塩谷立・安倍派座長の報告書訂正は単年使い切り

政治倫理審査会

衆議院の政倫審4委員が2/28付で交代しています。自民党の裏金3議員が退き、公明党も1人交代しています。前任の佐藤英道氏は幹事でしたが新任の輿水恵一氏はヒラの委員です。

退任新任
木村次郎自民大野敬太郎
三ッ林裕巳自民葉梨康弘
若林健太自民藤丸敏
佐藤英道公明輿水恵一
▲政倫審委員の交代

野田氏や藤田氏や塩川氏が質疑に立っているのは、当日の委員の差し替えが可能だからです。

さて、清和研の座長だった塩谷立氏は自身の裏金事情について明言を避けていましたが、清和政策研究会と同日の1月31日付で資金管理団体「塩谷政治経済研究会」の収支報告書を訂正しています。

2020(1/31付で訂正)訂正前訂正後増減
収入総額8,930,7299,692,412761,683
(前年からの繰越額)1,610,7291,612,4121,683
(本年の収入額)7,320,0008,080,000760,000
支出総額8,454,1709,213,839759,669
翌年への繰越額476,559475,573-986
「塩谷政治経済研究会」収支報告書(令和2年分)

2/13に公表された自民党アンケートでは、塩谷氏の不記載額は5年間で234万円です。

201824万
201914万
202076万
20210万
2022120万
5年計234万
▲塩谷氏の不記載額

繰越額が1000円前後ですから、その年に使い切るパターンです。

塩谷氏は何に使ったのか?

2020年は76万円の収入が増額訂正されたわけですが、主な費目は次のとおりです。

交通費(JR乗車券代)12,100
交通費(JR乗車券代)12,100
交通費(JR乗車券代)24,090
事務所費(政治資金監査報酬198,000
交際費(飲食代)100,300
交際費(飲食代)23,760
交際費(弁当代)11,000
交際費(飲食代)129,470
交際費(飲食代)20,889
交際費(飲食代)11,340
交際費(飲食代)95,920
交際費(飲食代)82,500
交際費(品代)27,900
▲2020年の主な追加記載

政治資金監査報酬は2021年も2022年も訂正前から記載されています。なぜ、2020年だけ記載しなかったのか不思議な話です。

120万円の収入を追加記載した2022年収支報告書では、主な支出の追加記載は次のとおりです。2020年と同様おおむね飲食代です。

交通費(JR乗車券代)12,100
事務所費(PCR検査料)18,700
交際費(飲食代)13,915
交際費(飲食代)88,373
交際費(品代)26,950
交際費(品代)20,736
交際費(品代)38,500
交際費(飲食代)30,140
交際費(品代)12,100
交際費(飲食代)58,685
交際費(飲食代)116,840
交際費(飲食代)38,645
交際費(飲食代)22,990
交際費(飲食代)106,510
交際費(飲食代)58,400
交際費(飲食代)50,662
▲2022年の主な追加記載
赤坂宮川

調査研究広報滞在費

このような訂正が可能だったのは、領収証のストックがあったからだと思われます。

俗に「旧文通費」と呼ばれているのが、「調査研究広報滞在費」(信交通滞在)です。給与とは別に非課税で月100万が衆参両院の全議員に支給されています。使途を公開する義務はなく、残金が生じても国庫に返納する必要もありません。

渡し切りであって、何に使ったのかチェックする仕組みも機関もありません。塩谷氏はこの旧文通費を使った際に保管していた領収証をここで出してきたのだと考えられなくもありません。年1200万ですから、辻褄合わせには十分な額になります。

元来は「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」に用いるものとされ「文書通信交通滞在費」の名称でしたが、2022年の改正?で「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」とされ、「調査研究広報滞在費」の費目となりました。

飲み食いに使っても、飲食業の「調査研究」と言えなくはありません。普通の議員なら、200万程度の領収証のストックがあっても何ら不思議ではないはずです。十分な余白はあるわけですから、誰かのように「不明」などいう話にはならないものです。

次期総選挙は小選挙区のみ

さて、塩谷氏は1990年初当選です。先代の塩谷一夫氏も安倍(晋太郎)派でした。安倍晋太郎氏が亡くなったのは1991年ですから、先代安倍派に属した唯一の現役議員です。ただ、小選挙区が始まった1996年総選挙では落選(1999年補欠選挙で当選)、2000年総選挙でも落選しています。

町村派が細田派になった時代の清和研事務総長ですが、派閥ぐるみの不記載が始まった時期や経緯を知り得る立場にはなかったはずです。銃撃事件後、安倍派は塩谷氏と下村博文氏が会長代理に就任し、2023年8月の「下村外し」で塩谷氏が座長に就任しています。

塩谷氏は前回2021年総選挙では比例復活でした。塩谷氏が議員辞職しても自民党の議席は減らず、補選もありません。その意味では人身御供としては最適任者と言えそうです。

74歳の塩谷氏は、従来の党内ルールでは次期総選挙に比例との重複立候補をすることができません。ここで議員辞職に応じた場合、事実上の引退になってしまう可能性が高いわけです。次を無所属で戦うことになる離党もご本人的には受け入れにくい話でしょう。

「誰かが辞めるとか離党することで幕引きをする状況になるほうが問題だ」という反応は当然と言えば当然です。息子はいるようですが民間人です。

【2024/04/09追記】4月4日の党紀委員会で塩谷氏には離党勧告処分が下されました。名目だけの座長とはいえトップだった以上は責任を負うべきというのも考え方の1つです。それなら、派閥のトップだった二階氏と派閥と党のトップである岸田氏が「無罪放免」では整合性に欠けることになります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました