2022年の霧日数、1位は軽井沢で2位が奥日光

「気象官署」とは?

銚子地方気象台のWebサイトに「全国の気象官署における年間霧日数(平年値/単位:日)」と題して次のような表が掲載されているのを拝見したのは去年の秋のことでした。

銚子地方気象台の霧日数の表
銚子地方気象台>銚子の霧

「全国的に見ても銚子は3番目に霧の発生日数が多くなっています」とも記されていますが、私が知っている霧の名所が入っていません。あそこもなければそこもないのです。

どうやら分母の認識が異なっているようです。私は「気象官署」を気象台+旧・測候所のことだと理解していました。帯広と名瀬を残して、測候所は無人化されています。無人化された施設はもはや「官署」ではないというのが銚子地方気象台さんの認識なのだと思われます。

そう言われれば、たしかにそのとおりです。それなら銚子は間違いなく3位です。

2022年の霧日数

そこで、旧・測候所も含めて2022年の霧日数を集約してみました。「湿度」は2022年の平均湿度です。話の流れから平年値も付記しておきました。

県/局観測所霧日湿度標高平年値
長野軽井沢15583999154.7
栃木奥日光121751292116.5
根室根室96812591.5
熊本人吉9680146101.1
茨城つくば897725 3.4
山形新庄858210576.4
岡山津山838014691.9
釧路釧路80795 96.9
兵庫豊岡7779368.7
長崎雲仙岳7180678
高知室戸岬627618561.0
日高浦河57803760.1
十勝広尾51763267.9
福島若松4979212
山梨河口湖497786043.8
胆振苫小牧4777642.6
宮城石巻45794341.5
宗谷北見枝幸4080728.9
十勝帯広367438 50.6
東京八丈島358115127.7
福井福井34779 24.6
後志倶知安318017633.7
三重上野307415930.9
大分日田30768344.2
宮崎都城307715429.1
胆振室蘭287940 36.7
茨城水戸287029 30.8
埼玉秩父277623236.1
千葉銚子267720 40.2
オホーツク雄武25801431.1
岩手宮古257643
福島白河257735524.7
上川旭川2477120 22.4
オホーツク網走247338 21.0
宗谷稚内23773 11.1
オホーツク紋別23751623.7
青森八戸237627
岐阜高山237856021.1
長野飯田217251626.4
山形山形2075153 20.0
鳥取197429.8
空知岩見沢187842
秋田秋田16756 11.7
三重四日市16775529.2
留萌羽幌1578814.6
留萌留萌157724
宮崎延岡14761912.0
福島小名浜1375319.0
福岡飯塚13723721.5
宮崎宮崎13769 8.9
後志小樽1276254.5
宮城仙台12733920.0
京都舞鶴12802 17.3
沖縄南大東128115 6.8
千葉勝浦11771211.2
香川高松116893.6
岩手盛岡1078155 9.4
岩手大船渡1075379.8
栃木宇都宮1072119 15.3
島根松江107517 12.0
長野長野975418 8.8
長野松本967610
長崎平戸9745819.7
渡島函館87635 6.9
静岡御前崎8754513.7
和歌山潮岬875687.2
山口山口8741814.8
奈良奈良771102 6.4
後志寿都67533
青森むつ676320.0
青森青森6763 8.7
青森深浦6776610.9
静岡石廊崎6745214.0
兵庫洲本6756931.5
檜山江差57348.6
静岡三島574214.4
静岡網代573675.0
長崎福江5772510.5
熊本牛深57235.1
石狩札幌471171.8
埼玉熊谷46830 5.3
東京大島478747.0
千葉館山47567.7
山梨甲府467273 6.7
兵庫姫路471387.8
鳥取鳥取4767 1.9
静岡浜松370463.7
愛知伊良湖37569.8
新潟相川3736
新潟新潟37544.5
富山伏木379125.3
富山富山37794.8
石川金沢37061.2
岡山岡山37054.3
島根西郷379275.5
熊本熊本368387.7
鹿児島阿久根374408.2
福島福島272675.9
東京父島2833 3.4
長野諏訪2737605.2
三重2653 4.8
石川輪島27352.0
広島福山2722
島根浜田272193.3
徳島徳島2702 3.3
香川多度津27042.6
愛媛宇和島27323.2
高知宿毛27426.2
大分大分2715 4.6
長崎佐世保27042.3
佐賀佐賀26965.5
宮崎油津27731.7
鹿児島種子島279251.1
沖縄那覇280280.9
山形酒田16933.4
神奈川横浜16939 4.0
静岡静岡17014 2.2
岐阜岐阜16513 4.1
三重尾鷲17415
新潟高田179130.8
滋賀彦根176874.1
鳥取米子17373.4
愛媛松山16932 3.7
高知高知1711 0.9
高知清水173311.7
山口17621.8
山口下関1713 2.5
福岡福岡16730.9
鹿児島枕崎178302.0
鹿児島屋久島17637
鹿児島沖永良部17927
沖縄宮古島18239 0.6
沖縄西表島18610
群馬前橋066112 3.1
東京東京070251.3
東京三宅島07838
千葉千葉06531.9
愛知名古屋069514.0
福井敦賀07320.3
京都京都06741 0.3
大阪大阪065232.0
兵庫神戸0665 1.0
和歌山和歌山06914 1.8
広島広島06043.3
広島06741.4
長崎厳原06941.4
長崎長崎07127 3.4
鹿児島鹿児島07240.8
鹿児島名瀬0783 0.0
沖縄名護08260.5
沖縄久米島0805
沖縄与那国島08830
沖縄石垣島0826 0.1
平均16.074.681.5
▲2022年の霧日数

