達しています。

東京の新規陽性者数
東京都>新規陽性者数(7/31)

今回の宣言に効果がなかったことは明らかです。効果が見られない措置を東京と沖縄で延長して、地域を拡大したところで収束に向かうはずがありません。手詰まり感だけが漂う期待値ゼロの施策です。

もともと第4波以前の宣言にしても効果があったかどうかの検証がされているわけではありません。結果オーライで、ただ単に下がりかけているタイミングで発出されただけという見方のほうが正しいのかもしれません。

Google予測値

感染状況の指標としての価値が失われつつありますが、人口10万人当たりの新規感染者数は次のとおりです。25人が第4ステージ相当です。

NHK>直近1週間の人口10万人あたりの感染者数

Googleの新型コロナ感染予測は向こう28日間の新規感染者数と死亡者数を掲出していますので、これを週・人口10万人当たりに換算したのが次の数値です。

公開日7/11 7/12 7/30 7/31 
予測期間709-805710-806728-824729-825
北海道7.56.626.333.4
埼玉15.915.1120.6145.4
千葉20.216.661.973.6
東京51.0121.5148.6126.9
神奈川27.820.970.697.0
石川4.23.961.760.3
愛知3.85.919.632.4
京都2.26.118.531.1
大阪19.320.1108.8116.9
兵庫8.67.337.163.1
岡山0.81.821.526.3
福岡4.710.933.348.9
沖縄5.46.068.970.6
全国13.020.349.855.1
Google感染予測値(7/31)

東京に関しては7/30の実績が125人で、7/31の予測が126人です。Googleさんは今後もおおむね今の水準で推移するという予測です。7/12の段階で有効な施策が講じられていれば、全国に拡大することはなかったということにはなります。

ちなみに、Google予測による死亡者数は28日間で東京が83人、全国で1,279人です。年間換算すると東京は1,082人、全国で16,673人になります。

また、去年の第2波では東京の新規感染者数の1週間移動平均がピークに達したのは8月5日でした。季節性はあるはずですので、宣言とは別の次元で東京はやがて落ち着くのではないかという楽観的な見立てができないわけでもありません。ただし、実効再生産数は東京が1.41、全国で1.46というきわめてシビアな数値です。

オリンピックの検査数

東京五輪組織委員会は陽性者数と検査数を毎日律儀に公表しています。赤枠が検査数と思われます。7/27~29の3日間で10万6000件、7/1~7/29の通算では約38万件、陽性率は0.02%です。

大会組織委員会>Tests and Total Confirmed Positives(7/31)

この検査数は厚労省や自治体が発表する検査数にはカウントされないはずです。東京の陽性率は最新の数値で20%目前です。

都内の最新感染動向>検査の陽性率(7/31)

3日で7万件も増えた検査能力

PCR検査能力に関して不思議な現象が起きています。7/29の検査能力が1日30万件近くに跳ね上がっているのです。

厚労省>新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年7月29日版)

7/26時点では22.6万件でした。

厚労省>新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年7月28日版)

3日で7万件も増やせるのなら、もっと早く増やせと言いたくなりますが、短期間にそんなに増えるとも思えませんので、そもそも把握できていないということなのでしょう。

実はこれまで民間検査会社による自費検査は厚労省のオープンデータには反映されていませんでしたが、7月12日から自費検査がカウントされるようになっています。東洋経済が「undefined」として処理しているのがオープンデータの「民間検査会社(主に自費検査)」です。

全国の検査件数
東洋経済オンライン>POR検査件数(7/31)

1日30万件の検査能力があるはずなのに、10万件程度しか検査していないことになっています。自費検査が反映されるまでタイムラグがありますので、これから加算されていくのでしょうが、ワクチン同様お粗末なシステムです。どうせまたFAX依存なのかと疑いたくなります。

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