それほど辺鄙でもない統一教会の宝塚研修センター

秘境駅というには…

JR福知山線(宝塚線)の武田尾駅は1899年開業です。当時は尼崎と舞鶴を結ぶ阪鶴鉄道の駅でした。国鉄が民営化される前年の1986年、生瀬駅-西宮名塩駅-武田尾駅-道場駅の区間は旧線が廃止され新線に切り替えられて駅も移転しています。

武田尾駅

上流の対岸から見た今の武田尾駅です。ホームの半分がトンネル内にあり、残り半分は橋の上というユニークな構造です。無人駅でエレベータもエスカレータもありません。秘境駅扱いされることもありますが、日中は上下線とも15分間隔の路線です。

駅の下は駐輪場です。下流に向かって武庫川沿いに歩くと、バス停があり、「痴漢注意」の看板があり、駐車場があり、飲食店があります。秘境感はありません。

痴漢注意

10分弱歩くと、比較的新しい鳥居が正面に見えます。付近が旧線の廃駅跡です。神社脇にある武庫川の支流・僧川(坊川)の橋を渡れば、トンネル6か所を含む全長2.7キロの廃線敷遊歩道です。自転車やペットはNGだそうです。

宝塚研修センター

旧・統一教会(統一協会)の宝塚研修センターは廃駅跡から20分弱です。僧川を上流に遡れば到着できます。神社は標高110mに欠けますが、研修センターは標高160m弱です。そこまで険しい勾配ではありません。

宝塚研修センター
宝塚研修センター(地理院タイルを加工)

新名神高速道路の高架をくぐったあとの丁字路(出合橋バス停)を直進すると、紫外線ですっかり色褪せた看板に辿り着きます。

宝塚研修センター

駅まで25分なら、逃げ出そうと思えば無理ではありません。1967年に「大阪修練所」として開設された由緒?ある施設で、2018年にリニューアルされた3階建てです。ここより西に教団の研修施設はないはずですので、関西以西の全域をカバーしているようです。

ゴリ押し入国の文鮮明氏が訪問

宝塚研修センター

文鮮明氏は1992年3月に来日しています。アメリカで実刑判決を受けていたため入国できない立場でしたが、金丸信・自民党副総裁が身元を保証して、田原隆・法務大臣が上陸特別許可を与えたことは広く知られているはずです。

このとき、文鮮明氏が訪れたのは東京以外では名古屋と大阪(宝塚修練所)です。

3/25 入国
3/26 歓迎会
3/27 教会本部で信者1000人・職員400人、アジア平和女性連合幹部に講話
3/28 名古屋で信者に講話
3/29 宝塚修練所で1000人の信者に講話
3/30 ワコムを視察、「北東アジアの平和を考える国会議員の会」
3/31 ハッピーワールドと世界日報を視察、金丸氏・中曽根氏と会談

1000人が一堂に会する施設とは思えませんが、大阪に宝塚以上の自前の施設はなかったのだろうと思われます。

洗脳のメカニズム

1970年前後に宝塚修練所で所長として講師を務めていたという田口民也氏は次のように語っています。主に学生をフルタイム献身者に仕立て上げる16日の修練会だそうです。

若者たちを虜(とりこ)にするコツですが、先ずこれは原理そのものがそういう流れになっていて誰がやっても、ちゃんと洗脳されていくようなメカニズムが出来上がっていると私は思います。

小谷地市朗アーカイブ>原理からの回復:元修練所所長~田口民也氏の手記

私なりの解釈ですが、やはり起承転結を刻むようです。極端に言えば「起」は食いついてくれさえすれば何でもいいはずです。導入はあくまでも導入にすぎません。

次に『創造原理』をもってくる。これは創造原理の一節から最後まで、人間がいかに価値があっていかに素晴らしい存在であるかということを徹底的に若い人に訴えかける。子供は小さい時から親に「お前はダメだ」とか「お前はこういうのはだらしない」とか「お前は勉強できない」とか言われて育ってきて大人になって来ていると思うんです。その講義の中に、「あなたは一番大事な存在で、あなたは一回しかこの地上で生きられない。あなたは最高の存在です」。それを徹底的に、とにかく二日間ぐらいかけて、親も先生も誰も教えなかったぐらい歯の浮くような、ヨイショをするわけです。

小谷地市朗アーカイブ>原理からの回復:元修練所所長~田口民也氏の手記

「承」は徹底的なヨイショです。過剰なヨイショには警戒心が必要なもののようです。

次の『堕落論』で御存知のように罪の問題を植えつけていくのです、堕落論の話をすると殆どの人は上げられた状態から落とされてしまう。もう天から地にまっさかさまに落ちるぐらい落ちて行って、そのコントラストが強ければ強い程、その講習、つまり修錬会というのは成功します。そういうメリハリをつけてやっていたんです。

小谷地市朗アーカイブ>原理からの回復:元修練所所長~田口民也氏の手記

「転」で落とします。落としたところに蜘蛛の糸を垂らすのが「結」です。

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