軽井沢の霧と苔は涼しさの代償

月別の霧日数を調べてみました。軽井沢は通年、奥日光は春・夏型、つくばは春・秋型、釧路は夏型、豊岡は冬型のようです。軽井沢の観測所は追分側にありますので、旧軽はもっと霧が多いはずです。

軽井沢奥日光つくば釧路豊岡
1月1045116
2月86028
3月1413975
4月14121286
5月121213173
6月1514950
7月1214291
8月19203110
9月1484122
10月8910510
11月15314216
12月1468110
年間155121898077
▲各地の月別霧日数

「息白し」は俳句の季語だそうです。空気中に含まれる水蒸気量の限界を飽和水蒸気量と呼ぶようです。飽和水蒸気量は気温が高くなるほど大きくなります。暖かい吐息が冷たい外気に触れて、相対湿度100%の飽和水蒸気量を超えれば、息が白く見える理屈です。

気温飽和水蒸気量
35℃39.6g/m3
30℃30.3g/m3
25℃23.0g/m3
20℃17.2g/m3
15℃12.8g/m3
10℃9.4g/m3
5℃6.8g/m3
0℃4.9g/m3
▲飽和水蒸気量

外気温だけの問題ではなく、そのときの湿度も関係します。雨天や雨上がりなら10℃でも飽和水蒸気量に達して息は白くなりますが、カラカラに乾燥した朝なら外気に水蒸気を取り込む余裕があるため、5℃でも息はそれほど白くなりません。吐く息の白さは必ずしも寒さのバロメータではありません。

霧も原理は同じですので、霧の発生は湿度が100%に達していることと同義です。軽井沢の場合、涼しさの代償が霧と苔のようです。

霧日数が減少している豊岡とつくばの謎

豊岡の霧は冬に多いわけですが、そうなると温暖化の影響をモロに受けることになります。最低気温が氷点下に達した冬日の日数と霧日数の推移をグラフ化してみました。

豊岡の冬日と霧日数の推移

冬型の豊岡の場合は両者がほぼ連動するもののようです。

容易に解けそうにない謎を抱えているのが、つくば高層気象台です。2011年から2022年までの霧日数は次のとおりです。

つくばの霧日数
気象庁>つくば(館野) 年ごとの値 主な要素

赤線の時期に目視から視程計による自動観測に変わったのではないかと思われます。それまで1桁だったのがこんなに増えるものだろうか、機械観測に頼っていいのか、いっそ全面的に機械観測にすべきではないか…と、いろいろ言いたくなります。

視程1キロ未満が「霧」で、1キロから10キロ未満が「靄」ですが、果たしてつくばは霧が多いのか少ないのか、よくわかりません。なお、浦里酒造店さんによる「霧筑波」という地酒があるようです。

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