2022年3月の石川県知事選挙は、実質的に保守系3候補の争いでした。
2021年10月 | 総選挙に馳浩氏は出馬せず、石川1区は小森卓郎氏が初当選 |
2021年11月 | 谷本正憲知事が勇退を表明 |
2021年12月 | 山田修路氏が参議院議員を辞職、知事選出馬表明 |
2022年03月 | 知事選で馳浩氏が山田修路氏らを破って当選 |
2022年04月 | 参議院補欠選挙で宮本周司氏が当選 |
馳浩/5年で819万のキックバック
馳知事は、1月21日(北國新聞は1月19日)にぶら下がりと思われる取材で5年間819万円の裏金を認めています。
2018 | 100万 | |
2019 | 118万 | |
2020 | 272万 | 自由民主党石川県第一選挙区支部 |
2021 | 321万 | 自由民主党石川県衆議院支部 |
2022 | 8万 | 自由民主党石川県衆議院支部 |
5年計 | 819万 |
1月31日付で訂正された清和政策研究会の3年分の収支報告書では、「自由民主党石川県第一選挙区支部」と「自由民主党石川県衆議院支部」に対して、馳知事が語った同額の支出が追加されています。
「自由民主党石川県衆議院支部」の2022年収支報告書は、2/14時点で訂正されていません(受け付けられていてWeb上で公開されていないだけかもしれません)。
一部は事務所費に使ったと報道されていましたが、まだ収支報告書上では確認できません。震災対応でお忙しいのかもしれません。馳氏の資金管理団体は「動かそう石川新時代」です。
石川県の場合は、Web上では直近1年分(今なら2022年)の収支報告書しか閲覧できません。2021年と2020年は「要約」の形になります。
山田修路/繰越できない解散団体
山田氏は2013年に参議院石川選挙区で初当選、2019年に再選されています。参議院2期目で立憲や社民の推薦を得て2022年の知事選に挑んだものの3位に甘んじました。
清和政策研究会の収支報告書では、山田氏の「自由民主党石川県参議院選挙区第一支部」に対して、2020年に174万、2021年に191万が支出されています。「自由民主党石川県参議院選挙区第一支部」は2022年1月15日付で解散届が出されていました。
2024年2月1日付で収支報告書が訂正されています。解散団体ですので、これ以降の繰越はできません。差額の633万はトータルのキックバック額と思われます。
(2/1付で訂正) | 訂正前 | 訂正後 | 増減 |
収入総額 | 31,975,591 | 38,305,591 | 6,330,000 |
(前年からの繰越額) | 29,915,591 | 36,245,591 | 6,330,000 |
(本年の収入額) | 206,000 | 206,000 | 0 |
支出総額 | 31,975,591 | 38,305,591 | 6,330,000 |
翌年への繰越額 | 0 | 0 | 0 |
この633万は山田氏の資金管理団体「修路会」に支出されています。
「修路会」も解散していますが、山田氏個人の借入金を減額することで辻褄を合わせています。
ちょっと危険な帳尻合わせかもしれません。
宮本周司/個人パーティーの収入を減らす
山田氏が任期途中で参議院議員を辞職したため、2022年4月に補欠選挙が行われました。自民候補は宮本周司氏です。宮本氏は2013年に参議院比例区で初当選(自民13/18)、2019年に再選(11/19)されていました。比例区から選挙区への「鞍替え」に成功して名目的には3期目です。
参議院で財政金融委員長を務めていましたが、今回の件で1月25日に辞任しています。2月1日付で収支報告書を訂正していますが、なかなか面白い手法です。2列目が訂正前、3列目が訂正後になります。
訂正前 | 訂正後 | 増減 | |
収入総額 | 80,206,886 | 99,926,886 | 19,720,000 |
(前年からの繰越額) | 26,633,419 | 46,093,419 | 19,460,000 |
(本年の収入額) | 53,573,467 | 53,833,467 | 260,000 |
支出総額 | 70,857,379 | 70,857,379 | 0 |
翌年への繰越額 | 9,349,507 | 29,069,507 | 19,720,000 |
2/13の自民党アンケートでは5年間で1482万円と公表されていますが、収入総額と繰越額は1972万円増えています。2017年以前を加算すると1972万になるのかもしれません。
2022年に限れば収入はわずか26万円のプラスです。清和研からの200万、紀成会(世耕氏の政治資金団体)からの10万が追加されていますので、210万プラスになるはずです。
こんなカラクリがあったのでした。上段が訂正前で下段が訂正後です。
訂正前の360万から訂正後の176万を引くと184万です。210万から184万を引くと26万になります。個人パーティーの売上を削って帳尻を合わせているようにも見えます。
訂正後の88人が正しいのだとすれば、訂正前の180人は過大申告です。収入を実際の倍以上に膨らませて報告することがあり得るのでしょうか? 解せないところです。
宮本氏は自民党の石川県連会長で、5年間の不記載額は1482万円です。
小森卓郎/繰越で処理
馳氏が出馬を見送った2021年10月総選挙における石川1区の自民党公認候補は財務官僚だった小森卓郎氏です。当選1回の小森氏は現内閣の総務政務官でしたが、裏金70万が発覚して1月31日付で辞任しています。
同日付で「自由民主党石川県第一選挙区支部」の収支報告書が次のように訂正されています。
清和研から70万のキックバックがあり、これをそのまま繰越で処理しています。
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