武雄や大町の六角川浸水地域はもともと海

六角川

長崎県境近くの矢筈ダム付近を源流とする六角川は、蛇行しながら東流し佐賀県を横断して有明海に注ぎます。

六角川
六角川(地理院タイルを加工)

地図の青マーカーはアメダス観測地点です。アメダス嬉野は塩田川水系になります。アメダス大町は2019年9月に設置された雨量のみの観測所です。雨量に関するアメダス観測所はおおむね17キロ間隔で設置されることになっていますが、アメダス大町はアメダス白石から5.5キロほどしか離れていません。

要警戒地域の観測強化を目的とした新設だと思われます。ストビューが通っていませんので確認できませんが、標高からしてボタ山の頂上付近に雨量計があるはずです。

アメダス大町
気象庁>アメダス大町2019年降水量

佐賀気象台を含めた4地点の降水量は次のとおりです。いずれも1000ミリを超えており、すでに19日の時点で月間降水量は観測史上1位です(佐賀は1890年観測開始)。

嬉野 大町 白石 佐賀 
1日21.525.518.519.5
2日5.017.536.541.0
3日0.05.54.57.0
4日0.00.00.00.5
5日0.00.00.0
6日0.00.00.00.0
7日29.015.51.018.0
8日64.065.568.085.0
9日23.025.521.513.5
10日0.02.00.0
11日113.0106.5116.0117.0
12日245.0202.5196.0194.0
13日226.5177.5171.5306.0
14日439.5374.5255.5214.5
15日0.00.00.00.0
16日57.542.049.067.5
17日89.5105.088.5103.5
18日7.59.010.015.5
19日0.00.00.00.5
1321.01174.01036.51203.0
▲4地点の降水量

順天堂病院より上流にある複数の「島」

ピンクの▲マーカーは2年前にも浸水した順天堂病院です。2年前は油の流出もありました。2019年8月撮影のストビューを埋め込みました。豪雨直前に撮影されたもののようです。

病院の敷地は1mほど盛土されていますし、地盤を嵩上げしている民家も見受けられますが、どうやらその程度では足りないということのようです。さて、順天堂病院から2キロほど西に「椛島(かばしま)」という地名があります。

椛島
椛島(地理院タイルを加工)

さらに、武雄川との合流地点付近には「花島」や「永島」という地名もあります。

花島と永島
花島と永島(地理院タイルを加工)

河口から29キロ地点の潮見橋

有明海は干満差が5~6mとされています。満潮時には河口から29キロ地点の潮見橋付近まで逆流するということです。「潮見」という地名に妙な説得力があります。

潮見
潮見(地理院タイルを加工)

潮見橋ではレベル2の氾濫注意水位が2.5m、レベル3の避難判断水位が2.8m、レベル4の氾濫危険水位が3.1mに設定されています。今回の豪雨では、8月13日15:50に氾濫危険水位を超えた3.15m、8月14日1:40にも3.21mに達しています。この付近までは1000年前あるいは500年前には海だったわけです。

【外部リンク】
■九州農政局>有明海の干拓図(jpg)

洪水常襲地域の解消は遊水池しかないのかもしれません。

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