強気の会見、回答しない理由は正当だろうか?

展開が早まるかも

8日の旧・統一教会(統一協会)のよる会見は、時間がかかるにしても解散命令まで進むことを予見させるものでした。文化庁の質問に答えなかった→不都合なことは答えないのだろう、という印象が強めに伝わってしまっただけです。

本来は解散請求裁判でなすべき主張が過料裁判で行われるなら、今後の展開が若干早くなるのかもしれません。私は解散命令まで行くかどうかは6:4だと思っていましたが、先日の会見後は8:2と見ています。

過料請求は解散に追い込むための材料の1つで、質問自体が罠めいたものだったかもしれません。組織性・悪質性・継続性のうち、焦点になるのは組織性です。提出すれば組織性を認めることになる「王手飛車取り」の質問があったのではないかとも思われます。考えすぎかもしれませんけど…。

 担当)これを出すと組織性が認められてしまいます
 ↓
 ボス)なかったことにしろ
 ↓
 役所)非協力的だ。ハイ、過料

質問も回答も非公開ですので、その内容は想像するしかないのがもどかしいところですが、教団側は以前から「質問権の行使自体が違法」だと主張しています。争う余地を残しておくのは当然のことです。

ただ、過料裁判でそれを主張していたずらに長引かせると、非協力的であることや不誠実さが際立ってしまい、解散請求裁判には不利に働くものと思われます。

「質問権の行使自体がそもそも違法なのだから答える必要はない」との論理を過料裁判の裁判官が受け入れるとはちょっと思えません。一応は宗教法人審議会の手続きを踏んでいるわけです。それほどの無理難題を押し付けてはいないはずです。

回答しない理由

岡村信男・法務局長は回答しなかった質問について6通りの理由を述べています。

(1)個人情報や信教の自由に関わる質問
(2)重複質問は回答済みとした
(3)不法行為とは関連のない質問
(4)係争中の事件に関する質問
(5)もともと存在しない、または残っていない文書
(6)元信者とのトラブルに関する資料

(1)もともとプライバシーを配慮して質問&回答が非公開になっているはずです。別に今さら文鮮明氏の女性関係を質問したとも思えません。回答拒否の理由としてはもっとも薄かろうと思われます。

(2)同種の質問を重ねて矛盾を衝くのは常套手段という気もしますが、前回の回答が不十分ということで重ねて問われた可能性があります。同じ質問だと解したのなら、「回答済み」とするより同じような回答を返したほうが印象はいいはずです。

(3)内容がわからないもどかしさがありますが、関係あるかどうかを判断する立場なのかという思いはあります。

(4)これは回答できない理由になりそうです。

(5)局長の歯切れが悪かった部分です。物理的に出せないものは仕方がありません。山際氏のように去年のものを破棄したとは言っていないわけです。

(6)あっても出せないでしょうし、真っ先にシュレッダーでしょう。

ひょっとすると、過料を受け入れる代わりに解散請求は見送る「手打ち」を教団側は期待していたのかもしれません。過料が解散請求前のステップに位置づけられるという見通しがなかったのではないかとも思われます。

答えなかった質問がキモ

いずれにせよ、教団側が回答しなかった部分こそが核心に触れるものであろうことは想像に難くありません。それが積み重ねられることには大きな意味があります。

もはや全面対決・徹底抗戦という強硬姿勢では突破できない段階に入ってきたのではないかと私は思っている次第です。いわば弁明の機会が与えれているのに回答拒否では、そういうことなのだろうという心証に傾きます。

教団側が解散命令を回避できるとすれば、過去の過ちを認めて口先だけでない改革を進めることなのでしょうが、世界本部との関係はおそらくそれができない構造になっているものと思われます。そっちの意味での組織性が問題なのかもしれません。

この国はあの憲法9条下で70年以上に渡って自衛隊が存在している国です。日本という国を知らないからこそ、この対応に出られるのだろうとしか思えません。役所はケンカの相手ではなく、貸しをつくっておくパートナーです。

文化庁サイドとしてはガサ入れして有無を言わさず持っていくことができないわけですから、今の宗教法人法の範囲でできることを精一杯やったということなのだと思われます。裁判は非公開ですから見守るしかありません。

ということで、次の焦点は資産隠しが始まらないかということになりそうです。エッフェル塔に行ってもいいので、次の国会では仮差押請求ができる法整備が求められます。また、解散請求後も新潟市や岡山市が会場を貸すのかどうかという監視も必要になります。

さて、岡村法務局長は1か月前には「局長代理」の肩書でした。いつ本部に復帰したのか気になるところです。質疑応答で最後から3番目に質問したのはフリーの記者でした。

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