アメダス桑名に隣接する自動車板金工場の排気ダクト

三重県にも40℃を狙える実績を持つ観測地点があります。

▲三重県アメダスの最高気温（2022/7/3時点）

アメダス桑名が39℃台を観測したのは過去8回です。近隣の愛西と名古屋はすでに40℃ホルダーです。

アメダス桑名は揖斐川まで1キロ弱、伊勢湾まで3.4キロという立地です。ということは、気温が上がるのは西風に限られそうです。西には標高1000～1200ｍクラスの鈴鹿山脈があります。39℃台が観測された日の最多風向を調べてみました。

▲アメダス桑名の39℃台

ビンゴでしたが、気になることがないわけでもありません。アメダス桑名の西側には自動車板金工場があり、その排気ダクト（黃矢印の先端）はアメダスとは反対の西側に向けられています。

自動車板金工場ですから排気はそれほどの高熱ではないでしょうが、これが西風で観測設備側に流れると具合の悪い話です。

冷静に考えると、熱せられた空気は膨張して密度が小さくなり上昇するはずです。温度計は地上1.5ｍに設置されています。排出口の高さは5ｍほどありそうです。

もし空気以上の熱を持った排気が西風に流されたとしても、温度計のところに降りてくる心配はしなくてもいいわけです。したがって、排気ダクトによるブースター疑惑は否定できそうです。

ただし、画像の黄色矢印の下に室外機のように見えなくもない白い物体が見えます。2013年4月のストビューでは隣接工場の道路際の階段下に室外機があるのを確認することができます。

問題のダクト付近は道路から30ｍほどの距離があり、植栽に邪魔されてストビューでは白いブツの正体を確認できません。敷地境界は金網タイプのフェンスであり、塀ではありません。エアコン室外機の排熱を拾っている可能性については完全否定できない状況にあります。

もっとも、西北西の風なら工場の建物自体が風の遮断物になるわけです。西風あるいは西北西の風によって室外機の排熱が気温計に流されることはないのかもしれません。また、かりに白いブツが室外機だとしても数ｍの距離は確保されています。

もし室外機が影響しているのだとすると、工場が稼働しない1月1日の平年値が1月4日より低くなるはずですが、そのような数値になっていないことから、深刻な影響はないと言えそうです。

気象庁Webサイトではアメダス桑名の標高は3ｍとされています。ここに記載される標高は結構アバウトのようです。

2013年1月撮影のストビューを埋め込みました。これは94型の電子基準点です。アメダス鶴居の近くにもありました。

桑名の電子基準点はアメダス施設と至近距離にあります。上の航空写真に写っていた影はステンレス製ピラーの影です。地理院地図では電子基準点の標高が0.8ｍと記されています。電子基準点が0.8ｍなら、アメダスが3ｍのはずはありません。

消防署と警察署の間に電子基準点のマークがあります。そこがアメダス桑名です。桑名城付近は標高5ｍですが、市役所も消防署も警察署も非常時には浸水必至の2ｍ以下です。このため、桑名市では標高50ｍの高台に防災拠点を設けています。

2020年と2021年の観測値は次のとおりです。日照もそこそこ上位です。

▲2020年の観測値