「自分の口座で管理」していた丸川珠代氏が告発された

※最初の項は3/29付「能登半島地震で外壁が崩落した上越家庭教会と高鳥修一氏」のページに無理やり入れていましたが、事態が進展しましたので分割しました。

丸川珠代氏は未訂正?

来週半ばには一連の裏金問題を巡る自民党の処分が下されることになっていますが、次期総選挙で東京7区から出馬予定の丸川珠代氏はまだ収支報告書を訂正していないようです。

丸川氏の政治団体への支出
「清和政策研究会」収支報告書(令和4年分)

いまだに私は「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」の訂正後の収支報告書を確認できていません。福島県の選管は3月22日になってようやくWeb公開しましたので、すでに訂正済みで選管の公表が遅れているだけかもしれません。

とはいえ、東京都選管関係では「第六選挙区支部」の越智隆雄氏と「第十一選挙区支部」の下村博文氏は1月31日付で、「第二十一選挙区支部」の小田原潔氏「第二十四選挙区支部」の萩生田光一氏は2月2日付で訂正されています。

この2か月ほど「丸川珠代 裏金」「丸川珠代 収支報告書」などで何度も検索していますが、訂正したという報道も見当たりません。ひょっとすると、病気とか海外出張中なのかもしれませんが、提出義務者は会計責任者であり議員本人ではありません。

それどころか、専用ソフトは共有できないもののようです。共有できないなら、議員本人はプリントアウトしたものをチェックするしかないわけです。最初から「私は知らない」と言うために制度設計されているとしか思えません。

2月1日に開かれた安倍派総会後に「派閥からノルマ超過分は持ってこなくていいと言われた。資金は(自分の)口座で管理していた」「責任ある立場の人が何らかの責任を取ったということが明確に国民に伝わる行動を取るべきではないか」と語って以降の続報は何もありません。

上脇教授と郷原弁護士が告発

3月29日付で神戸学院大教授の上脇博之氏と郷原信郎弁護士が丸川珠代氏を告発しています。私は日付が変わった直後に上の項を公開しました。その日のうちに、お2人が告発に踏み切ったということです。

自民アンケでは丸川氏の不記載額は5年間で822万円です。1/31の安倍派総会後、記者団に囲まれた丸川氏は「還付金」と語っていましたが、「持ってこなくていい」のなら、還流(キックバック)ではなく留保(中抜き)のはずです。

「還付金」が何を意味しているのか、その認識さえ持っていなかったようです。「自分の口座で管理」発言は極めて重要な自白です。萩生田氏のように鍵のかかる机の引き出しで保管していたと言うなら、とりあえずは事務所のカネという主張です。

長崎幸太郎・山梨県知事も事務所で別途保管していたという話です。自分の口座で保管していたのなら、外形的には政治団体から政治家個人への寄付になってしまいますから一発でアウトです。萩生田氏らが見苦しい言い訳をするのはアウトにならないためです。

パートナーの大塚拓氏をはじめ、ほかの議員は収支報告書を訂正しているのに、丸川氏は2か月も放置しています。「自分の口座で管理」で目をつけられているのに、いつまでも訂正しないと風当たりが強くなるのは当然のことです。

告発内容

検察の捜査は、いわゆる裏金が政治家が複数持っている政治団体のどこかに帰属するはずだという考え方で成立しています。したがって、不記載という形式犯にしかなりません。

これに対して、裏金はその性質上、政治家個人に帰属するのだというのが上脇&郷原氏の考え方です。丸川氏は自分の口座で管理していたと明言し収支報告書を訂正していません。政治資金なら政治団体の口座で管理し収支報告書を訂正すべきですが、それをしていないのです。

「政治資金規正法」を単に「法」と略します。上脇&郷原氏は次の内容で告発したようです。

(1)清和研の法第21条の2(公職の候補者の政治活動に関する寄附の禁止)違反

政党でない政治団体が政治家個人に寄付することは21条の2で禁じられています。清和研は丸川氏個人に寄付したのですから21条の2違反です。これに対する罰則は法26条第1項に定められた「1年以下の禁錮又は50万円以下の罰金」で、時効は3年です。

(2)丸川氏の法第22条の2(量的制限等に違反する寄附の受領の禁止)違反

政党でない政治団体の政治家個人への寄付は両罰規定ですので、寄付した側だけでなく受け取った側も罰せられます。丸川氏は22条の2違反です。罰則は法26条第3項に定められており(1)と同じです。

(3)清和研の1/31付訂正が法第9条違反(不記載と虚偽記載)

清和研は丸川氏個人に寄付したにもかかわらず、1/31付訂正で「自由民主党東京都参議院選挙区第四支部」への寄付を記載しています。丸川氏への寄付の記載がないのは不記載、同支部への寄付の記載は虚偽記載で、法第9条第1項第2号の支出の記載義務違反となります。罰則は「3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金」で、時効は5年です。

罰則は軽くても議員本人がアウト

検察が目指した不記載罪(3年以下の禁固=時効5年)とは、会計責任者に対する罰則であり、丸川氏の共謀が立証されない限り丸川氏が罰せられることはありません。事実、安倍派の会計責任者は在宅起訴され、岸田派の会計責任者と二階派の秘書は略式起訴されていますが、政治家は立件されていません

上脇&郷原氏の捉え方では、丸川氏は政治資金を受け取ったのではないという筋立てですので、丸川氏側の不記載は最初から成立しません。その分、丸川氏に適用される罰は縮減されます。

その代わり、丸川氏自身の罪が問われますので、会計責任者との共謀を立証する必要がありません。立件へのハードルが限りなく低いわけです。禁錮1年が確定すれば議員は失職です。

金額が小さいため、「起訴猶予」の可能性が高くなりますが、一方で「嫌疑なし」というふざけた話にはなりません。「起訴猶予」なら検察審査会に持ち込めばいいだけのことです。

上脇&郷原氏は検察の捜査の方向に異議を唱えているわけで、検察がすんなり受け入れるかどうかはわかりませんが、口座情報を取得しないという話にはならないはずです。

追い詰められた丸川氏がどう反応するのか注目されますが、本当に自分の口座に入れていたのなら、収支報告書の訂正は虚偽を重ねることになりかねません。だからこそ、訂正できないのかもしれません。

週明け月曜日に訂正するのかもしれませんが、これほどまでに訂正が遅れたことに対する説明も求められます。自民党の聴き取り調査報告書によれば、裏金を議員本人が管理していたと答えていたのは85名中12人ということです。

【外部リンク】
■東京新聞>聴き取り調査に関する報告書

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