不記載訂正の4パターンと再度告発された丸川珠代氏

不記載訂正の4パターン

安倍派(清和政策研究会)が2020~2022年の収支報告書を訂正し、不記載分を増額記載したのは1月31日付でした(二階派は1月18日付)。大半の裏金議員は、派閥の訂正に合わせる形で自らの政治団体の収支報告書を同日あるいは翌日に訂正しました。

不記載額を追加記載した際の訂正パターンは次の4通りに類型化できそうです。

(A)支出の増額訂正なしで全額繰越
(B)不記載相当額を寄付・借入・個人パーティー
収入などから減額、支出訂正なし
(C)収入とともに支出分の増額訂正あり
(D)「不明」を含めた訂正
▲不記載額の訂正パターン

(A)は山谷えり子氏、林幹雄氏、宗清皇一氏などです。数としてはもっとも多いパターンです。このグループは「個人所得でした、納税します」で決着します。もしくは、義家弘介氏がその意向を示しているような被災地等への寄付で話は終わります。

(B)は橋本聖子氏、武田良太氏、簗和生氏、菅家一郎氏、宮本周司氏、小田原潔氏、西村康稔氏らです。収入の虚偽記載であり、支出を記載するために絞り出した悪知恵だったと言えなくもありません。ペナルティとしては(A)より軽くてもよさそうです。

(C)は二階俊博氏、三ッ林裕巳氏、平沢勝栄氏、杉田水脈氏、松野博一氏、塩谷立氏らです。このグループは収入の不記載だけでなく支出の不記載も重ねていたことになります。したがって、ペナルティは(A)より重くなって当然です。

(D)は萩生田光一氏、世耕弘成氏、高木毅氏、堀井学氏、中根一幸氏らです。一般的に使途不明金は追徴課税対象です。「不明」で訂正する(しかない)以上、そのペナルティはもっとも重くなるはずです。「不明」による訂正に対して課税のペナルティを与えるべきという議論がないのは不思議な話です。

告発の翌日に収支報告書を訂正した丸川氏

上脇教授と郷原弁護士が丸川珠代氏を告発したのは3月28日付です。翌29日付で「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」の収支報告書が訂正されています。支部長の戸籍名・大塚珠代氏とは丸川珠代参議院議員です。2か月放置した理由はまったく説明されていません。

自民党アンケによれば、丸川氏の不記載額は5年間で822万円です。

20186万
2019304万
2020100万
2021195万
2022217万
5年計822万
▲丸川氏の不記載額

次のように訂正されています。

2020(3/29付で訂正)訂正前訂正後増減
収入総額21,834,53825,934,5384,100,000
(前年からの繰越額)4,220,1327,320,1323,100,000
(本年の収入額)17,614,40618,614,4061,000,000
支出総額13,579,12113,579,1210
翌年への繰越額8,255,41712,355,4174,100,000
「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」収支報告書(令和2年分)
2021(3/29付で訂正)訂正前訂正後増減
収入総額31,538,82237,588,8226,050,000
(前年からの繰越額)8,255,41712,365,4174,110,000
(本年の収入額)23,283,40525,233,4051,950,000
支出総額18,169,50718,169,5070
翌年への繰越額13,369,31519,419,3156,050,000
「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」収支報告書(令和3年分)
2022(3/29付で訂正)訂正前訂正後増減
収入総額31,197,16539,417,1658,220,000
(前年からの繰越額)13,369,31519,419,3156,050,000
(本年の収入額)17,827,85019,997,8502,170,000
支出総額15,153,38915,153,3890
翌年への繰越額16,043,77624,263,7768,220,000
「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」収支報告書(令和4年分)

巧遅でもなく

「拙速は巧遅にまさる」とは必ずしも孫子が出典というわけではないようです。孫子では長期戦を避けるべきだという意味合いで記述されています。

孫子故兵聞拙速 未睹巧之久也
(故に兵は拙速を聞くも未だ巧の久しきざるなり)
文章軌範巧遅者不如拙速
(巧遅は拙速に如かず)
▲巧遅拙速

序列として「巧速>拙速>巧遅>拙遅」であることにほぼ異論はありません。丸川氏の訂正は単純に清和研からの寄付を追加記載しただけの(A)パターンです。

丸川氏の訂正
「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」収支報告書(令和2~4年分)

この訂正なら2か月も思い悩むことはありません。遅れるほど無駄に注目されるだけです。ダメージ・コントロール能力の欠如が指摘されることになります。

東京地検は3月28日付の告発を受理せず、上脇教授と郷原氏は4月11日に改めて3月29日付の訂正が虚偽だとして追加告発しています。

月1万円の光熱水費

「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」の収支報告書で注目すべきは光熱水費です。月約1万円です。

2020年2021年2022年
人件費6,478,6007,824,0538,436,542
光熱水費117,353116,548122,590
備品・消耗品費1,441,1261,758,0201,520,983
事務所費1,846,7862,232,0031,672,703
小計9,883,86511,930,62411,752,818
▲「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」収支報告書(令和2~4年分)

丸川氏は東京選出ですので、事務所は議員会館で済むのでしょう。支部は議員会館には置けないようです。電気代のみで1万円ならあり得る話です。

丸川氏は志帥会のパー券を購入しているようです。

志帥会のパー券
▲「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」収支報告書(令和3年分)

もちろん、買っていけないということはありません。

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