水戸市木葉下(あぼっけ)町はアイヌ由来なのか?

木葉下町

「木葉下 o-pok」でGoogle検索してみました。茨城県の難読地名・水戸市木葉下町は「日本沈没」でも有名ですが、語源アイヌ語説が複数のWebサイトで記述されています。

そんなはずはなかろうと思ったわけですが、「o-pok」を含むもっとも古いページは私が調べた限りでは次のサイトでした。

木葉下(あぼっけ)の地名の由来はアイヌ語の「o-pok= がけ下<o(尻)po k(下)」からきており、アイヌ民族由来ではないかと地元では言われているそ うだ。

DoItOurSelves 気ままに治水ブログ>ぼっけ・あぼっけ 木葉下・日本沈没?(2011/3/14)
水戸市木葉下町
木葉下町(地理院タイルを加工)

木葉下町は標高201mの朝房山(あさぼうやま、山頂は厳密には笠間市)の東麓になります。本当に「o」が「崖」で、「pok」は「~の下」なのでしょうか?

崖はアイヌ語でピラ(平)

札幌には「豊平区」があります。滝川から富良野方面に向かうと「赤平市」があります。積丹半島の石狩湾側には「古平町」があります。

「平」の地名
平(地理院タイルを加工)

これらの「ピラ(ビラ・ヒラ)」は、アイヌ語で「崖」の意味です。崖は垂直なのに、真逆の「たいら」とも読める漢字を当てるのが面白くて、私は覚えていました。とはいえ、「o」にも崖の意味があるのかもしれません。

【外部リンク】
■(1)公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構>単語リスト(アイヌ語・日本語)
■(2)千葉大学>深澤美香〈資料紹介〉加賀家文書「[蝦夷語和解]」
■(3)様似アイヌ言語文化研究所>私家版沙流アイヌ語辞典

この3つのサイトで調べてみましたが、「o」に崖または尻の意味があるとの確認はできませんでした。(1)では「o」は「~に乗る」です。(1)と(3)では「チョロポク corpok」が「~の下」ですので、「pok」についてはまったくの的外れでもなさそうです。

アイヌ語はオールマイティ?

念のために「木葉下 アイヌ語」で検索してみました。すると、もっと古いブログがヒットしました。当時は市会議員さんだったようです。なお、奈良時代の「常陸国風土記」そのものには「木葉下」の地名は出てこないはずです。

あぼっけはアイヌ語の「アバボッケ」が語源とされ、「神域の入口」の意味だということだったり

demezo_comのブログ>ギャラリー木葉下へ(2006/9/26)

「アバ」は(1)では「戸」、「ボッケ」は「横になる」です。「アバボッケ」が「神域の入口」であるとの確認はできませんでした。

ほかにも「昔から言い伝えがあって、アイヌ語で「金の取れるところ」という意味」と記載しているブログもありました。これも地元の方です。

意味が盛大に異なりますが、アイヌ説は広く支持されているもののようです。単に「あぼっけ」という読みがいかにもアイヌ語っぽいというだけのことなのではないかと思わなくもありません。以上、アイヌ語説について私は同意しません。

2021年10月のストビューです。

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